若虎を 山が誘うか 夏めく日 [新フレーム乗せ換え作業その23(完)]
昨年7月8日にオーダーし、9月27日にフレームは一応完成したものの、外注の塗装にムラがあったため、再塗装へ。再塗装が仕上がってきたのが10月13日。一度走行可能状態に組み立てたものの、分割マッドガード装着などに問題が生じたので、フレームに再度火を入れてもらった。4月21日に加工と再々塗装を終えた猛虎四號を引き取り、再度の組み付けや分割マッドガード加工を終えて、5月12日にひとまずの乗せ替え完成を宣言。
実に10ヶ月間の、悩ましくも楽しい日々だった。最初のオーダーが考え足らずでオーダーでビルダーの唯さんにはご迷惑をおかけしたが、快く仕様変更に応じてくれたことに感謝。再塗装や仕様変更という不測の事態もあったが、乗せ替えに時間がかかった最大の原因は、私の手が遅いくせにこだわり過ぎたこと。有名なフレーム工房にオーダーすると1~2年待たされることも珍しくないので、3ヶ月足らずでフレームを完成させた自転車工房エコーの唯店長は、かなり短納期と言えるだろう(しかもそのうち3週間以上は外注の塗装にかかる期間だ)。
これまでの猛虎参號に比べてキビキビとした乗り味ながら、クロモリらしいマイルドさも失っていないので、走行性能は文句なし。これから、ツーリングからヒルクライムトレーニング、そしてノリクラ本番までこなす主力機として活躍してくれることだろう。
以下は、完成画像とスペック。
全体はノーマルサイズのクロモリチューブに、ホリゾンタルの古典的なスタイル。
猛虎参號が700×35Cタイヤの使用を前提としたランドナー的な純ツーリング車だったのに対し、四號はナロータイヤ専用の、マッドガード付きロードレーサー(ロードバイク)と言うところ。
レーサー用パーツの使用を前提とし、ガードやキャリアを外せばレースにも使用できるシンプルな仕様を目指した。サドルバッグ主体で使用することもあり、既成の車種で言えば英国風のクラブモデルに近い。ただ、マッドガードは松葉ステーがあまり好きではなく、1本ステー。ワイドなギア比など、フランス式のスポルティーフの要素も取り入れた快走車だ。
フレームパイプは台湾エコー社製の焼入れパイプ、ストロングライト。ラグは台湾製のコンチネンタルカットのものを使用。シート部は集合ステーになっている。憧れだったブレーキワイヤー内蔵仕様。
フロントガードとシューズの接触を防ぐためにフロントセンターをやや長めしたことを除けば、現行のロングライド系ロードバイクに近いスケルトン。リアセンターも410mmと、マッドガードを装着するとぎりぎりのクリアランス。というか、前ディレーラーのアームや留めバンドが接触するので、ガードにツブしを入れて逃げている。
ただし、クランクはスギノPX(後期型)170mm、フロントギアはTA42×26T。リアコグは13-23の7S。ナロータイヤの自転車にしては、思い切りローレシオのコンパクトギア仕様。使用頻度の低いハイギアードを切り捨て、フロントギアをキャパシティギリギリのワイドにすることでギア比の重複をなくし、7Sでありながら実はかなりのクロスレシオだ。これでも前42T×後13Tのフルトップにするのは、下りのみ。ケイデンスを120くらいに上げれば、45km/h程度までは充分回せる(踏む脚力がないので、下り限定)。
シュパーブプロの前ディレーラーはロード用の大ギア使用を前提としているので、アウター42Tではプレート後方がギアから離れている。性能を活かしきれていないのかもしれないが、軽量で、充分にスパスパ変速する。現在は直付FD用バンドを使用しているが、装着角度を変えたバンドを作成してもらいベストの変速性能を得る、なんてことも考えている。
チェーンは7S時代の名品、SEDIスポーツ(MTB用)。ペダルはシマノ製PD-A600。型番から判るようにアルテグラグレードの超軽量片面SPDペダル。いくつもシューズやペダルを揃える財力がないので、ロード専用のビンディングシステムでなく汎用性の高いSPDを採用している。
シフターには当初シュパーブプロのダブルレバーを装着したが、コマンドシフター(前期型)に変更。6S用の新品を入手し、7S用に改造。STIより軽量で、握りやすいブレーキレバーを使えることから、今でもシマノ用に改造して使用する人もいるサンツアーの誇る手元変速システムだ。コマンドシフター装着に伴い、ダブルレバー台座にはサンツアー製アウター受けを装着。
インナーワイヤーには勤務先のSCS ナノテフロンコーティングシフトワイヤーを使用することで、バーテープ下に巻き込んでも抵抗が少ないシフティングを実現している。
ハブは前後ともサンツアーSLマイクロライト。リアはフリーボディーが軽合金製で、当時にしては超軽量仕様。フロントはハブ軸までが軽合金製で、「何年か使とったら折れるやろな~」と思っていたが、どうしてどうして、20年経ってもビクともしない。さすがサンツアーの特注軽合金だ。
クイックハウジングはVIVAの軽合金製に交換済み。クイックナットもVIVAの軽合金製を所持しているが、SL純正の方が軽いので、こちらはそのまま。
ボトムブラケットはワールドクラス。チタンシャフトに軽合金製カップで軽量なこともあるが、チェーンラインを調整できるのがありがたい。Qファクターを小さくするために、ギリギリまで短いシャフトを使用している。左カップはほぼフレームに埋まっている。
フィキシングボルトは丹下精器製のチタン製。脱落防止のチェーンキャッチャーも装備。
1インチアヘッドを採用したヘッド周り。他のパーツは1990年台前半風の仕様ながら、ここだけは少し新し目。これで、ヒルクライム決戦用にカーボンフォークへの換装も可能になる。
ヘッドパーツは丹下DL。ステムはホリゾンタル(というか若干前下り)にこだわって日東UIの1インチコラム用(突き出し100mm)を装着。とは言え、コラムスペーサーがかなり長くなってしまったので、美観的には微妙なところ。間に合わせのカーボン&アルミスペーサーを装着しているが、ステムと段差があるので、近日中に日東製の薄型クロモリスペーサーに変更予定。
ボトルケージは勤務先のBIKE’N ROLL ステンレスボトルケージを装着。スチールバイクに似合う細身で、メッキ加工をしたステンレス製。
サドルはブルックス スィフトのチタンレール。1990年代に発売された直後に購入した初代は猛虎参號に装着し、約20年使用した。残念ながら一昨年、ついに革が裂けて使用不能になった。こいつは昨年初めから使い始めた2代目。シートポストは3つだけ採用しているシマノ製パーツのひとつ。イーストンアルミパイプを使用したXTRブランド。
ブレーキ本体は、シマノ デュラエースの初代デュアルピボットモデルBR-7403。見ての通り、ブレーキシューがアーチの下端にある。スモールサイズブレーキアーチの調整範囲ギリギリまで、クリアランスを確保するフレーム設計だ。
当初、シュパーブプロのブレーキセットを装着するつもりでいたが、リアの分割マッドガードとのクリアランスが確保できなかった。リターンスプリング内蔵で美しいアーチだったが、その分シャフト周辺が太かった。ガードにツブしを入れれば装着できたかもしれないが、そうすると分割加工が困難になる。最近のブレーキに慣れた身にストッピングパワーが物足りなかった事もあって、やむ無くシマノ製アーチの出番となった。デュアルピボットはマッドガードのクリアランスが広くなる利点もある。デュラは高級感のあるシルバーなので、他のパーツとのマッチングも悪くないし、ストッピングパワーは圧倒的。お陰で、下ハンを握る機会が激減した。
デュラのブレーキアーチに合わせて再作製してもらったのがこのリアキャリア。上部ステーはブレーキシャフトに共締めし、下部ステーはシートステイのダボに固定。
平常のトレーニングやツーリングでは大型サドルバッグをこのキャリアに載せる。重心が車体の中心に近いサドルバッグは走行に影響を与えにくいのだが、さらにこのキャリアはマッドガードぎりぎりのできるだけ低い位置、そしてブレーキアーチギリギリまで前よりに設けてもらい、重心に近づける努力をしている。また、装着位置が低いので、バッグが横に張り出していても足に当たらない。
フロントキャリアを使用しないことで輪行時にフォーク抜きを不要にし、タイヤとマッドガードを外すだけでロード用輪行袋に収めることができる。キャリア後部を先丸でなく角型にしているのは、輪行時に安定して立たせるためのスタンドとして機能させるため。
マッドガードはイトーサイクルさんで購入した旧ラベルの本所H3-700N(350R)。細身の丸型ポリッシュ仕上げ。
フロントはこれもイトーサイクルさんで購入したジルベルトウのナットを薄く加工し、L字金具でガードを装着。リアはオオマエジムショの大前店長からお分けいただいたアルプス製プレートをサイドプルブレーキ用に加工して分割仕様にしている。前後とも環付ボルトで固定し、ステーも環付ダルマを使用しているので、工具なしで着脱できる。
ホイールは猛虎参號からそのまま受け継ぎ、カタログ値385gの超軽量リムARAYA CTL-385の32H、星のステンレス製15番(1.8mm)スポーク、DT製アルミニップルを用いて6本組みタンジェントで組み上げている。
現在のタイヤはパナレーサー クローザープラス(23C)のイエロー/ブラック。低価格なのに軽量で、ウェット路面でのグリップも良い。個人的な難点は推奨気圧が高いので、往年の軽量リムに負担がかかること。アラヤの方にも「10気圧とかで使うと、広がっちゃうかも」と聞いており、怖くて8.5気圧以上に上げられない。チューブは各社のものを適当に使用している
ハンドルはTNiネオクラシック。ブレーキレバーはシュパーブプロ。
サイクルコンピューターはPOLAR CS200CADを装着し、ライトは勤務先のAKSLENコブラを装着。
虎柄のバーテープは確かプロファイルデザイン製だと思うが、色合いがフレームと微妙に合わないので、ハンドル周りのポジションが確定したら交換予定。
右のバーエンドに勤務先のBIKE’N ROLL バーエンドミラーを装着。そして左には阪神タイガース公認バーエンドキャップ・・・などはあるはずもなく、清酒タイガースの一升瓶の栓を使用。
この状態で、重量は9.9kg。最近の5~6kg台のカーボンバイクには敵うべくもないが、キャリア、マッドガード、ライトが付いたクロモリバイクで10kg切りは優秀だろう。一見すると懐古調+タイガースカラーの悪趣味な自転車だろうが、結構本気のヒルクライム仕様なのだ。
キャリア、マッドガード、ライトを外すだけで9kg前後になるだろうし、手持ちの決戦ホイールを装着すれば、8kg台前半は確実。(いつになるかわからないが)カーボンフォークを入手すれば、恐らく7kg台を達成できる。スチールバイクでも、この程度はやれるのだ。苦労に見合うかどうかは別として・・・。
約7ヶ月に渡った「新フレーム乗せ換え作業」も、ひとまず終了。とは言え、まだまだ手を入れるつもり。お金のかからない軽量化として、シートポストの余分な長さをカットしたり、スチールボルト、ナットを手持ちのアルミと交換したり、重量増になるが、普段使いの際には前述のようにヘッドスペーサーをクロモリ製に交換することも早めに実行したい。これからも、完成度を高める作業は続いていく。
フレーム | 自転車工房エコー製(エコー ストロングライトパイプ、ALLOTECコンチネンタルカットラグ) |
リアキャリア | 自転車工房エコー製 3点留めサドルバッグ用キャリア |
ヘッド小物 | 丹下精機 DL 1インチ |
ブレーキレバー | サンツアー シュパーブプロ エアロタイプ |
ブレーキアーチ | シマノ デュラエース BR-7403 |
ブレーキワイヤー | SCS ナノテフロンコーティングインナーブレーキワイヤー(ロード用)、同アウター |
クランク | スギノPX(後期型) 170mm |
フロントギア | TA5ピン用 42×26 |
BB小物 | ワールドクラス チタンBB |
フィキシングボルト | 丹下精機チタン製 |
フロントディレーラー | サンツアー シュパーブプロ (8S対応後期型) |
リヤディレーラー | サンツアー シュパーブプロ (直付用をアダプターを介して装着) |
シフター | サンツアー コマンドシフター (前期型6S用を7Sに改造) |
シフトワイヤー | SCS ナノテフロンコーティングシフトワイヤー、同アウター |
チェーン | SEDI スポーツ (MTB用) |
ペダル | シマノ PD-A600 |
シートピラー | シマノ XTR |
シートピン | スギノ |
サドル | ブルックス スイフト チタンレール |
ボトルゲージ | BIKE’N ROLL ステンレスボトルケージ |
ライト | AKSLENコブラ |
リフレクター | キャットアイ |
携帯ポンプ | BARBIERI カーブ・ワン |
ハブ | サンツアー SL 32H (QRハウジングはVIVA軽合金製) |
リヤコグ | サンツアー シュパーブプロ 7S 13-23T |
ハンドル | TNi ネオクラシック 420mm |
ステム | 日東 UI-I 100mm (1インチアヘッド用) |
ヘッドスペーサー | メーカー不明カーボン&アルミ (日東クロモリスペーサーに交換予定) |
バックミラー | BIKE’N ROLL バーエンドミラー |
サイクルコンピューター | POLAR CS200 CAD |
バーテープ | PROFILE Design クッション |
リム | アラヤ CTL-385 |
スポーク | 星 スターブライト #15 |
ニップル | DT アルミ |
タイヤ | パナレーサー クローザープラス700×23C (イエロー/ブラック) |
チューブ | 各社700C用 |
リムテープ | MAXXISコットン |
マッドガード | 本所H3-700N(350R) |
ガードステー | アルミU字型(4mm径) |
ガード小物 | 環付き真鍮ダルマネジ(5mm径用を4mm径に加工)、アルプス分割用金具、ジルベルトウL字金具固定ナット、メーカー不明L字金具、環付ボルト、皮パッキン、真鍮スペーサー等 |
その他 | チェーンキーパー、阪神タイガースロゴ入りバーエンドキャップ等 |
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