カーボン折りたたみ自転車へ荷物積載 [CARACLE-COZ DB]

20回連続出場を区切りに乗鞍ヒルクライムから卒業したが、同窓会化している大会前夜の宴会に参加するために今年も乗鞍入りする予定。20回通っても大会のコース以外走っていないので、この機会に久々に上高地へサイクリングしようと目論んでいる。前日に身体のコンディションを整える必要も無いので、輪行&自走で乗鞍へアプローチすることにした。となれば、いくばくかの宿泊荷物を運ぶ必要がある。一番簡単なのは背中に背負うことだが、重心が高くなるし、身体に負担がかかって長距離走行は辛い。そんな訳で、TORACLE-COZ2(CARACLE-COZ DB)に荷物を積載することを企てた。

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自転車に荷物を積載して長距離走る場合、できるだけ低い位置に前後左右に荷物を振り分けることが望ましい。最近流行りのバイクパッキングではキャリア等の重量物を使用せずに車体に直接バッグを装着することで、ロードバイク等にも多くの荷物を積載できるメリットがあるが、最も多用される後ろに大きく張り出すサドルバッグは、重心が高く、テコの原理でフレームやシートポストに大きな負担を掛ける。

バイクパッキングでもフレームバッグは重心が低く、自転車の重心に近い位置に装着するので走行性能への悪影響や車体への負担が少ない優れた方法だが、私は内股ペダリングなので、ペダリング時にヒザが当たって大きなバッグを装着することが出来ない。

そうなると、やはりオーソドックスに車体の前後にバッグを装着するしかない。サイドバッグ(パニアバッグ)が最も重心を低く、大量に荷物を運べる方法だが、重量増は大きくCARACLE-COZに装着するのはかなり難易度が高そうだ。今回、そこまでの荷物は必要ないし、車体の負担を考えても望ましい方法ではない。そこで、前後に一つずつバッグを装着して前後のバランスを取ることにした。

まずはリア側だが、ある程度の重量物を車体の負担を少なく積載するためには、車軸付近から伸びるステーに支えられたキャリアが安心だ。シートポストのみで支えるキャリアもあるが、後ろに張り出した大型サドルバッグと同じで車体への負担が大きい。とてもではないが、カーボンフレームとシートポストに装着する代物ではない。

とは言え、CARACLE-COZ DBは折りたたみ自転車、かつリアサスペンション機能を備えているので前後のフレームの位置関係が変化する。走行性能の追求を最優先したロードバイクに準じた設計なので、キャリアを装着するためのエンド付近のダボも無いし、キャリアの前部のステーを固定するダボ穴も無い。しかもスルーアクスル仕様のディスクブレーキ仕様ときている。

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なかなかの難題だったが、色々下調べして娘のCARACLE-Sに装着していたミノウラ製SSR-4000を改造すれば何とかなるだろうと当たりをつけ、いくつかのパーツを仕入れてみた。SSR-4000はリアサスペンション付きの自転車に装着でき、台座をセットしておけば工具無しで着脱できる製品だ。折りたたみ時には外してしまえばよいし、装着しない時はステーを折りたたんでコンパクトになる。これでいくつかの課題をクリアできる。

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SSR-4000をあてがってみると、20インチHE(ETRTO406)である娘のCARACLE-Sに装着するためにステーを短縮していたので、高ナット(ステンレス製)の調整機構をいっぱいに伸ばしてもステーの長さが不足する。使用頻度の低いキャリアを買い直すのももったいないので、ロングサイズの高ナットを探してみた。幸い、アルミ製の丸パイプにネジ切りされたロングサイズの高ナット(?)が見つかった。

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ついでに留めナットもアルミ化して、外観と重量の改善を図ることが出来た。ブラックカラーがあれば完璧だったが、そこまで言っては贅沢だろう。

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フレームのエンド幅がディスクブレーキ&スルーアクスルの142mmなので、天板とステーの間に10mmのアルミスペーサーを挟んで20mm幅を広げ、ロングサイズ超低頭ボルトで少しでも突出を抑えた。両側にステーも外に張り出すように裏返して装着した。元々エンド幅135mmまでは想定されているだろうから、これで充分だろう。内側のナットもナイロンブッシュ付きのアルミ製に交換した240813_103300
スルーアクスルでエンド付近のダボ穴が無い件は、フカヤのDAVOSキャリア用リアスルーアクスルが一気に解決してくれた。スルーアクスルの両側にM5タップが切ってあり、ダボ穴の代わりをしてくれる。

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SSR-4000用のつば付きナットを(本来であれば)リアエンドのダボ孔に装着する。今回はDAVOSキャリア用リアスルーアクスルに超低頭ボルトを調達して装着した。

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キャリアステーの先端がこのつば付きナットに合う形状になっており、特定の角度のみ内側にはめ入れることができる。

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ステーの角度を変えれば抜けないので、走行時に外れない角度にセットしておく。この機構により工具無しでワンタッチでステーを着脱できる。単純だが優れた機構だ。

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問題は天板前側のクランプの装着だった。SSR-4000を購入したそのままなら装着できたのかもしれないが、娘のCARACLE-Sに装着するためにステーを短縮して低床化していたので、本来の装着場所であるシートポストまで届かない。いずれにしても重心を下げたいので天板を高くするのは避けたい。ではシートチューブをクランプしようとしたが、マウントを35mm径まで対応する別売品SM-2835-2と交換していても、対応サイズをわずかに越えていて装着できない。クランプの内側をリーマーで切削しようかとも考えたが、強度が落ちる加工はできるだけ避けたい。QRを諦めてボルト止めのバンドを装着することも考えたが、試行錯誤するうちにシートステイのQuick-it(折りたたみ時の分割コネクタ)の前側がクランプの対応サイズ内であることを発見した。とは言え、今度は位置が下過ぎてそのまま装着することは困難だった、

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そこで上方に折れている前ステーを上下逆さに装着して下に向けることを考えた。単にひっくり返すだけだとステーの丸棒がじゃまになってプレートとの間にすき間ができ、締め込んでも固定力を発揮できないので、スペーサーを調達してすき間を埋めた。

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仮付けすると前側ステーが長すぎて、天板が前上がりに持ち上がってしまう。とは言え、先端の「潰し」を含むステーの短縮加工は大変だし、アルミステーを曲げ直すこともできるだけ避けたい。後ろ側を持ち上げれば水平になるが、重心が高くなるのは避けたい。そこで、天板にもう一つ穴を開けて、前側ステーの基部を少しでも後ろ側に装着することにした。

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ひとまずの加工を加えたSSR-4000を下側からみると、こんな感じ。前後のステーの飛び出し短くなって全体的にコンパクトになった。

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クランプを固定するシートステイにはまずカッティングシートを巻いて保護することにした。あえて目立つブラックを巻いたが、デザイン的にもアクセントになった。

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カッティングシートの上から前ステーのクランプを装着する。実際に旅で運用する場合はもう一枚薄手のシートを挟むつもり。

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これで、ひとまず実用に問題のなさそうなレベルでリアキャリアを装着できた。着脱式のマッドガードもそのまま装着できた。惜しむらくは、少しでも天板を水平に近づけようとリアステーの調整機構を限界まで伸ばしたので重心が高くなったのと、それでも完全に水平にはなっていないのがちょっと残念。

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リアキャリアバッグの導入は初めてだったので、とりあえず試しに安いLIXADAのバッグを通販で購入した。意外にしっかりした作りで、SSR-4000に何の加工もなくピッタリ装着できた。専用品のような納まりは予想外だった。

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キャリアへの装着はベルクロストラップを2本だけで簡単確実。前後左右へのブレも少ない。

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これは乗鞍遠征で実際に輪行した際の画像だが、輪行時にはキャリアとバッグを分離せずに持ち運べば収納場所も不要で楽だ。後ろステーは折りたたんでベルクロストラップの1本で共締めしてやればぶらぶらすることもない。

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ひとまずリア積載機構が使用可能になったので、お盆休みに試用してみた。サドルバッグの荷物を移した程度だったが、走行時の問題は全く無かった。あえて言えば後部ステー下部のジョイントがカタカタとうるさかったが、これは機能上仕方ない。

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使用可能にはなったが、天板が高く、完全に水平でないことに満足できず、さらに手を入れることにした。色々考えたが、前ステー先端のクランプの方向を90度変えてやれば全体の高さが下がりそうなので、手持ちのL字アングルを加工して角度変換金具を作ることにした。

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不器用な人間が自宅の金ノコや手持ちドリルで加工したのでブサイクだが、とりあえずの金具は完成。

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作成したL字型の金具を、クランプとステーを接続するコの字型金具の間に挟んで、方向を変える。ひとまず想定通りの形状になったが、L字金具の角に応力が集中していずれ破損する懸念がある。将来的にステンレス板でコの字型金具と一体化した金具を作りたいと思っている。強度面の安心感はもちろん、ボルト&ナットが減るので軽量化にもなるだろう。

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前側ステーの装着位置が少し低く後方になったので、天板をかなり下げても水平が出た。重心を低くできたし、副次的にシートチューブ後方の増設ボトルケージに干渉しなくなった。

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ひとつ問題が生じたのがマッドガード。天板が下がったのでタイヤとのクリアランスが減り、天板に強く押し付けられる。前ステーのプレートを装着するボルトが飛び出してマッドガードに当たり、傷付きが予想されるし左右にガードが流れてしまう。そこでボルトは当たらないように短く切断したが、少し短くしすぎたので後日間に挟むスペーサーを薄くして少し飛び出る程度に調整した。同時に、マッドガード基部の装着金具を曲げ直して角度を調整し、天板に軽く接触する程度にして、天板裏側にバーテープの切れ端を貼り付けて、音鳴りと傷つきを防止した。これでほぼ満足できる機能を実現できたが、後日一部残っていたスチール製のボルト、ナット類を、アルミ、チタン、ステンレスのいずれかに交換して軽量化とサビ対策を施し、遠征に備えた。

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次はフロント側だが、将来的には小径車であることを活かして低い位置に荷物を装着する機構を発案して、社内のCADオペレーターに設計を依頼している。初動が遅くなって試作も間に合いそうにないので、今回は定評のあるRIXEN KAULシステムを装着することにした。まずは装着のジャマになるステム前方のiPhoneとライトのホルダー(TOPEAK製改造)を取り外す。

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次に、手持ちのRIXEN KAUL純正ハンドルバーアタッチメントを装着する。31.8mm径対応のバンドがあれば、CARACLE-COZへの装着に特に支障はない。

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今回、これまでのAgu製(7L)より少し大きなオーストリッチ製F-516(8.9L)を購入したが、問題なく装着できた。シンプルだがそのお陰で超軽量(360g)であり、TAやソローニュを継承する後ろ開きの上蓋が機能的だ。Agu製のようなバッグ後方に取付プレートがあるタイプは少し重いものを入れるとバッグが垂れてしまうが、吊り下げ用フレームを使用するF-516はビシッと水平が出る。吊り下げ用フレームは手持ちのRIXEN KAUL製で大きな問題はないが、オーストリッチ純正の方が角の形状がフィットしそうだ。吊り下げ用フレームの耐荷重はわずか2kgなので、調子に乗って荷物を積めるとすぐにオーバーする。小さいサイズのF-500(6.9L)で充分だったかもしれないが、大きめのバッグは輪行移動時にも役に立つし、収容物が同じなら重心が低くなる。

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iPhoneはバッグ上面のマップホルダーに入れる方法もあるが、ホームボタンが使えなかったり画面が見づらかったりするので、ホルダーをステムにバンド留めした。ライトをハンドルバーに装着するとバッグで遮られるし、脚に当たるので、フォーククラウンの貫通穴に台座を装着して、バッグの下側に配置した。

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これで前後の積載機構がほぼ完成したので、乗鞍遠征の前週に試走してみた。この時は遠征時を想定した荷物を積めてみた。前後のバッグが約2kgずつだったので、キャリアやアタッチメントを併せて5kg前後のを重量増だったろう。かなりの重量感を覚悟していたが走行感は思いの外軽く、急坂もグイグイ上っていける。

意外感が強かったが、考えてみればカーボン製のTORACLE-COZ2は空荷で7kg前後。ボトル、マッドガード、工具その他の携行品を併せても、8~9kg程度で、今回のキャリア類と荷物を併せても総重量は13~14kg程度だろう。学生時代に乗っていたスチール製ランドナーは、空荷でも14kg程度で、荷物を積めば簡単に20kgを越えていた。そんな重戦車で坂を上っていた記憶が残っていたせいで、実情以上に軽く感じるのかも知れないが……。

それにしても、この35年の機材の進化はスゴいものだ。もちろん今回の改造はかなりリスキーで、スチール製のようにタフな仕様ではない。私も本格的にキャンプツーリングをするなら、スチールフレームとスチールキャリアの頑丈な自転車を選ぶだろう。餅は餅屋で、本来の用途と異なる使用方法はデメリットも大きいのだ。ただ、デリケートさを理解して活用すれば、昔より遥かに楽に荷物を携行したツーリングを行える。乗鞍遠征で実際に活用したレポートは、こちら

ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません。

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