串柿の里下見? [蔵王峠-鍋谷峠]
暖かい日が続いて実感の無いうちに、気がつけば11月。11月後半に串柿ツーリングを主催することを恒例にしていたが、ここ数年は仕事や体調の都合でなかなか本格的に開催できずにいる。2019年に久々に開催したものの、昨年はコロナ禍でそれどころでは無かったし、そうで無くても鍋谷峠が通行止めだった。今年も11月にイベントや仕事が続くため、募集を掛けて本格的な開催は難しいと思っているが、身内でサクッと行く機会くらいは作りたい。そこで、今日は様子見に行ってみることにした。
TORACLE-COZ(CARACLE-COZ DB)で6:22出走。最も取り組みやすいルートである蔵王峠を越えて、最も串柿の多い大久保集落を目指す。まずは蔵王峠の上り口になる滝畑ダムに向かう。ツーリング主催時は距離を短く車の少ない天野街道を辿ることが多いが、今日は一人なのでペースの上がる国道310号線で河内長野駅方面に向かう。天気は下り坂とのことだが、山並みもきれいに見え、今日は雨の心配もないようだ。
河内長野駅が近づいたところでひと休みして、カフェイン注入。不調というほどでもないが、少し身体が重いので喝入れ。11/3に信貴山サイクルロゲイニングの下見をした際にも暑いくらいだったし、今日も最低気温13度と昨日より3度高い予報だったので、ショートパンツにニーウォーマー、上着は薄手のロングジャージで出走したが、さほどの寒さは感じない。
本町(七つ辻)交差点で、府道218号線の南側を並走する裏道に入り南西に向かう。河岸段丘のへりを進むこの道の両側はほぼ住宅地だが、恐らく古くからの道だろう。車が少ないのでイベント時に使えそうだ。
最後は河岸段丘を降りて石川を渡る道にぶつかって終点。橋を渡って石川の南側を進むことにした。
花の文化園の前を通るが、さほど交通量は多くなく、景色の良い場所もある好ルート。
府道218号線に合流して、日野近辺の集落を過ぎ、この辺りは断崖絶壁の下に石川を見下ろす。平地ではさほど感じなかったが、山中に入るとかなり寒い。手足がかじかみ、露出したスネも寒い。もうちょっと暖かい格好をしてくるんだったと後悔した。忘れがちだが、やはり11月なのだ。それでも晴れているので、気温はじきに上がると判断して先に進む。
急坂をひと上りしてトンネルをくぐると滝畑ダム湖。風がほとんどなく、きれいな湖面。標高は上がったが、日なたでは暖かさを感じてホッとした。
ダム湖を過ぎると、しばらく渓流沿いの平坦路だが、やがて蔵王峠への上りが始まる。序盤から石畳を交えた急傾斜が次々と立ちはだかる奥河内の「ユイの壁」(元ネタは春のクラシックレースのコースになるベルギーの急坂)。
CARACLE-COZの軽量さもあるが、ブルベからつけたままの28mm幅のタイヤが、荒れた道では走破性がよく、走りやすい。慣れてきたのか走行感の重さも感じなくなってきたので、冬場はつけっぱなしで良いかもしれない。中盤はやや傾斜は緩み、渓流の流れを楽しめる区間もある。
谷筋の道なので陽射しが少なく、雨上がりなどは道が川になっている。しばらく晴天が続いたので、今日はかなりマシだったが、やっぱり濡れた箇所はあった。できれば速度の遅い上りに使うべきルートで、特にイベントで雨の後に下るのはできるだけ避けたい。自転車が汚れるし、慣れない参加者は滑って転倒しかねない。
8:47に蔵王峠到着。思ったより楽に上がってこれた。このまま県道61号線を下らず、近くの分岐からさらに上って行く。
振り返ると東の方の紀の川方面まで見下ろせるのだが、石川の源流が傍を流れており、分水嶺の大阪側にいるという不思議な区域。源流は蔵王峠をかすめるように通過しているので、ほんの数十メートル溝を掘れば、蔵王峠から紀の川方面に水を流すこともできるだろう。もっともこの近辺の水量は、ごくわずかなものだが。
尾根筋の山道と交差するこの峠が紀の川と(石川が合流する)大和川の分水嶺になる。周辺や地図に表示がないので、この峠に名前がついているのかどうかはわからない。
ちょっと下ると集落があり、堀越(癪)観音。ちょうど茅葺き屋根の葺き替え作業を行っていた。運がよいのか悪いのか?
境内の大銀杏はまだ緑が強い。もう2~3週間すると真っ黄色になり、そして落葉するはずだ。色の変わったところで、見に来れるとよいな。
境内からは西側の紀の川方面が見下ろせる。残念ながら堀越の集落では、ここ数年串柿を見かけない。
しばらく山中の急坂を下っていくと、中畑地区の人家が現れ、串柿の帯も現れた。まだ11月初めなので下見のつもりだったが、すでにかなりの串柿が吊るされていた。
青空の下にオレンジの帯が並ぶ風景に魅了されて、ほぼ毎年訪れている。正月飾りに用いられる串柿は冷たく乾いた風が吹き下ろし、山霧が立ち込めるかつらぎ町の四郷地区の気候が適しており、豊臣秀吉が献上された当地の干し柿を食べて病が治ったことから、推奨したとも言われている。一串に10個刺してあり、2個6個2個と間を開けてあるのは「夫婦ニコニコ(2個2個)仲睦(6つ)まじく」という語呂合わせだ。
谷を挟んだ大久保集落にも、オレンジ色の帯がチラホラ見える。まだ最盛期ではないようで、目を凝らさないとわかりにくい(単なる加齢か?)。
この後を思うと恨めしいほど(標高差約330m)下って東谷まで降り、一転して大久保への上り。これを上りきった先の絶景を知らなければ、心が折れるコンクリート舗装の激坂をジリジリと上っていく。
ようやく傾斜の緩む紅葉谷の分岐が近づいてきたところで、小径車が止まっているのが見えた。どこからアクセスしても激坂が必至のこの場所に、自分以外の小径車がいることはなかなか無い。近づくと2019年の串柿ツーリングに参加してくれたKさんだった。イベントをきっかけに大久保集落を再訪してくれたようだ。久々の再会にしばらく話し込んでしまった。
逆コースをたどっているKさんを見送って、青空をバックに紅葉(こうよう)の進む紅葉(もみじ)谷の紅葉(もみじ)を撮影。
大久保の集落に入ると、まだ空き棚も多いがあちこちに串柿(観賞用)や吊るし柿(食用)が吊るされていた。これから更に増えていくだろう。
集落の端の定福寺付近までやって来て、下界を見下ろす。ポカポカと暖かく、晩秋の風情を感じにくいが、景色串柿と青空はやはり11月の風景だ。
定福寺で携行食を頬張っていると、画像でお参りしている地元の年配女性に声を掛けられた。毎年串柿を見に来ていることを伝えたところ、需要減と高齢化でこの10年でも串柿は3割減ったと教えてくれた。シーズンには親戚一同に手伝いに来てもらい毎年頑張っていたが、彼女自身も串柿作りはしばらく前に引退したとのこと。
串柿は単に柿を串に挿して干せばできるのではなく、カビを防ぐために鳥や虫による傷の無いものを選び、皮を剥いて、アルコール消毒し、雨が降りそうならその度に取り込み、乾燥が進む過程で何度か揉む作業を経て完成する。雨が当たればカビが生えるので常に天気に気を払う必要があり、手のかかる作業は高齢者には厳しく、若い人はなおのこと敬遠する。自分にはとても取り組めない仕事だ。
「伝統を守るのは大変です」の言葉が重い。私の両親より少し上とのことで、恐らく90近いお歳だろう。戦争中はこの山間の集落でも空襲警報が出たが、電話が1本しか無く、下から連絡があると半鐘を鳴らして知らせた、といった戦中の苦労話もあり、「今は戦争のない良い時代やけど、それならそれで変な人が出てくるやろ」と、最近の物騒な事件の話にまで話が続いた。お口は達者だったが、身体は色々と不自由もあるらしい。元気で串柿の伝統と、平和の大事さを語り継いで欲しいものだ。
Kさんに続いてすっかり話し込んでしまい、大久保集落に50分以上滞在してしまった。一度国道480号線沿いの平に下ることも考えていたが、集落から最短距離で鍋谷峠に向かうルートを上ることにした。林の中に入ると、酸っぱい匂いが漂ってきた。串柿を作る集落の外れには、剥いた柿皮や不適な柿を自然に返す場所が設けられている。これもまた串柿シーズンのお約束。
「柿皮の 饐えた匂いぞ 秋の末」(再掲)
杉並木の間を上っていくこのルートは、急傾斜の証明であるコンクリート舗装が続く。ところどころ水抜き溝が横切っているので、蛇行をするとタイヤが嵌りかねない。上っても下っても過酷なルートだが、大久保集落至るルートはどこも似たような難路だ。
三国山山頂に向かうルートとの三叉路に出ると、後は下り基調で鍋谷峠へ出られる。時刻は10:50。温度計の表示は12度。
ダウンヒルは少し寒かったが、ウィンドブレークベストでしのげる程度。山麓までおりてくるとポカポカ陽気でベストとロンググローブを脱いだ。後はいつものルートで11:57に帰宅。何とか正午までに帰れた。
下見のつもりが、絶好の好天の下でかなりの串柿を拝むことが出来た。来週からは週末に別の予定が入っている日が多いのでなかなか厳しいが、周辺の仲間と都合の合う日があれば今月後半の最盛期にもう一度訪れたいものだ。
今日は厳しい急傾斜の連続するルートだったし、停止時間が長かったのに午前中で帰宅できた。走行中は急ぎ足だったのに、さほど消耗を感じないのはブルベなどで先月の走行距離が伸びたからではないかと予想している。早く走るばかりが自転車の楽しみ方ではないが、やはり走れば走るだけ走力は回復する。できることなら、もう緊急事態宣言は出て欲しくないものだ。
■STRAVA
串柿の里下見? [蔵王峠-鍋谷峠] | ライド | Strava
■Ride with GPS
串柿の里下見? [蔵王峠-鍋谷峠] – でのサイクリング 堺市, 近畿地方
■CyclemeterGPS
CyclemeterGPSの記録 その1 / その2
スタート: 2021/11/07 6:22:47
自転車完了: 2021/11/07 11:57:51
バイクタイム: 3:31:48
停止時間: 1:50:34
距離: 64.97 km
平均スピード: 18.41 km/h
登り: 1125 m
カロリー: 2423 kcal
平均心拍数: 128 bpm
最大心拍数: 166 bpm
平均ペダルペース: 57 rpm
最高ペダルペース: 135 rpm
今月の走行距離: 284 km
今年の走行距離: 7521 km
先月の走行距離: 1028 km
昨年の走行距離: 9412 km
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