TORACLE-COZ 2(ディスクブレーキ)組立て その2 [パーツ移植]
お盆休みに組立てを開始して、まずは油圧ディスクブレーキを装着したTORACLE-COZ 2(CARACLE-COZ ディスクブレーキ)。これまでの初代TORACLE-COZ(CARACLE-COZ リムブレーキ)から移植するパーツもあるため、中途半端で作業が中断すると、その間は遠出をする自転車が無くなってしまう。通勤用にハイレシオ化しているTORACLE-S(CARACLE-S 2016試作車)のギア比を、峠越えに使えるギア比に戻そうかとも思ったが、作業のための時間と、冷房のない室外で作業する気力をなかなか確保できず、ずるずる時間が過ぎていった。
ようやく涼しくなってきて、時間を確保できたのは1ヶ月以上経過した9月の連休。同じく先送りしていたヨメさんのママチャリのエアハブのチェックをしたり、消耗したブレーキシューを交換したり、TORACLE-Sのサドルを交換したりしてから、TORACLE-COZ 2の作業に入った。
友人に油圧ディスクブレーキの講習を受けた前回の作業でブレーキやハンドル、ステムは仮装着してある。
他のパーツ類を組み付けていく前にやっておきたかったのが、「CARACLE」から「TORACLE(虎来る號)」への変身作業。この機にデザインを見直したい気持ちもあったが、そんなことをしていたらいつになるかわからないので、初代TORACLE-COZ(CARACLE-COZ RB)とほぼ同じデザインのカッティングシートを用意した。
ところが、メインロゴのカッティングシートを当ててみると、Lサイズフレームはロゴ位置が少し変わっていた。CARACLEロゴを隠しきれず、最後の「E」が飛び出してしまう。ボトル台座やダウンチューブの湾曲を避ける切り欠きがあるので、貼る位置を修正することは難しい。
デザインとカットをやり直していると連休中の組み立てが難しくなるし、同色の目立たないロゴなので、貼付け作業を続行することにした。カッティングシートの接着面とフレームに中性洗剤をほんの少し垂らした水をスプレーして、位置を調整しながら貼付ける。
湾曲があるものに穴が開いたシートを貼るのは簡単ではなく、今回もシワや気泡(水疱)が残る汚い仕上がりとなった。はみ出した「E」を隠すデザインで張り直すことも考えているが、前回も貼り直しを考えながら2年以上経過した(^_^;)。
赤の「COZ」ロゴの上に黄色いカッティングシートを重ねる。今回は完全に多い隠すのではなく、赤字を影のように右下にはみ出させた。
ヘッドマークのカラカルの上に黄色いトラを重ねようとしたが、ヘッドチューブの延長に伴ってヘッドマークも大型化していた。サイズが合わないので、これはさすがに作り直さなくては。
切れ目の入った黄色いリングを貼り付けるのもこれまでのCOZ同様。このリングがなにを意味するか判る人は、かなりのタイガースファンだ。これでヘッドマーク以外は、これまでのCOZとほぼ同じデザインになった。
これまでの初代COZからパーツを外す前に、ポジションを記録しておく。原始的だが、壁に押し付けてサドルの高さやデュアルコントロールレバーの位置にマスキングテープを貼って、大まかに記録しておく。どうせフレームサイズやパーツが変わると完璧に同じ位置にはできないし、例え同じ位置にできてもサイズが異なるとベストポジションは変化する。
ほぼ同じデザインの2台のCOZ。いよいよ、移植を含めた組み立て作業開始。
パーツの組付け前に、折りたたみ関節(小BB)を分解。関節に用いているオイルレスベアリングは名前の通り潤滑剤無しでも機能を発揮するが、グリスを塗布すればよりスムーズに動作する。
力がかかる部分なので、アルミ製固定ボルトにはネジ止め剤を塗布してしっかり固定する。
折りたたみジョイント(Quick-it)のオス側のチタンボルトも、一度外してグリスを塗布して再固定。メス側と接触する頭の部分にも薄くグリスを塗布しておく。
Quick-itメス側の固定ボルトはステンレスだが、これまでの初代COZから外したチタン製に交換して、少しでも軽量化。グリスを塗布して再固定し、オス側ボルト擦れる入口付近に薄くグリス塗布。
ブレーキの油圧ホースは前回の作業でフレームに内蔵済みだが、シフトワイヤーをフレームに通す必要がある。うっかりチェーンステイに入れてあったリードパイプを抜いてしまった。仕方ないので不要なインナーワイヤーの先端にキャップを付け、チェーンステイを通していく。
長さを計算して出口付近に何度か前後させたら、すぐにチェーンステイ前側の開口部から先端が出てきた。たまたまかもしれないが、簡単に事が進んだ。
ダウンチューブにはリードパイプが通っているので、キャップを外して通してやると前側の右開口部からインナーワイヤーがすっと飛び出した。
ここまでは良かったが、ワイヤー出口を左開口部に変更しようとしたらワイヤー先端がフレーム内に落ち込んで、引っ張り出すのにちょっと手間取った。ブレーキとシフト両方のリア側ケーブル(ホース)を同じ穴から出しておけば、折りたたみ状態からの展開時にまとめて握ってワンアクションでたるみを取ることができる。車体左側に立って展開作業するので、左開口部から出せば操作性が高い。
通したインナーワイヤー先端をアウターケーシング差し込んでマスキングテープで固定する。テープでインナーとアウターの段差を滑らかにすると、通しやすくなる。これは元同僚に教えてもらったテクニック。
前からの押し込みと、後ろからの引っ張りのバランスを取りながらダウンチューブ内を通していくと、大した苦労なくBB後部の開口部からアウターの先端が出てきた。
続いてチェーンステイ内を通して行き、こちらもスッとアウターが通った。
フロントシングル化のために用意したのは105グレードの11-34Tのカセットスプロケット、CS-HG700-11。11速とは言ってもさすがに隣との歯数差が大きい。個人的には、恐らくもどかしさも感じるだろう。平地の巡航、特にドラフティング時は微妙なギア比を調整できないとストレスがたまるものだ。
CARACLE-Sをメイン機にしていた時には、1×10速ながらカセットスプロケットを11-28Tにナロー化して使用していた。使用頻度の少ない40km/h以上での加速(踏み込み)を諦めてフロントを小さくすれば、充分に峠越えをこなせる。頻度の高い平地巡航を重視して、クロス化した方がトータルの満足度が高くなった。
しかしながら、CARACLE-COZはCARACLE-Sよりスポーティーで常用速度が上がる。なおかつ私の脚力低下も考慮すると、もう少しロー側を広げたギア比が欲しいところだ。11速でフロントシングル化するなら、最終的には11-30Tか11-32Tくらいが個人的な最適解ではないかと予想している。
とは言え、これは貧脚なくせに峠越えを混じえてロードバイクと一緒に走る個人的な事情だ。マイペースでソロライドする場合や、折りたたんで持ち歩く機能を重視するなら、ワイドなカセットスプロケットでフロントシングル化する意義は大きい。軽量化や取扱いの簡便さにつながるので、多くの愛好家にはこの仕様が役立つのではないかと予想している。それを検証するのが今回の目的のひとつ。
CS-HG700-11は他の105グレードカセットスプロケット(CS-R7000)と異なり、HG11速用ハブに1.85mm厚のスペーサーを挟んで装着する仕様。これはMTB用コンポと共用化するためのようだが、スペーサーを省けば8~10速専用のハブにも装着できるらしい。
今回はスペーサーを挟んでカセットスプロケットを装着完了。ここからは初代COZのパーツを本格的に外して行くことになる。組み上がるまで遠出できる自転車が無くなるので、一瞬ためらってから意を決してバラし始める。
まずタイヤ類を外してディスクブレーキ対応ホイールに移し替える。続いてチェーンホイールやBBを外していく。
ワイヤーや油圧ホースの長さに変化が生じる可能性があるので、チェーンホイールを装着する前にポジションを確認しておこうと、フォークにステム、ハンドルバー、コラムスペーサーなどを仮組みしていく。シートポストとサドルも装着。
BB位置を確認すると、地上高が5mm近く高くなっていた。販売仕様ではディスクブレーキ採用に伴いタイヤサイズを20×1-1/8インチに太くしているが、この個体は初代TORACLE-COZから移し替えた7/8タイヤサイズのままなので、そのせいではない。今までのタイヤより太いサイズの装着を想定して、フレームのクリアランスを増やしているので、そのせいだろう。新しいBB位置を基準にサドル高を定め、ハンドルポジションも固めようと思ったが・・・。
これまでのデュラエースDi2(ST-R9150)と比べて、GRX(ST-RX600/BR-RX600)のレバーはかなり大きく形状も異なるので、単純にポジションを移植するのは難しかった。レバー先端は20mm以上前に出ているが、途中を握ることもできるので、ステムの適正サイズがわからない。油圧ディスクブレーキの感覚もわからないので、ひとまず組み立てて試乗してみるしかなさそうだ。
ブラケット位置が遠くなるのは間違いないので、その分ハンドル位置を少し高めにして、前傾を和らげた。これまでステムを天返しにしてプラス7度の前上がりで使用していたが、ヘッドチューブが50mm伸びたラージサイズフレームなら、ロードバイクで一般的なマイナス7度状態でも、メーカー保証範囲(11cm以内)のコラムスペーサー長でセットできた。ポジションが固まっていない現時点では、フォークコラム(ステアリング管)をカットしない初期状態のまま。
初代COZでステムが前上がりにしたのは、コラム長をメーカー保証範囲に抑えるためというより、コラムトップにヒザが当たるのを防ぐ目的が大きかった。そちらについても、37mm伸びたトップチューブで改善することは、試作車で確認済み。美観的に不満のあったステムの前上がりが解消することは嬉しい。
大まかにポジションを設定して、少なくともワイヤーや油圧ホースの長さが不足することはなさそうなので、初代COZから外したBBを装着。シマノは一度外したBBを再装着しないように推奨しているが、ここは 自己責任で再使用。
デュラエース(FC-R910)のクランクには、ひとまず手持ちの46Tナローワイドチェーンリングを装着した。ノリクラ決戦仕様として用意したものなので歯数が少なすぎるが、これでも11Tトップコグならケイデンス100rpmで35km/h程度までは出せる。最終的には48Tか50Tのチェーンリングを調達するつもりだが、2018年のノリクラ後にしばらくこのチェーンリングを外さずにいたこともある。のんびりライドなら充分使える。
初代COZから外したチェーンをクリーニング。前46Tx後ロー側34Tなら、ひとまずこれまでの110リンクでそのまま使用できる。チェーンリングの歯数が決定してから、交換を検討する。
リアディレイラー(RD)は勤務先に残っていた非シャドーのシマノ105を装着。一世代前のRD-5800-GSは最大ギア数がスペック上32Tまでだが、たぶん今でも昔のロードエンドを前提にしたキャパシティにしてあるだろう。取付台座がハブ軸から離れた現在のエンドなら、2Tくらい大きなスプロケットは使用できると予想している。
RDのハイロー位置を合わせてから、KMCのミッシングリンクでチェーンを接続。
ロードバイクと異なるCOZの注意事項として、ワイヤーや油圧ホースは折りたたんだ状態で余裕のある長さにする必要がある。折りたたんで検証し、長めにしてあるシフトアウターをカット。
暗くなって作業が困難になったので一日目はこれで終了。朝から取り組んできたが、途中で中断もあり、一日では組み立てできなかった。
明けて翌朝は7時台から作業再開。カットしたシフトアウターの先端をヤスリで平らにして、内部にシリコンオイルを注入。デュアルコントロールレバーの付属のノーズつきキャップを被せて、インナーワイヤーを通していく。
RD側もアウターの先端にキャップを被せ、インナーワイヤーを仮固定して初期伸びを取り、インデックス調整。幸いなことに、34Tスプロケットは全く問題なく使用できる。予め締め込んでおいたBテンションボルトを、結局はかなり戻した。
ひとまずブレーキと変速が可能になったので、近所を試走。ハンドルポジションはやはり遠いが、ハンドル高を高めにしたこともあって、思ったより前傾はキツくない。指一本届けば油圧ディスクブレーキはガツンと利くので、デュアルコントロールレバーの根元の方を持っていても大丈夫そうだ。ラージサイズ化で窮屈さが無くなり、ヒザがコラムトップに当たる可能性は低そうだ。
変速も大きな問題はない。リアをロー側に変速するとチェーンリングがチャリチャリやかましいのは、2018年に使用したときと同じ。2019年のノリクラでさらにギア比を下げるために、他メーカーのチェーンリングを装着したら異音はほとんど無くなった。解決方法がわかっているし、実用上の問題もない。
ポジションを微調整して、作業続行。フロントディレーラー(FD)は使用しないので、台座を取り外す。
ペダルを一旦外して「カタログ値」の重量計測。表示された約7.3kgを「重い」と思ってしまうのは、初代COZ(リムブレーキ)で昨年のノリクラ出場時に約6.3kgまで到達していたからだ。油圧ディスクブレーキ化によるホイール等の強化やフレームのラージサイズ化、機械式変速にグレードダウンといった重量増は覚悟していたが、やはり残念。とは言え、普通に考えればロードバイクとしても充分に軽量な部類だ。実際に使用する中で、重量増と走行性能向上のどちらが優位なのか検証していこう。
バーテープを巻く前にハーネステープを下巻きしておく。ワイヤーや油圧ホースをしっかり固定して、ハンドルがバーテープ裏の両面テープでベタベタにならずに済む。
と言いつつ、裏面に粘着性のないバーテープを本巻していく(笑)。これでもしっかり巻いておけばずれる事はないし、ポジションの固まっていない状況では巻き直しが簡単な方が良い。ただし、転倒したりして一部が切れただけでも全部バラけるので、他の人には勧めない。
バーテープの装着完了。残念ながら、ダウンチューブ前側の左開口部から導いた油圧ホースがS字を描いてしまい見栄えが良くない。これまでのMサイズフレームでワイヤー式ブレーキを装着するのとは、少し条件が変わるようだ。折りたたみのためにはこれ以上短くするのもリスキーだし、油圧ホースは簡単に短くできるものでも無い。折りたたみ展開時の手間は増えるが、右開口部から出すようにした方が見栄えはよいだろうが、これも簡単にできることではない。機能的には油圧ホースがどんなに屈曲しようが動作に影響しないので、しばらくはこのまま使ってみるが、折りたたみ機能と見栄えのどちらを優先するか、悩ましいところだ。
バーエンドはとりあえずテープに付属しているものを装着したが、後日こんなのに交換した。ワールドサイクルさんが待ち望んだ商品化を実現してくれた。虎の顔バージョンやバーテープも商品化されている。実は開発段階で相談を受けていたが、「カッコよくする必要はなく、下品に目立つようにすれば良い」と助言しておいた。バーテープは消耗品としては高価だし、TORACLE-COZシリーズはあえてタイガース色を目立たせないようにしている(わかる人にはわかる仕掛けはしてあるが)。バーエンドなら「あからさま」ではないし、気付く人がいれば「ニヤリ」というところだろう。
これまで清酒タイガースの栓をバーエンドに装着したりしていたが、鉄製で錆びるし、外れやすいし、一個入手するのに一升瓶を一本空けなくてはならない(笑)。左右揃えるには2升だ。それに比べれば安いもの。
平常の使用ができるように、ハンドル周りにiPhoneホルダーやカメラホルダー、ベル、モバイルバッテリーホルダーなどを装着していく。モバイルバッテリーホルダーはヘッドチューブが長くなったために装着位置が高くなり、窮屈になってしまった。着脱が大変なので、対策を考えなくては。
ダウンチューブの上側の台座にボトルケージを装着し、下側の台座に前輪固定プレート(スルーアクスル用)を装着。
先ほど取り外したFD台座の装着ダボには軽量な樹脂製ネジをねじ込んでおき、水や汚れの侵入を防ぐ。
マッドガード台座を装着するが、キャリパーブレーキのシャフトを用いないので目立つフロントはチタン製ボルトを調達しておいた。
フロントマッドガードを装着し、油圧ホースに「昇り虎」も移植。
リアマッドガード台座は目立たないので、とりあえずステンレス超低頭ボルトをそのまま移植。
これにてほぼ出走体制が整った。私の体型では無理矢理感のあったこれまでMサイズと比べると、かなり美しくなったと感じる。
あとはフロントチェーンリングがもう少し大きければ、さらにロードバイクらしくなるだろう。
油圧ディスクブレーキの性能と併せ、近いうちに峠に上って検証しなければ。
「TORACLE-COZ 2(ディスクブレーキ)組立て その3」に、(多分)続く
ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。
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