TORACLE-COZ組立て その1 [ワイヤー内蔵作業]
勤務先の新商品CARACLE-COZは、愛好家や販売店のお陰でなかなかの人気になっている。とは言え、引っかかっているのは営業担当の私自身がCARACLE-Sほど乗り込んでいないし、触っていないことだ。なかなか生産が追いつかない状況ではお客様の注文に対応するのが最優先で、試乗車も増やせず、数少ない試乗車もポジションが私の体型に合わないので、本格的に走り込むことができない。
また、昨秋のスズカエンデューロからレース活度に積極的な社内スタッフの多くがすでにCARACLE-COZの試作車に乗っているが、引き続きCARACLE-Sに乗るスタッフも必要。そんな事もあって、私は引き続きCARACLE-S 2016試作車であるTORACLE(虎来る號)で自転車活動を続けてきた。
もちろん、社内で情報は共有しているので、他のスタッフが体験した走行性能や整備、カスタマイズのノウハウを販売店や愛好家へ説明してきた。とは言え、自分自身の体験を語ってきたCARACLE-Sと比べると、営業トークが借り物で力が入り切らない。そんな訳で、やはりCARACLE-COZも自分で一から組み立て、ポジションを合わせた個体でしっかり走り込んで検証してみたいと思うようになった。
とは言え前述の通り、生産が追いつかない状況で従業員は後回しだ。そこで、売り物にならない試作フレーム、それも耐久性試験を終えた個体を使わせてもらうことにした。10万回の振動を加えた後となっては、いつ寿命を迎えても不思議ではないが、これも耐久性の検証になるだろう。
素材にカーボンファイバーを採用し、折りたたみ関節を一つに絞ったCARACLE-COZのフレームは前フォーク込みで約1.6kg。やはり折りたたみ自転車としては、とんでもなく軽い。
CARACLE-SはTORACLE(虎来る號)と愛称を付けていたがTORACLE-Sと改め、このCARACLE-COZはTORACLE-COZと名付けて使い分けるつもりだ。TORACLE-Sのようにイエローカラーのフレームとは行かないが、パーツ類にイエローを使用してこちらも黄色と黒のタイガースカラーを実現したいところだ。
これから合間を見て徐々に組立作業を進めていくが、まずはワイヤーの内蔵作業を実践してみることにした。組み立て担当のスタッフから聞いていたテクニックに従い、フレーム前部のワイヤー出口の蓋を外し、ワイヤーの出し入れをしやすくする。
次に不要なインナーワイヤーの先端を少し曲げ、BB後部のワイヤー出口から挿入していく。
ダウンチューブが途中で二股に別れているので、下側に誘導するためにフレームをひっくり返す。前部の出口からワイヤーが見えたので、ワイヤをくるくる回転させて曲げた先端が出口を向いたところでを押し出す。これでガイドとしてのインナーワイヤーを通すことができた。
インナーワイヤーをアウターケーシングに挿入し、テープで留める。この時テーパーになるように巻いてインナーとアウターの段差を滑らかにしてやる
後はインナーワイヤーを引っ張って抜いていき、フレームにアウターワイヤーを通していく。
まずは1本目を無事に通せた。
続いて、他2本のワイヤーも内蔵していく。試しにテープで巻かずに通してみたが、インナーとアウターの段差がBB付近で引っかかってなかなか通らなかった。ちょっとしたことだがテープで段差を無くすだけで、スムーズに通すことができた。
ちょっと手順に失敗したが、チェーンステイへの内蔵作業を先にしておくべきだった。後ろからインナーワイヤーを通すと、なかなか出口から出てこない。それでも出口までの長さを計算してワイヤーをくるくる回していると曲げた先端が出口から顔を出した。ちょっと手間取ったが、チェーンステイへの内蔵作業も完了。
3本のワイヤーをフレームに通したら、前部出口の蓋をかぶせて内蔵作業完了。もっと大変かと思ったが、意外と簡単だった。
このフレームは展示や耐久性試験のためにライナーチューブを外してあったが、出荷フレームにはライナーが通されている。インナーワイヤーを通すのはもっと簡単だし、省略してライナーをガイドにしてもよいだろう。
違うパターンも試してみようと一度ワイヤーをアウターを脱いて、いきなりアウターを通すやり方も試してみた。出口付近にアウターの先端が来たら目打ちで引っ掛けて引き出す。インナーワイヤーを通しておくより難易度が高かったが、根気よくやればいずれ成功する。慣れればもっとスムーズにできるだろう。
これで自分の体験を元に販売店に説明できるテクニックを、ひとつ体得することができた。まずは組み立ての第一歩。
ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。
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