娘の入学祝い [CARACLE-S 2016 キャリア装着編]
高校に入学する娘の入学祝いとして、自社商品のCARACLE-Sをひとまず走れるところまで組立てた。
とは言え、部活動などで多くの荷物を運ぶ必要があると予想される。全てを背負うのは大変だし、「制服が傷むので、キャリアを付けて欲しい」とのヨメさんの要望もあった。
CARACLE-Sにはエンドダボもあるし、通学用に市販キャリア装着するだけならそれほど難しくはないだろう。とは言え、通学用がメインといっても、たまにモデルになってもらうこと(=一緒に輪行ポタリング)を目論んでいるので、折りたたみ機能の維持は必須事項。
しかしながら、これはなかなか難しい。せっかくの超小型折りたたみサイズが大きくなったり、走行時に脚に当たったり、そもそも折りたたみが困難になったりしがちだ。それでも、「キャリアを装着したい」との要望は、ユーザーからもちょくちょく寄せられている。
それを受けてオリジナルキャリアの開発も進行しているが、発売まではしばらくかかりそうだ。ここはこれを機会に困難にチャレンジしてみようと思い立った。
装着状態でCARACLE-Sの折りたたみサイズを損なわない市販キャリアは、当然ながら見当たらない。ならば、輪行時には簡単に取り外せるキャリアが選択肢になる。とは言え、シートポストだけで支えるタイプのキャリアは、特にシートチューブの短くシートポストの長いCARACLE-Sでは負担が大きくなることが予想でき、お勧めできるものではない。
やはり、リアエンドのダボにステーを固定してしっかり支えるタイプが望ましいが、CARACLE-Sはリアサスペンションがあるので、注意が必要。
そうした点を考慮して、2つの製品が候補に上がった。1つは前職ユニコで扱っているPLETSCHER製MTBクイックラックサスペンション。工具不要でワンタッチで着脱でき、サスペンションにも対応している。しかしながら、対応シートポスト径が31.6mmまでとなっているので、33.9mm径のCARACLE-Sには装着できない可能性がある。
シートポストの当たり面のプラスチックを削れば何とかなりそうな気がするが、もうひとつの候補より高価なこともあって第二候補とした。デザインはこちらの方が格好良く思えることもあって、機会があれば自分用にはこちらを検証してみたい。
今回、第一候補として調達したのはミノウラ製SSR-4000。シートポストにQRクランプで固定し、ステー下部のエンド固定部分は一定の角度でだけ横方向に外れる形状になっており、工具不要でワンタッチで着脱できる。
この機構は前述のPLETSCHER製と全く同じで、ステー下部は全く同じ形状。どちらかが、もう一方のパーツ供給を受けているのではないかと思われる。自由に動く関節を複数設けることでリアサスペンションに対応するのも同じだ。
ただし、こちらも添付のQRマウントではシートポスト径29mmまでしか対応していない。しかしながら、マウントを別売りのミノウラ製SM-2835-2と交換すれば35mm径まで対応できる。
マウントを交換して装着しようとしたが、幅の広いステー先端のプレートとリア側の固定マグネットと干渉してしまう。
いきなり壁にぶつかったが、一つ目の解決方法として、マグネットを外せば装着できる。
とは言え、折りたたんで移動する際には傷つき防止のためにもマグネットも使用したい。
そこで、マッドガードとキャリアのステーの装着位置を入れ替えてみた。するとステー同士がぶつかって干渉するので、ステーの装着方向を前後逆にしてみた。
これでステー同士の干渉は避けられ、マグネットも何とか装着できる。ところが、下部ステー先端のプレートが、マッドガードステー先端のループとぶつかって、QRマウントがシートポストに届かない。
キャリア前方のステーをいっぱいに伸ばして前に押せば何とかシートポストに固定できるが、ステーに無理な力がかかっているし着脱もし辛い。ただし、この点についてはマッドガードを装着しなければ、問題は生じない。
また、ホイールを装着したままだと、ホイールQRのナットとステー先端プレートの先端が接触して着脱が困難。ホイールQRを緩めて少しナットをずらせば着脱は可能だが、少し手間だ。
マッドガードを併用するための方法を考えたが、結局プレートの干渉する部分を削ることにした。マッドガードステー先端のループに干渉する部分だけでなく、ついでに先端のホイールQRナットとの干渉部分も削った。この作業を行うとメーカーの保証を受けられなくなると思われるし、強度不足による破損に繋がる可能性も無いとはいえない。自己責任であることを承知の上で作業する必要がある。
これで無理な力を掛けなくても、キャリアをかなり前方に装着できるようになり、着脱操作も楽になった。
キャリアや積載した荷物がペダリングの邪魔にならない範囲で、できるだけ前側にキャリアを装着することが望ましい。荷重が重心に近づき、走行安定性を高めることになるからだ。
もうひとつの問題として、マッドガードステーを前後逆に装着したことで、タイヤとマッドガードのクリアランスが空きすぎてしまった。
このままでは見栄えが悪いし、折りたたみサイズも大きくなってしまう。
そこでステーを曲げ箇所を増やしてクリアランスを調整。
これで何とか、ワンタッチ装着キャリアとマッドガードを併用する事ができた。通勤時にはある程度の重量物を安定して運ぶことができ、週末ライドではキャリアを外して軽快に走行するという目論見が実現できるはずだ。
マッドガード先端ループに押されてマグネット位置が変化したので、キャリア装着前に時間を掛けて行った折りたたみ状態のセッティング作業は無駄になってしまった。最後にこれをやり直した。
色々大変な作業だったが、マッドガード、あるいは固定マグネットのどちらかを諦めれば、SSR-4000+SM-2835-2は加工無しで簡単に装着できるだろう(着脱時にホイールQRを緩める必要はあるかもしれないが)。CARACLE-Sの折りたたみ機能を活かしながらキャリアを使用したい方には一つの方法を示すことができたと思う。
あとは高い位置にある荷台が気になる。せっかくの小径車なので、もっと重心を下げてやれば走行安定性が高まるだろう。ただし、足に当る可能性が出てくるし、どうやってステーを短縮するかが問題だ。
休日出勤していた本業(精密板金部門)の工場長が、ほぼ作業が完了したところでこのCARACLE-Sを見てひと言「(父親の)一方的な愛情、満載ですね(笑)」。・・・イイのだ。これが自転車オヤジなのだ。一方的な愛情を押し付けて、JKを週末ポタリングに連れ出すのだ。
■CARACLE-Sへのキャリア装着例のまとめ
- CARACLE-Sにキャリアを装着したい場合、ミノウラ製SSR-4000にSM-2835-2を組み合わせれば、簡単に着脱可能な状態で装着可能(着脱時にホイールQRを緩める必要あり)。
- ただし、マッドガードを併用する場合は、プレートの切削加工やマッドガードステーの曲げ加工が必要(メーカー保証を受けられなくなる)。
ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません(自動車会社のF1やワークスマシンみたいなものと思って下さい)。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。
コメントを残す