通勤用CARACLE-S組立て その2
[通勤用CARACLE-S組立て その1]からの続き
1ヶ月近く中断していたCARACLE-S 2015モデル試作車の、組み換え作業を再開して2週目。幸か不幸か9/18は台風が近付く中、朝から雨が降ったリ止んだりで自転車で遠出はできすにないので、朝から作業開始。もっとも、こんな天候の中でも、大阪在住のノリクラ仲間2人はSDA王滝に出場していた。
まずは装着するチェーンとカセットスプロケットをクリーニング。フィルタークリーナーで洗った後に、洗剤で洗ってかなりきれいになった。
空気入れを怠ったことによるリム打ちが原因ではないかと息子を疑っていたが、タイヤに針状の鉄片が刺さっていた。これは息子に責任はないか・・・。
パンク修理の間にほぼ乾いたので、チェーンを袋に入れてチェーンルブをスプレー噴霧してしっかり注油。10S化前に使用していたCARACLE-Sの標準仕様9Sチェーン(CN-HG53)は長らく放置していたせいか、きれいにしたつもりでもサビらしき茶色の汚れが浮いてくる。何度か拭き取ったが、近いうちに交換した方が良さそうだ。
カセットスプロケットはひとまずの間に合わせで、中古品のSRAM製9速(11-26T)を調達した。ロックリングなしだったので格安の842円。仕上げやロー側が一体化されていないところをみると、さほど高いグレードではなさそう。
とは言え、完全にバラバラにできるのでクリーニングしやすい。きれいになってから改めて見ると、歯はほとんど減っていない。
ロックリングはシマノ製CS-6700のものを流用してホイールに装着。ここだけ見るとアルテグラスプロケ(^_^;)。
お次は先週装着だけした、Vブレーキ本体の調整。今回は以前使用していたBR-R353標準のブレーキシューを再活用。
26インチ以上の自転車で使うことを想定し前後に長いブレーキシューは、20インチのCARACLE-Sでは調整がシビアになる。理想を言えば、性能の面から言ってもTORACLE(虎来る號)に装着タイオガ製453CVのような、シマノロード系ラバーブロックを使用できるコンパクトなカートリッジ式シューを採用したいところだ。とは言え、今回はできるだけ低予算で組み上げるつもりなので、ひとまず先送り。
続いてハンドル周りのレバー類装着とワイヤリング。アウターワイヤーは以前装着していたものを流用し、レバー類やハンドルバーのポジションもマーキングしているので、セッティングは楽。
ブレーキワイヤーを本体に装着していくが、ドロップバー用ブレーキレバーとVブレーキを組み合わせるとアジャスターが無くなるので、どこかに増設しないと不便だ。ワイヤーの途中にアジャスターを挟む方法もあるが、私はVブレーキのリードパイプにアジャスターが付いたものを使用している。
リアブレーキはCARACLE-Sの標準リードパイプ(アジャスター無し、110度)と、テクトロ製917.12(アジャスター付き、90度)を組み合わせて110度のアジャスター付きリードパイプを作った。以前ドロップ化する際には917.12の角度を深く曲げてみたが、きれいに曲がらず工具の跡も残った。2個を組み合わせる方法なら、仕上がりはきれいだ。
アジャスターを締め込んだ状態でリードパイプをブレーキ本体の受けから外せるギリギリの長さにセッティングし、走行時には少しアジャスターを伸ばして使用するとクイック機構がなくてもタイヤの着脱が容易になる。CARACLE-Sは輪行時にタイヤを外すわけではないので、QRの必要性はさほどない。パンクやメンテナンスの際に外すだけなら、軽量でワイヤーを途中で切らないこの方法で充分だろう。
アジャスターのカップの径がやや小さく、カップを付けたアウターワイヤーが入らないので、今回もドリルで内径を6mmに広げて使用した。
フロントのリードパイプはテクトロ製のフレシキブルリードパイプTKB13.12を使用。
ブレーキが済んだら、お次は変速系。満を持して登場したディレーラーは、サンツアー製シュパーブプロ。前の通勤車「鉄下駄號」から外したものを、再活用する。
実は、シマノ10速用シフターでシュパーブプロを動かすと、シマノ9速のリアスプロケットとインデックスが一致するという記事を辰巳出版のムック本で読んだ。
それなら手持ちのパーツを活かして低予算で使いやすい仕様が組めそうだし、骨董品のサンツアーパーツとCARACLE-Sを組み合わせるのも面白いと思った。最初はCARACLE-S標準のカセットスプロケット(11-30T)に、同じように動作しそうなXC-PROのディレーラーを組み合わせようかと思っていた。
とは言え、ギア比がワイドすぎるなあ、と思っていたところに友人からシュパーブプロのチェーンホイールを譲ってもらった。そこで、どうせならできるだけシュパーブプロで組もうと決心した。11-26TのSRAM製カセットスプロケットを入手したのは、シュパーブプロのディレーラーのロー最大歯数が26Tだったからだ。
リアディレーラーで気になっていたのは、横方向の移動距離。シュパーブプロの7速と8速はロー側アジャストボルトの当るプレートの形状が異なり、トラベル量が異なる。辰巳出版の記事からするとシマノ9Sカセットスプロケットのトラベル量に対応するシュパーブプロがあることは確かなのだろうが、7速シュパーブプロで対応するかどうかは不分明。
これまで7速でしか使用していなかったので、あまり意識していなかったが、鉄下駄號に装着していたのは7速時代のモデルだったような・・・。8速用はもっとプレートが削られていたような気もする。
8速用の新品もストックしているが、引っ張り出して比較するのも面倒なので、とにかく装着してみた。予想通り、トップ側は充分に調整範囲。
心配していたロー側も、アジャスターの調整範囲でローギアの真下までガイドプーリーを動かすことができた(倒立させているので、画像では「真上」だが)。
加工したり、新品を引っ張り出したりせずに済んでよかった。
続いてチェーン装着。コマ数に悩んだが、フロントシングルなので、シュパーブプロに仕込まれたインジケーターに従うとロー側に変速した際にチェーンがかなり張る。今後フロントチェーンリングを大きくする可能性もあるので、2コマ長めにセッティングした。まずはこれで様子を見てみよう。
インデックス調整をして具合を見ると、さすがに純正同士の組合せのようにズバピタ変速とはいかない。全ギアのバランスを取ると、2nd、3rdギア辺りで変速のもたつきやチャラチャラ音がする。
無茶な使い方をしているので仕方のないことだし、通勤やちょい乗り程度なら恐らくは許容範囲と思われる。スプロケットとチェーンの組合せを変えれば、状況も変化するかもしれない。シマノ同士の組合せが最も無難だが、KMC製チェーンの採用も考えている。シマノ製チェーンと相性の悪かったRECONのアルミスプロケットでも調子が良くなったし、輸入元の方の話でも汎用性の高さがKMCの特徴とのことだった。
ロー側でもテンション調整ボルトをいっぱいまで締め込む必要はなく、もう少し大きなギアを装着することもできそう。スペック状の上のロー最大歯数は26Tだが、これはハブ軸とディレーラーが近いロードエンドでのもの。ストドロ(ステレートドロップエンド)のCARACLE-Sでは少し余裕があると思われる。27Tは問題なさそうだし、28Tも装着可能かもしれない。
メーカーも時代も異なるパーツの組み合わせが、ひとまず無事に動作してホッとした。いっその事、「全てサンツアーにしてしまえ」と思わなくもなかったが、他のパーツはなかなか難しい。スポーク穴数の問題で、リアハブ交換にはリムやスポークまで調達する必要がある。通勤以外にも輪行ちょいポタに活用することを考えているので、さすがにフロントシングルでリア7速だけでは厳しい。フロントハブはエンド幅74mmの製品が存在しない。
ブレーキに関してはサンツアー(前田工業)製のVブレーキは存在しないし、カンチブレーキやキャリパーブレーキの装着も難しい。ペダルの装着は可能だが、簡単に折りたたみできなくなる。シートポストがあればテレスコピックシートポストの上部に使用できるが、手持ちがない。
そんな訳で現時点ではブレーキレバー、シフター(コマンドシフター)、クランク、BB、リアディレーラーがシュパーブプロ系統のサンツアーパーツ。
ペダルはシマノ製PD-A530を仮に装着し、走行に必要な最低限のパーツのセッティングができたので、雨のやみ間に近所をひと回り。
試走してブレーキ、変速、ポジションのいずれも大きな問題は無かったので、次はバーテープ。
まずはストレートのハーネステープを下巻きしていく。ワイヤー類を固定し、ハンドルバーにバーテープの両面テープが残るのを防ぐことができる。
下巻きが終わったら、バーテープを本巻き。今回はとあるところころから試用を頼まれた、高グリップタイプのホワイト。
バーテープの巻き方には色々な流儀があるが、私はエンド側から巻き始め、上から見て外から内に巻いていく。巻き始めには両面テープを一周巻いて固定力を高め、巻き始めと巻き終わりは斜めにカットして分厚くなるのを防ぐ。
最初から最後まで同じ幅で重ね巻きした方が見た目がキレイだが、私は「肩」の部分の重ね幅を広くしてクッション性を高めている。ブラケット部分で一度カットする巻き方もあるが、私は緩みを防ぐために最初から最後まで一筆書き。
今回のテープはあまり伸縮性がなく、端が浮きやすくて巻くのが難しかった。ブレーキレバーだけの左側はまだ良かったが、コマンドシフターのある右側はいつも以上に苦戦。それでもテープに強度があり、安心してグイグイ引っ張れたのは好材料。
シワや巻きムラがあって不満が残るが、ひとまずバーテープ巻き完了。左だけエンドキャップを挿入し、右エンドにバックミラーを装着しようとしたが、鉄下駄號から外したものが見当たらない。まさか、誤って処分したか?
フレームと同系色なので悪くないと組み合わせだが、白は汚れやすいのが欠点。巻き作業でもちょっとした汚れが付いてしまったので、アルコールで拭いたが、完璧に真っ白には戻らない。強度があるだけに、このテープを張り替える理由は破損ではなく汚れだろう。汚れの目立たないカラーなら、長持ちするかもしれない。
ボトルケージはゼファル製の横抜きできるタイプを装着。以前も使用していたが、保持力がもうひとつで峠の下りで何度かボトルが脱落したので、TORACLEにはサーファス製NC-300スイッチヒーターを導入した。通勤程度なら大丈夫だろうと復活。
TORACLEにはナローサイズのサニーウィルのワンタッチ着脱マッドガードを採用しているが、通勤用となると雨中や雨上がりに走る可能性も高い。高い防御性能が欲しいので、CARACLE-Sの標準マッドガードを装着することにした。
とは言え、標準マッドガードは1.5インチ幅の標準タイヤ用で幅が広い。また、車体にチェーンステイブリッジ(に当る部分)と左右のエンドの3箇所でのみ固定しているため、外圧で動きやすい。これはスーツケースなどに収めた際に収納サイズを小さくするための工夫なのだが、一方で走行中に擦れやすいという欠点も同居する。
今回のCARACLE-S 2015試作車は通勤がメインで、遠出をするにしてもトレバッグ(輪行袋)を用いることになるだろう。日常的にスーツケースで移動しないので、走行時に固定力が高いほうが望ましい。
そこで、堅牢性を高めるために固定箇所を増やそうと考えた。方法のひとつはTORACLEのように、サスペンション後部のコの字パーツの固定ボルトを長いものに交換して、シートステイブリッジに当る部分を貫通して露出させ、そこに固定すること。それも悪くないと思うが、ちょっと面倒なのと違う方法を試してみたかったので、以前販売店さんに提案されたアイディア、松葉ステーを使用する方法を取ることにした。
鉄下駄號で使用していたESGE製マッドガードはかなり傷んでいたので破棄したが、松葉ステーや受けプレート、ボルト類を取り外しておいた。プレートを移植するためにCARACLE-S純正オプションのマッドガードに穴を開けたところで、8/18の作業終了。
翌8/19も台風が近づく中、雨が降ったり止んだりで絶好の自転車いじり日和(^_^;)。
昨晩穴を開けたマッドガードにボルト・ナットで受けプレートを固定して、松葉ステーを通して仮固定しようとした。
ところが、車輪径が小さいのでステーに角度がつき、エンドへの固定がしづらい。そこで、エンド近くでステーを曲げる。
これでエンドに平行にステーが当るようになったので、再度仮固定。
必要なステー長をマーキングして、金ノコでステーをカットする。ただし、標準仕様のタイヤも装着できるように、やや長めにしてキャップを被せておく。クリアランスを調整しやすいのが松葉ステーの特徴だ。
作業を進めていると、前日本SDA王滝に出場していた近所の友人がお土産を持ってきてくれた。聞くと、やはり大会は大雨の中でコースが濁流になっている箇所も多いハードな状況だったとのこと。いやはやお疲れ様でした。
ステーを装着して様子を見ると、かなり固定強度が向上しているように思える。
クリアランスを調整しやすいので、タイヤとマッドガードのすき間を、向こうが見えないように狭くできる。
タイヤとガードの太さが違いすぎているのだが、間の抜けた印象を少しは弱めることができるだろう。
フロントマッドガードは元のステーを活用して装着。ただし、クリアランスを狭くするために途中の曲げを強くし、適当なものがなかったクラウン貫通ボルトを除いてプラスネジを排し、全てアーレンキーボルトに交換した。そのうちクラウンに2016モデル同様のザグリ穴を設け、ボルトを埋め込みにすることも考えている。
また、純正マッドガードは前後共に畳んだまま転がせるように短めになっている。とは言え、JRの規制で輪行時はどうせタイヤを露出できないし、あまり転がし機能を使う場面もなさそうだ。前輪による水の跳ね上げからBBやフロントチェーンリング付近を守るために、フロントマッドガードの下端にフラップを装着しようと思っているが、今回は先送り
走行に関する装備の装着がほぼ完了したので、再度試走。バーテープ下にワイヤーを巻き込んだせいか少しインデックスがズレたので微調整。他は問題なし。
2ndボトルケージをBikeguyどこでもケージホルダーで装着して、ワイヤーロックや予備チューブ、ツール類を収めたビットリア製プレミアムジップツールケースを収容。
セイフティライトやフロントライト、ベルも装着した。バックミラーはとりあえず猛虎四號から外して装着し、ひとまず通勤に使用するための走行機能はほとんど整った。
お次は折りたたみ機能を整える。CARACLE-Sには折りたたみ時に前輪と後輪を固定するホイールクランプ(マグネット)が設けられているが、組換え前に使用していた試作クランプに替わって、現行のレバー付きタイプを装着。レバーを動かせば、わずかな力でマグネットが外れる仕組み。振動が強く加わるので、フレームへの取り付けボルトにはネジ止め剤の使用が望ましい。
マッドガード装着すると、折りたたみ時の後輪位置が変化するので、後部リンクの下にあるボルトで前後位置を調整しつつ、折りたたみ機能の確認。
組換え前と大差なく折りたため、大きな問題はない。ただ、シュパーブプロの後ディレーラーはただでさえゲージが短いのにチェーンを長めにセッティングしているので、折りたたむとかなりチェーンがたるむ。
それでもフロントチェーンリングの下にあるチェーンガイド(脱落防止機構)のお陰で地面に当たるところまでは垂れないので、大きな問題はないだろう。
メインの用途である通勤では不要なので迷っていたが、ついでにリクセンカウルのバッグアダプターをハンドルバーに装着しておいた。ライトと併用できるか心配だったが、何とか収まった、
ちなみに、ライトはXECCON製Spear600を最近入手した。台北ショーで何年か前に見かけて以来気になっていたメーカーだが、一度試してみることにした。最高600ルーメンとの触れ込みだが、これはホントかな? というところ。いずれにしても最高モードでは短時間しか電池が持たないので、一段明るさを落として使用するのが実用的だろう。
TOPEAKのライドケースマウントはコラムキャップに装着した方が見た目がすっきりするが、テレスコピック(二段式)ハンドルポストはコラムにズレ防止の溝があって、一般的なアンカーが使用できない。以前はHIRAME製マルチプレッシャーアンカーを加工して装着していたが、TORACLEに移植したのですぐ装着できるアンカーがない。ライドケースマウントはひとまずステムにバンドで装着。機能的にはこれで問題ない。
コラムキャップは元々付属していたものがどこかにあるはずだが、自宅に見当たらなかったので、出社したら勤務先を探してみる。再度アンカーを加工して装着することも考えている。それとも、いっその事スターファングルナットを打ち込むか?
まだ手を入れるが、ひとまず通勤や輪行に使用できる準備が整った。組み直したものの、このCARACLE-S 2015モデル試作車は、何百回も折りたたんでフレームの塗装は傷だらけ。でも、逆に言えば傷付くのを気にせずに折りたためる。これからは車載や輪行でCARACLE-Sを活用する機会を、もっと増やしていきたい。
[通勤用CARACLE-S組立て その3]に続く
ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません(自動車会社のF1やワークスマシンみたいなものと思って下さい)。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。
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