TORACLE(虎来る號)組立て その2
「TORACLE(虎来る號)組立て その1」からの続き
高野山往復の翌日7/17朝からCARACLE-S 2016モデル、TORACLE(虎来る號)の組立て作業再開。
まずは近所の友人宅の水道をお借りして、CARACLE-S 2015モデル(の試作車)から外したパーツ類をフレームと一緒にフィルタークリーナーと洗剤で一気にクリーニング。午前中は雨が降ったり止んだりだったが、上手く止み間に作業できた。
家に帰ってまずはハンドル周りの作業に取りかかる。最初は鉄下駄號から外したブレーキレバーやシフターを転用するつもりだったが、シュパーブプロのブレーキレバーはテンションスプリング無しの初期型であることに気づき、シフター「コマンドシフター」もシマノ10S化のためのプレート交換が必要。TRACLEは最高性能に持って行きたいので、CARACLE-S 2015モデルで使用していたテンションスプリング付きの後期型シュパーブプロブレーキレバーを用い、コマンドシフターも10S化の済んだものを流用することにした。
ところが、ついつい心配になってコマンドシフターの中のグリスの様子を確認した時に、うっかり落としてしまい、バラバラに。結局はプレートを含めて組み直すことになってしまった。セッティングを確認していなかったので、もとに戻すのにかなり試行錯誤。こんなことなら鉄下駄號のコマンドシフターのプレートを交換すればよかった。ついでにクリーニングしてグリスも新品に。
シュパーブプロのブレーキレバーもクリーニングして、この機会にレバーパッドを新品に交換。純正レバーパッドは入手困難なので、ヨシガイのBL07用レバーパッドを流用。少し窮屈で先端もずれるが、機能的には大きな支障はない。現行品なので安く入手できるし、ブレーキの老舗ヨシガイ(吉貝)製だけあって、耐久性にも優れている。
サンツアーのブレーキはローグレードを中心に吉貝が製造していたが、シュパーブプロは自製したためレバーパッドの耐久性が今ひとつという話。実際2シーズンも使用すると、劣化してボロボロになってくる。現在猛虎四號に装着しているのが最後の純正レバーパッドだが、かなり傷んできている。
シュパーブプロのブレーキレバーは20年以上前に製造された骨董品だが、手に馴染んでいるので所持する3台の自転車全てに装着して使い続けている。コマンドシフターも同じく骨董品だが、STIに比べて軽量で、直感的にシフト位置がわかるというメリットがある。シマノ10S化プレートが発売されているのも根強い愛好家がいるからだろう。特に、フロントディレーラーを使用しないCARACLE-Sでは、左のシフター機能を省くことによる軽量化のメリットが大きい。
思ったより手間取ったが、ひと通りレバー類の再整備完了。と思ったが、これからがもっと手間取った。
ハンドル回りのセッティングのために、CARACLE-S純正ブレーキアウターケーシングを、ドロップ化していた2015モデルと同じ長さにカット。CARACLE-Sに採用している純正アウターは、実は超高級品。
カットする際には不要なインナーワイヤーを通しておき、アウターのつぶれを防止する。通常のブレーキアウターは、コイル状のスチールやステンレスが芯材になっている。一方、CARACLE-S純正アウターは一般的なシフト用アウターと同様に、細ワイヤーを束ねた構造になっている。しかもその素材がほとんどアルミ製で、細ワイヤーのうち4本だけはステンレスを使用して強度を高めている。加えて、周囲をケブラー繊維で覆っているのがカットした断面からわかるだろう。
このカット面をヤスリで削って平らに整える。アルミ製なので、意外に簡単。
そしてケブラー繊維がほつれないように瞬間接着剤で固めておく。こうした一手間が、レスポンスや耐久性を向上させる(はず)。
これまで2015モデルで使用していたブレーキアウターケーシングの重量は前後合計で120g。
一方、同じ長さのCARACLE-S純正ケーシングは、何と55gと半分以下の重量! 少しでも軽くするためにアルミ製アウターを採用しているとは聞いていたが、あらためて計測してみるとかなりの軽量化になる。
ついでに、先日末端をカットしたZIPPのカーボンハンドルの重量を計測すると225g。カットした末端の重量から計算した通りだ。
ブレーキレバーをハンドルバーに装着して、ワイヤーをセットしようとして問題に気付いた。
ZIPPのハンドルバーにはシマノSTIレバーの装着を想定したと思われる穴が開けられている。 ブレーキワイヤーはバーの内側、シフトワイヤーは外側に通すことが前提のなのだろうが、コマンドシフターを装着すると、シフトワイヤーも内側に出てくる。
フラット部分がエアロ形状になっているので、穴を通さずにバーに添わすのも難がある。そこでブレーキレバーの左右を入れ替えて、本来はシフトワイヤーを通すための穴にブレーキレバーを通してみた。結果は、抵抗が大きすぎてインナーワイヤーが動きづらい。細ワイヤーを束ねた構造のCARACLE-S純正アウターケーシングは、圧倒的な軽量さと引き換えに、屈曲させると内部抵抗が大きくなるのが欠点だ。
止む無く、ワイヤリングは後回しにして他の作業を進めていく。ステムは突き出し40mmのgrungeレイザップステムを入手し、まずはこちらを装着する。
重量は125g。前面のプレートをgrungeのセパレートタイプに交換して、チタンボルトにすれば軽量化が可能だろうが、ポジションが確認できるまでは、ひとまずノーマル仕様のまま装着する。
40mmのレイザップステムが本命だが、念のため突き出し35mmの安いステムも入手している。とは言え、価格なりの安っぽいデザインなので、あまり使いたくない。
レイザップステムでハンドルバーを装着。
TOKENのチタンシャフトBB(ボトムブラケット)TK868CTを装着。
チェーンホイールはデュラエースFC-7410。MicrOHEROチェーンリングはギア位置が本来のインナーとアウターの中間に来るようオフセットしている。ゴールドカラーは、このTORACLEへの装着を想定してのものだったのだ。
ペダルは普段乗り用のPD-A530。
サスペンション後部のボルトを長いものに交換して、シートステイブリッジから突き出させ、ワンタッチマッドガード装着用の台座を装着。
ホイールは2016モデル用も使用可能だが、旧モデルの2015モデルの方がわずかに軽いので、そのまま流用。タイヤ(Panaracerミニッツ・ライト)が寿命を迎えていたので、交換。
カセットスプロケットは純正の9Sから交換し、10S用のシマノ CS-6700(11-28T)を使用している。
リアディレイラーも10S用。シマノ アルテクラ(RD-6700)を装着。
ブレーキ本体はBR-R353だが、新品を装着。ただし、ブレーキシューはこれまで使用していたTIOGA 453CVに交換。このシューはコンパクトなシマノのロード用キャリパーブレーキのパッド(55mm長)を装着できるので、小径車でも調整が容易で、シマノ製や互換パッドから好みの性能のものを選択できる。
パッドがかなり消耗しているので、この機会に交換しようと思ったが、パッドが行方不明。取りあえずシューの組み換え作業を始めたが、片側を交換したところで別件でトラブルが発生し、19時前に作業中断。
丸一日取り組んでも、なかなか前進しなかった。
開けて7/18。中3の娘の進学説明会などがあって丸一日は使えないが、朝から作業再開。
家宅捜索をしてようやく発見した交換用パッドはSCS 605A。前職で導入に関わった商品だが、最近パッドのみの販売を始めたので、より使いやすくなった。シマノR55C4系は最初からガツンと効く素晴らしい制動力だが、コントロールが難しく特に後輪がロックしやすい。605Aは加える力に従って素直に制動力が増していくのでコントロールしやすい。それでいて、強く握ればストッピングパワーはシマノ製にも劣らない。
これまで453CVに付属していたパッドをそのまま使用していて、そう悪くないフィーリングだったが、605Aに交換してどうなるか?
カンチ台座への固定ボルトとワイヤー固定ボルトは、手持ちのチタン製に交換。
ワイヤーも仮にセッティングしたが、空中配線でも抵抗が大きいのかブレーキレバーが戻りきらない。カンチ台座のスプリングを通す3つの穴のうち、一番テンションを高める穴にセットしてみると、ひとまず動作。
チェーンはKMC X10SL ゴールド。ミッシングリンク装着なので、工具無しで簡単。
作業中に、荷物が届いた。CARACLE-Sにも乗っている友人からのいただきもので、サンツアー シュパーブプロのチェーンホイール。しかも、チェーンラインを微調整できるシールドBB付きだ。またもや骨董品だが、これも近いうちに出番がありそう?
シフトのインナーワイヤーは社内に転がっていた(?)シマノPTFE系と思われるもの。
PTFEケーブルは対応品以外で使用すると固定力が不足する恐れがあり、特にブレーキでの使用は注意が必要だ。とは言え、今回はシフト系だし、固定ボルト付近に「加工」を施して(?)対策。
ちょっとだけハイ・ロー位置を調整し、ワイヤーテンションを調整して、変速機能は問題なし。
とりあえず走行可能な状態になったので、近所を試走。サンダル履きで軽く走っただけだが、変速やブレーキングに問題はなさそう。ハンドルポジションが少し遠く感じるが、ちょっとした角度調整で変化するので、確かなことはわからない。致命的な問題はなさそうなので、さらに組立作業を進める。
チェーンの脱落を防止するチェーンフォールプロテクターをシートポスト後方のサポートバーに装着。MicrOHEROチェーンリングは外側にガードが付いているので、内外両方からチェーン脱落を防止できる。
フロント用のマッドガード台座も装着。レース系イベント出場時は台座ごと外してしまうが、トレーニング時にはあると安心。輪行の際などにはワンタッチで着脱可能。
ハンドルポストの上パイプは位置決めのために凹みが設けられており、断面が真円ではない。
この凹みに合わせて削って加工したヒラメのプレッシャーアンカーをセット。
トップキャップ部分にTOPEAKのライドケースマウントを装着。見やすそうなのでステム前面に装着するタイプの導入も検討しているが、ライト等との干渉を避けるには、トップキャップ装着のほうが良さそう?
午後は外出して、夕方から作業再開。
ハンドルバー付属の穴に通すことを諦め、バーに這わせたワイヤーをタイラップで固定してみた。
最初はバーのフラット部分にバーテープを巻かず露出するつもりだったが、こうなるとそのままでは不細工。ストレートのハーネステープを下巻きし、バーテープをハンドルコラム近くまで巻いていく。
これでどうだ! と思ったが、テープ下に巻き込むとリアブレーキワイヤーの動きが渋くなり、レバーが戻らずシューがリムに接触したままorz_。
シマノ製アウターを使用すれば恐らく改善するだろうが、重量が半分以下になる純正アウターを無駄にするのは惜しい。インナーに抵抗の少ないナノテフロンやPTFEコーティングタイプを採用する方法も考えられるが、手持ちはないしかなり高価になる。空中配線では動作していたので、何とかスムーズなワイヤリングが実現できれば一番良いのだが・・・。対策を検討するために、ひとまずワイヤリング作業は保留。
ひとまず、続行可能なその他の作業を進めていく。リア右側のカンチ台座にリフレクターを装着。
チェーンステイにはBkuetoothスピードセンサーを装着。
ケイデンスセンサー機能も備えたCATEYEの製品だが、CARACLE-Sは20インチ車輪でリアセンターが長いため、一体型センサーで両方を機能させるのは難しい。ケイデンスについてはクランク装着タイプを別付けしている。
CARACLE-S 2016モデルにはヘッドマークの下にアクセサリー台座が設けられている。16/30mmピッチなので、RIXEN KAULのヘッドチューブアダプター KR822が装着可能。
エアロハンドルにはRIXEN KAULのアタッチメントを装着するのが難しそうだし、重心を低くできるのはメリットだ。フレーム側に装着するのでステアリングにも影響が少ない。
バッグを装着してみると、懸念していたフロントタイヤとのクリアランスは何とか確保できているようだ。ただ、かなり前に出るのと、手が届きにくくなるのが気掛かり。この辺りは実際に走って検証してみよう。
バックミラーやボトルケージなども装着し、この1日半の作業でようやく形になってきたが、ワイヤリング問題を解決しないと実走行もできない。さて、どうするか?
「TORACLE(虎来る號)組立て その3」に続く
ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません(自動車会社のF1やワークスマシンみたいなものと思って下さい)。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。
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