第7回スズカ8時間エンデューロ春SP参戦記
昨秋に続く2回目の出場となったスズカエンデューロ。今回も勤務先の「チームCARACLE」として参戦で、走行性能を実証するべく、チーム全員が20インチの折りたたみ自転車CARACLE-Sで出場する。
ほぼ一日中雨の中で8時間走り続けた前回に比べると、今回は天候に恵まれそうな予報。メンバーの一人が直前に気管支炎にかかるという不安要素はあったが、薬と気合で症状を抑えてもらった。前回(一人が参加できなくなり、私が風邪気味)に比べれば、メンバーの状態もまだマシ。
今回も前夜から鈴鹿に入り、私は3:40起床。前回より1時間早い4:30にホテルを出発して、会場である鈴鹿サーキットに向かった。スケジュールでは5:00開門との事だったが、どうやら4:20頃には繰り上げ開門されていたらしい。4:45頃サーキット入口に着くと、すぐに中に入ることができた。
ごった返す会場内で受付をして、パドックからサーキットコースに入る。朝もやの漂う中を、5:30頃にはテントを張って居場所を確保した。
本気で上位を狙う今回は、ピットビルでなく、第一コーナー側の特設ピットに陣取った。ライダーチェンジの時間短縮を狙ったのだ。
ところが、早朝の草の上は非常に蚊が多く、戦いの前の戦い(^_^;)。虫除けスプレーを持ってきてはいたが、効果は限定的。ゼッケンを付けるためにジャージを脱ぐと、たちまち上半身を刺されまくる。
トイレが遠いのも特設ピットの難点。ピットビルまで行っても、朝のトイレはどこも行列だった。
6;15~7:15は試乗時間。ピットロードやフェンスがないので、ライダーがすぐ近くを通過していく。ピットビルにいるより臨場感があって面白い。
私は前回に続き第一走者を務めることになったが、スタート30分前にウォーミングを終えるのが望ましい。そこまで理想的にはいかないがでできるだけ遅く、試走時間の後半30分に走って、ウォーミングアップすることにした。
6:45が近付き、出発しようとしたら声が掛かった。旧知のにもさんは今回もミニベロで参加。11月にはミニ・リカンベントの部にエントリーしていたのでライバルになるのかと思っていたが、今回はゼッケン番号なしのオープン参加とのこと。
にもさんはすでに一周してきていたが、もう一周をご一緒することになった。走り始めると、やはりドライコンディションのサーキットは快適。徐々に心拍を上げながら・・・と行きたいところだったが、にもさんは結構飛ばす。一周目から心拍数を171まで上げて、かなりゼーハー(^_^;)。
ピットに入るにもさんと別れて、もう一周。周回後半は徐々にペースを落として心拍を下げていく。7:08に特設ピットに戻ってウォーミングアップ終了。最後まで走っていたT田さんも帰ってきた。
試走を終え、今回はスタート30分以上前には集合地点に並んだ。すでに何十人かは並んでいたが、かなり前方からのスタートができた。
スズカエンデューロは、計測チップによりスタートラインをまたいだ時点からの計測になるそうだ。集団前方に並ぶ必要はないようにも思えるが、スタート直後は混雑して思うようにペースを上げられない。少しでも早く、混雑から抜けだそうという算段。
問題は、いくら4時間組の前方に並んでも、3分前にスタートした8時間組の大集団が前方にいるということだ。画像のゲートの向こうに見える大集団がそれ。
ともあれ、今回はやれることは全てやってみる。
スタート前のセレモニーが始まったが、集団前方といっても最前列ではなく、招待選手の紹介やレースクイーンはよく見えない。そして、8:00にまず8時間組がスタート。
スタートが近くと私と周囲の緊張感が高まり、一瞬シンと静まりかえる。8:03、いよいよ我々4時間組のスタート。
やはりスタート直後は混雑するが、周囲にレース慣れした参加者が多いので前回に比べるとスピードが早く、スムーズに集団が流れていく。それだけに楽車が起きると深刻なものになりかねない。周囲に細心の注意を払いつつ、慎重にペースを上げていく。
最も混雑するスタート直後のシケインを抜け西ストレートに入ると、早くも8時間組の最後尾が現れた。それでも、インコース側は空く程度の混み具合であり、4時間組も集団が次第にバラけてくる。直線なので参加者が多くてもラインの乱れがなく、長い下りで一気に50km/h超までスピードが上がる。
スプーンカーブでは混雑に減速を強いられたものの、その後はほぼ自分のペースで走れるようになってきた。こうなるとなかなか抑えが効かない。心拍数は175まで抑えるつもりだったが、一周目から一気に180を越えてしまい、前回と同じ轍を踏んでしまった。
晴れているとはいえ、それだけに参加者が多く、周囲のペースも早い。慎重にヘアピンカーブに進入し、クリッピングポイントを過ぎるとすかさずダッシュして下りに突入。この下りがスズカの最速ポイントだと思われるが、一気に58km/hまで速度が上がった。前回は雨だったことと、ギア比がわずかに低かった(フロント52T→53T)ことで50km/hを越えるのがやっとだった。下りは不利な小径車だが、ここは脚を止めている参加者が多く、踏み続ければ下りでもロードバイクの前に出られることが新鮮。
最速ポイントの後にすぐ25R(直角)カーブがやってくるので、周囲を伺いながら急減速して安全で早いラインを探す。デグナカーブ付近は上りなので、下りで休んでいない身にはキツいが、勢いを殺さず頑張れば、ダンロップカーブ付近からは下り坂。ここから第2カーブ~第1カーブと終盤の長い下り坂だが、カーブが緩いだけに45km/h超まで速度が上がる。この速度域での横Ḡは油断をすると吹っ飛びそうな緊張感があり、小径車であるCARACLE-Sにとってはこの区間が最も不利だと感じる。
第1コーナーを抜け、特設ピットのCARACLEテントの前を通過すると、ホームストレートからシケインに続く長い上りに入り、2周目に突入。ロードバイクと比べてCARACLE-Sは高速コーナーで不利と書いたが、逆に上りで不利は感じない。脚力勝負になるので、抜かれることも多いがロードバイクを抜くことも多くなる。
一周目は周囲もペースが安定せずほとんど単独走だったが、二周目は次第にドラフティングがしやすくなってきた。小径車は平地の巡航性能でもロードバイクに比べてやや不利だが、それを補うのがドラフティングだ。小径車には「前走車との距離を詰められる」、というかつてのファニーバイクと同様の利点があるので、それを活かして精一杯周囲のロードバイクに負けない走りを心がける。
前回は一周目で心拍数180超まで追い込んで二周目でややタレてしまったが、今回は大きくペースを落とすこともなく、二周目も時々180を超えながら平均心拍数168で第一走者の役目を終えピットイン。特設ピットは減速区間が最小限で済み、時間短縮に繋がることは間違いなさそう。スタート地点とピットのズレがあるので完全二周回には満たないが、平均時速は38.35km/h。スタート直後のペースダウンを思えばかなり頑張ったし、前回第一走の平均時速(32.31km/h)を大きく上回り、自分としては上出来。
第二走者のS池さんに計測タグを渡して、しばらくテントでへたり込む。
我々は4人チームで2周回ずつでリレーしていく作戦。そろそろS池さんが1周目を終えてピット前を通過していくころだと、身を起こした。S池さんは初参加とあって調子が気になるところだったが、姿が見えたと思ったら何とCARACLE-Sを押して駆けてくる。
ピット直前でチェーンが外れたとのことで、急遽第3走者のT田さんにバトンタッチ。もう1周回ったあとで交代の予定だったT田さんは、慌ててCARACLE-Sに飛び乗っていった。
いきなりのトラブルに慌てたが、ひとまずタイムロスを最小限で抑えられた。気休めながら、ディレーラーのBテンションボルトを締め込んで、チェーンを張る調整をしておいた。
ところが、T田さんがなかなか帰ってこない。実は慌てて飛び出したので、ヘルメットを忘れていたのだ。途中で審判バイクに止められて、その後はバイクの後について低速走行でピットまで戻って来た。即失格でなく、参加を継続させてくれたのは大変ありがたい配慮だった。
ヘルメットを装着して再度飛び出したT田さんは、2周目に3分以上短縮して戻って来た。さすがチームのエースだが、逆に言えば、1周目に3分以上の大幅なロスタイムを強いられたということ。自分たちの不手際なので、誰にも文句は言えない。少しでもこのタイムロスを補うべく頑張ることだ。
T田さんは2周回を終えて、第4走者のチームリーダーF永さんにバトンタッチ。自他共に認めるスプリンター体型であり、平地を得意とするF永さん。T田さんに負けじと、9分台前半のタイムを叩き出す。1周回終えてピットの前を通過する時も余裕で腕を降っていた。
この明るさでチームを引っぱり、影では人知れず(?)努力を積み重ねてきて頂いたことに感謝。
画像が切れてしまったが、このリカンベントの2人組が同じクラスの難敵になった。
3周目で一時彼らを上回ってクラス首位に立ったものの、これは何か彼らにトラブルでもあったらしく異常にラップタイムが遅かった。その後の我々のトラブルで逆転され、後はジリジリ離される展開。私も後でスパっと抜かれ、周回遅れにされてしまった。
F永さんに続いて私の2回目の出番。必死でロードバイクに食らいつき、ピットの前を通過する時も軽く手を向けるのがやっと。
カフェインドーピング(コーヒーの差し入れ)のお陰か、今度も大崩れはせず平均速度35.95 km/hを維持。9分40秒/周のペースだ。
S池さんも2回目は順調に2周回。序盤のトラブルの後は、一時クラス3位に沈んでいたが、S池さんの走った10周回目(9:40頃)に2位に浮上。
S池さんはフラットハンドルのCARACLE-Sで、私とほとんど変わらないペース・・・。ドロップ化したら、もっと伸びそうだ。全く、若さには勝てない。
序盤のトラブルの後は、2周回ずつのリレーは順調に進んでいった。雨の前回と比べると待機中も快適で、体が冷えることもなくリラックスしていられる。
そして10:26に、私の3回目の出番。このまま順番通りに行くと最終走者が回ってきそうなペースだったが、スタートも引き受けた私は全力で辞退(^_^;)。後は若い人に任せるので、これで最後のつもりで出し切ってきます、とスタート。
今回も出走前にカフェインドーピング。カフェインに敏感な私にとって1日2杯のコーヒーは危険だが、ここは勝負どころ。
もう筋肉の回復を心がける必要もないので、重踏み気味に強くペダリング。心拍的にも今日一番の平均175、最大189まで上げて、文字通り出し切った。ペース的にも9分48秒/周ペースで、3走とも10分未満で走れたのは、前回と比べると上々だった。
出番を終えて、しばらくボーとテントにへたり込む。青空の下を走り抜けていくライダーがとても美しく見える。まずはお疲れ、私のCARACLE-S。
リアルタイムラップを確認すると、3位を2周回引き離してクラス2位を堅持。油断はできないが、重ねてのトラブルさえなければ表彰台は固いところまで持ち込めた。
ちょっとひやっとしたのがT田さんの足攣り。それだけ限界まで追い込んでいるということだろうが、エースのトラブルは影響が大きいだけに、大事でなくてよかった。
協賛の梅丹が足攣り防止のサプリメント2RUNを発売しているなんて話をしながら、応援スタッフがマッサージ。
スズカエンデューロはパフォーマンス賞も設けられ、早く走るばかりのイベントではない。ユニークな仮装ライダーがたくさん走っている。画像のぢろうさんは、ノリクラでも顔を合わせてご挨拶している。
上位を狙う今回は走りに悪影響のある仮装は一切しなかったが、普段は私もタイガースルックで走る仮装ライダー。役目を終えるとようやくそっちに気が行った。色んな楽しみ方がるのが、耐久レースのいいところだ。
4時間のゴールが近付き、私とS池さんはゴールライン付近に移動。その前を、T田さんのCARACLE-Sが通過していった。あっけないが、感無量の光景だ。
8周回と最も多く走り、最も貢献したT田さん、お疲れ様でした。
初参加のS池さんは、ゴールを終えてホッとした様子。短期間で一気に実力を上げた頑張りに感謝。
貼り出されたリザルトを確認すると、間違いなくクラス2位。表彰台確定だ。
リザルトの前でにもさんに再会し、祝福の言葉と同時に「何で1位じゃないんだ」とお叱りを受けた(^_^;)。いやいやこれでも上出来ですって。リカンベントに勝つのはかなり難しいです。
いよいよ表彰式。今回の立役者、CARACLE-Sを折りたたんで表彰台に一緒に上がった。一部QRをボルト・ナットに交換しているので、完全には折りたためないが、これでもかなり小さくなる。
正直なところ、1桁入賞できれば御の字だと思っていたが、エントリーがわずか6チームという幸運にも恵まれて、クラス2位に入賞できた。
クラス1位はリカンベントだったので、小径車ではトップという成績。分母が少ないのであまり自慢できないが、25周回という記録は4時間総合成績でも、449チーム中65位という成績。ロードバイクが大多数を占める中で上位15%に入ったことは、CARACLE-Sの走行性能の優秀さを実証する機会になっただろう。
もちろん、理屈では我々がロードバイクで出場すれば、もっと周回数を増やせたはずだ。それでも、20インチの折りたたみ自転車という制約があったからこそ、トレーニングに必死で取り組み、カスタマイズや(ドラフティング多用などの)姑息な戦略も工夫した。少なくとも、この達成感はロードバイクで参加していたら味わえなかっただろう。
もちろん、ライダーだけで達成したことではなく、機材や費用的な会社のサポートや、応援スタッフの助力、タイヤを供給してくれたパナレーサーさんなどの協力があって成し遂げられたことだ。その意味では周囲の参加者より恵まれており、とてもありがたいことだった。
仕事上も達成感の大きい結果だったが、人生で初めて表彰台に登ることができたことも、素直にうれしい。ちなみに、商品の中に2RUNが入っていたので、これはT田さんのものに(笑)。
昼過ぎに用事が済むのが、4時間の気楽さ。出店を物色して、帰路に松坂の鶏料理屋に寄って遅い昼食。周囲のご行為で、早速ビールをいただいた。
成果が出た後のビールと料理はとても美味いものだった。食事中にクレームの電話が掛かってきたのは、ご愛嬌だったが(^_^;)。
今回も、帰路は「次」の話で盛り上がった。まずは、今回参加の4人のうち3人はノリクラに出場する。そして、秋のスズカエンデューロ。成果を出した後だけにハードルは上がるが、また苦しくも楽しい日々が続きそうだ。
■本日の走行記録
個人記録(CyclemeterGPS)
スタート | 完了 | 時間 | 距離 | 平均速 | 最高速 | 平均HR | 最大HR | 平均Cad | 最高Cad | 詳細LINK |
8:03:11 | 8:21:05 | 0:17:15 | 11.02 | 38.35 | 58.10 | 168 | 186 | 100 | 137 | LINK |
9:10:29 | 9:30:00 | 0:19:19 | 11.58 | 35.95 | 53.00 | 174 | 185 | 101 | 125 | LINK |
10:26:51 | 10:47:47 | 0:19:35 | 11.52 | 35.28 | 53.53 | 175 | 189 | 97 | 133 | LINK |
公式チーム記録(順位はミニ・リカンベントの部)
周 | 順 | ラップ | トータル | 走者 |
1 | 2 | 9:08.899 | 0:09:08.899 | 私 |
2 | 2 | 9:31.154 | 0:18:40.053 | 私→S池 |
3 | 1 | 9:39.060 | 0:28:19.113 | S池→T田 |
4 | 2 | 12:12.750 | 0:40:31.863 | T田 |
5 | 2 | 9:00.839 | 0:49:32.702 | T田→F永 |
6 | 3 | 9:20.257 | 0:58:52.959 | F永 |
7 | 3 | 9:42.512 | 1:08:35.471 | F永→私 |
8 | 3 | 9:26.953 | 1:18:02.424 | 私 |
9 | 3 | 9:55.168 | 1:27:57.592 | 私→S池 |
10 | 2 | 9:32.126 | 1:37:29.718 | S池 |
11 | 2 | 9:39.304 | 1:47:09.022 | S池→T田 |
12 | 2 | 8:53.163 | 1:56:02.185 | T田 |
13 | 2 | 9:31.950 | 2:05:34.135 | T田→F永 |
14 | 2 | 9:30.419 | 2:15:04.554 | F永 |
15 | 2 | 9:55.572 | 2:25:00.126 | F永→私 |
16 | 2 | 9:37.149 | 2:34:37.275 | 私 |
17 | 2 | 9:53.058 | 2:44:30.333 | 私→S池 |
18 | 2 | 9:15.966 | 2:53:46.299 | S池 |
19 | 2 | 9:59.509 | 3:03:45.808 | S池→T田 |
20 | 2 | 9:39.124 | 3:13:24.932 | T田 |
21 | 2 | 10:21.765 | 3:23:46.697 | T田→F永 |
22 | 2 | 9:35.133 | 3:33:21.830 | F永 |
23 | 2 | 10:07.492 | 3:43:29.322 | F永→T田 |
24 | 2 | 9:27.855 | 3:52:57.177 | T田 |
25 | 2 | 9:29.553 | 4:02:26.730 | T田 |
■本日のフォトアルバム
※本ブログ、及び下記のフォトアルバム(フォト蔵)に掲載の画像に差し障りがありましたら、ご遠慮なくお知らせください。速やかに対処します。
[…] この個体はテック・ワン入社前の2015年初めから乗り始めた。CARACLE営業担当として、折りたたみ機能を活かした輪行ツーリングはもちろん、ロードバイクと遜色のない走行性能を活かして、毎週のトレーニングライドから、ノリクラ(マウンテンサイクリングin乗鞍)、ブルベ、スズカエンデューロといった競技活動まで、折りたたみ自転車の範疇を超えてフル活用した。 […]