20インチ折りたたみ車で200kmブルベに挑戦 その2 [BRM130泉佐野]
「その1」からの続き
序盤のパンク2連発による約45分のタイムロスの影響は大きく、CP1(有人チェックポイント)サークルK五條病院前店ではタイムアウトまで30分ちょっとしかなかった。先を急がなくてはならない状況に変わりはないが、ここで寄り道して保険を掛けておく。
CP1を出てすぐにホームセンターがあったので飛び込んでゴムのり式のパンク修理キットを購入した。6分停車。
これで、「前回と違うところ」がパンクした場合は修理が可能になった。とは言え、先ほど修理済みのワンタッチパッチが浮いてしまったら、ゴムのり式パッチでは修理は難しい。修理ができたとしても、時間的には綱渡りだ。
本陣交差点で右折する正規ルートでなく、吉野川沿いの回避ルートを経由して国道24号線に出る。74.4km地点の住川交差点を11:45に右折して、県道120号線に入る。ここには帰路のチェックポイントになるローソン五條住川町店があるが、今回は素通り。
木材団地へ上る峠を越えて、JR和歌山線沿いに進むルートは普段もよく通るルートだが、70km以上をオーバーペースで飛ばしてきているのでちょっとした上りがキツい。PC1でやや消化の悪いおにぎりを食べたせいか、胃が重たくしばらく調子が上がらなかった。
12:18、近鉄市尾駅と壺阪山間で金剛山と大和葛城山をバックにCARACLE-Sの雄姿を1枚だけ撮影。晴れていればなかなかの風景なのだが・・・まあ雨が降っていないだけ幸いだ。序盤のパンクとタイヤが低圧のことを除けば、ここまでCARACLE-Sは順調。猛虎四號から借用した革サドルのお陰で、お尻の痛みも無い。
交通量の多い国道169号線を通る正規ルートでなく、高取町役場とリベルテホールの間を通る回避ルートを進んでいく。このルートは古代の中街道らしく、自転車で走るには快適なルートで今後も使えそう。
12:25、近鉄明日香駅前交差点(87.8km地点)で国道169号線を横切り、県道209号線に入る。ここで追いついたロードバイクの参加者3人の後ろに着いたが、亀石交差点への上りで2人に道を譲られた。
勢いで残る1人も追い抜いたが、この方にはその先の甘樫の丘の脇を抜けるゆるい下りで追いつかれ、再び先行してもらった。どうやら平地や下りではこの方が速いようなので、上りで追いついても追い抜かず、しばらく追走が続いた。
12:35、雷交差点(90.9km地点)を右折して県道124号線に入る。道なりに県道15号線に入り、いくつかの分岐とアップダウンを越えて、国道166号線に入る忍阪東交差点(97.5km地点)を12:54に右折。
ここからが今日一番の難関。距離3.9km、標高差260mの女寄峠へ向かう上りが延々と続く。ここはさすがに追走をやめ、追い越させてもらった。上りなら小径車に不利はないし、個人的にも得意分野だ。とは言え、100km近くを走ってきた後の長い上りはなかなかタフだった。
この上りの途中で、折り返して来た友人と遭遇。事前に打ち合わせていた通り、車のキーを渡してゴール後の待機と、万一の時のレスキューをお願いした。私がこの地点に引き返してきたのは、ほぼ1時間後だった。この時点でそれだけ差がついていたことになる。
県道198号線に入り、13:18に女寄峠至近のピークに到達。ここが本日の最高標高地点だ(標高約370m)。
ゆるい下りを3.5km(標高差で50m)ほど下って、折り返し地点のPC2(チェックポイント)ローソン榛原篠楽店に到達。時刻は13:26。PC1ではタイムアウトまで33分しかなかったが、ここでも34分しかなかった。ホームセンターに立ち寄らなければ6分稼げたが、これはその後にパンクがなかったから言える結果論だろう。
ここが104.8km地点ということは、実は今回のコースは200kmちょうどではなく、ほぼ210kmある。後々、この10kmを恨めしく思うことになる。
無理をしてペースを上げてきているので、半分にしてかなり消耗している。正直、食欲もないが、無理をしてでもエネルギー補給は必要。暖かいものを摂ろうとカップうどんを購入し、携行しているあんぱんも腹に収めた。それでも、PC1でおにぎりが胃にもたれたので、消化の悪いものは避け、量も抑えて代わりに携行食をちょくちょく口に運ぶことにした。
24分の大休止をしてもなかなか回復しないが、13:50に再スタート。元来た道を引き返す。何人もの参加者とすれ違うが、7時出発組はまもなくタイムアウトとあって、必死の形相の方もいる。とは言え、すでに8時出発組が大多数だろう。
女寄峠至近のピークまではわずか50mの標高差で傾斜も緩いので、疲れた身体でもさほど苦労なく乗り越え、3.9kmの豪快なダウンヒル。奈良盆地を見下ろし、その向こうの金剛山系を見渡せる絶景だが、大休止したばかりだし、相変わらず曇り空なので写真映えもしないだろうと停車せずに下りきる。
14:08、忍阪東交差点(112.1km地点)通過。アップダウンをいくつか乗り越えて明日香村の中心部を通過していく。この後、帰路のほとんどは画像のオレンジの反射ベストの方に引っぱってもらうことになる。またコバンザメ走法だ(^_^;)。
14:35、明日香駅前交差点(121.8km地点)に到達するも、渋滞で5分近く足止め。帰路も国道169号線を避け、回避ルートで進む。
15:00、国道309号線バイパスの下をくぐる奉膳交差点(129.8km)を越え、踏切停車。近鉄特急が通過していく。
この直後、オレンジベストの方が一時的な不調だったのかペースが落ちたので先行させてもらい、木材団地の低い峠を越えて135.2km地点のPC3(チェックポイント)に15:19着。タイムアウトまで41分と、PC2より7分稼いだ。ここまでくれば1回くらいパンクがあっても、制限時間内にゴールまで到達できるか?
「小径車だと大変でしょう?」とスタッフの方が声を掛けてくれるが、個人的にはCARACLE-Sだから特別不利という気はしない。とは言え、「中の人」があからさまに自慢するのも大人げない「小径だからというより、2回のパンクがキツかったです」と答えておいた。
革サドルのお陰でお尻の痛みはないが、このころには首や肩、そして腰の痛みが強くなってきた。まだ約75km残っているので、気が重いが頑張るしか無い。肉まんと熱いお茶を買ってエネルギー補給。19分の停車の後、15:38に再出発。
国道24号線、国道168号線を経て、県道55号線に入る丹原交差点(141.8km)を15:54に通過。
道なりに国道370号線に入る橋本橋南詰を16:16通過。16:26、154.2km地点の岸上橋南詰(学文路)交差点を通過して。続いて県道 13号線に入る九度山交差点(155.9km地点)を16:31に通過。
紀の川沿いに下る帰路は、幸いなことに追い風気味で意外にペースは上がった。オレンジベストの方とも再会。速度差が微妙で何度か先行しようかとも思ったが、追い越すと追いつかれてしまう展開が何度かあり、素直に後ろに着くことにした。
脚はまだ何とか回るし、首肩腰は痛いので、むしろちょっと姿勢を変えて走りたい。そこで、往路は平坦な回避ルートを通った三谷橋南詰交差点付近だが、帰路は正規ルートである県道13号線の低い峠を乗り越えることにした。ピークを越えた先には、紀の川の向こうに日没間近の西の空が見渡せた。黄昏れてきたので、この辺りでライトを点灯。
ちょっとした気分転換だったが、回避ルートを走ったオレンジベストの方が少し先行。時間短縮効果はなかった(^_^;)。そこで、次の藤崎頭首工付近は、素直に回避ルートを通った。
17:14、竜門橋南詰交差点(172.3km地点)通過。
17:23、竹房橋南詰交差点(176.4km地点)から、今回も往路に通った回避ルートでなく、丘越えの正規ルートを通った。今回は丘と言っても低いので、オレンジベストの方も一緒に直進。右方向にずれる回避ルートは道路を横断する必要があるので、状況によってはタイムロスに繋がる恐れもある。ここから道なりに県道130号線を進む。
17:41、丸栖交差点(181.2km地点)で、県道10号線に入る。このころにはかなり暗くなり、他の参加者はもちろん、行き交う車もほぼライトを点灯。
PC3から信号待ち以外はノンストップで走り続け、さすがに脚も疲れ切った。首肩腰の痛みは耐え難いものになってきたが、あと少しと頑張り続ける。
17:55、通過チェックポイントのローソン和歌山大垣内店(186.8km)に到着。ここまで来ればあとわずか23kmなので、精神的にはかなり楽になる。周囲の参加者の表情もかなり穏やかになって、会話も増える。
「ミニベロなのにギア比が低いけど、脚が回りきらない?」と質問して頂いた方には「元々ヒルクライム用に組んだんで・・・。でも、貧脚なんでちょうどいいんですよ」とお答えした。
「車輪小さいのに速いですね。追いつけませんでした」と声を掛けて頂いたのは、ちょくちょく後ろに着いてこられていた方。「そうですかぁ」と一瞬喜んだが、思い直して「・・・コバンザメで楽させてもらってますんで」と返答した。そう、今回は他の参加者にずいぶん助けて頂いている。
残りわずかだし、食欲も無いが、おでんと本日2本目のカフェイン(缶コーヒー)を購入。オレンジベストの方は「それじゃあ先行きますんで」と早くも出立。私はどかっと座り込んで休憩しながらおでんを食べた。折しも、友人は17:50に無事ゴールしたとの一報が入った。
18:15に20分の大休止の後に再出走。後は最後の難関、雄ノ山峠を残すのみ。・・・と意気軒昂に走りだしたが、どうにも身体が重く、足が回らない。平地で他の参加者に信号待ちで追いついたが、得意の上りに入ったというのにむしろ引き離されてしまう。「胃の方に血が行っちゃったかな? 食べなきゃ良かったかな」と思いながら、何とか雄ノ山峠は18:53に上り切った。
かなり疲れてはいたが、これで大きな上りは終了。後は峠の下り道とゴールまでの平坦路のみ、と安堵した気分になった。峠を下って、和泉鳥取交差点(201.7km地点)を19:08に右折。直後の低い峠も苦しいながらも乗り越え、岡中西交差点(202.8km地点)を左折して府道63号線に入ったのは19:13。
もう後は平坦の7kmのみなのだが、この頃から身体が言うことを聞かなくなってきた。身体が異様に重く、ゆっくり走っても息が荒く、頭がふらふらする。必死で進み続けるが、イオンモールりんくう泉南前で信号待ちで止まった後、走り出せなくなった。しばらく自転車にまたがったままハアハア荒い息をしながら2~3分休む。
とにかく前に進もうと再出走するが、ハンドリングが抑え込めずフラフラ蛇行。これはマズいと歩道に上がったが、真っ直ぐ進むことさえひと苦労。そして泉南マリンブリッジと田尻スカイブリッジの上りが、どれほど苦しかったことか・・・。頭がぼーとして、目の前にゴールが見えているのに、そのわずか数キロがとんでもなく遠く感じられ、絶望的な気分になった。
それでも、残りは本当にあとわずか。自分に必死で活を入れ、ついにゴールのARIVEE、道和モータース横温室(209.8km地点)に到着した。時刻は19:47。最後は本当に苦しかった挑戦が終わった。
スタッフや周囲の参加者から「お疲れ様でした」と声が掛かり、隣接するモータースの車で待機していた友人も、駆けつけて出迎えてくれた。
ブルベカードを渡して確認してもらい、無事に200kmを規定時間内に完走したことを認定して頂いた。タイムは11時間47分と聞いてブルペカードに自書したように認識して、SNSなどに報告していたが、後から考えれば12時間47分の間違いだ。この時点ではまだ頭がもうろうとして、こんな重要な事もきちんと把握できなかった。
ブルペカードは正式認定のために一旦預かりとなるので、撮影しておけばよかった。前回はちゃんと、撮影していたのだが、全く頭が回転していなかった。
友人も「なにか手伝おうか」と声を掛けてくれるが、ものを考えるのも億劫で生返事。息の荒い状態も、いつまでも収まらない。とにかくエネルギー補給と、スタッフが用意してくれるカップ麺をいただいた。
塩気の効いた食べ物を腹に収めて、ようやくモヤが晴れるように頭がすっきりしてきた。息もようやく落ち着いた。
周囲では走り終えた参加者が笑顔で健闘をたたえ合っている。オレンジベストの方も先に無事にゴールしていてお互いに「お疲れ様」。頭が回りきらずしっかりお礼を言えなかったのが残念。
ラスト8kmに39分もかかった最後の体調不良はハンガーノックによく似た症状だが、道中は後半も走りながら携行食を口に押し込んでいたし、最後のチェックポイントでもおでんを腹に収めた。ブルベは食べるのも競技のうちと、食欲が無いのに半ば無理やりにでも補給を摂っていたので、ゴール時もお腹にまだ食べ物が残っている感じだった。
それでもカップ麺を食べたら急に回復したというのは、やはりエネルギー切れだったのだろうか? CyclemeterGPSによると、競技中の消費カロリーは7900kcal以上とのこと。タイムに追われて簡単な食事ばかりだったし、ちょっとの食事でも腹が持たれてペースが落ちたりしたので、一気に大食いするのを避けていた。一時の腹のもたれを恐れず、食事をもっと摂っておくべきだったのかもしれない。それとも塩分などの特定の栄養源が不足したのだろうか? 謎は残るが、次回はもっと意識して高カロリー食を摂るようにしよう。
20インチ折りたたみ車のCARACLE-Sの長距離走行性能についてはこれまでも繰り返し述べてきたが、106cmのロングホイールベースとエアサスペンション、そして低い重心で、長距離でも疲れにくい快適な乗り心地を実現している。小径車独特の不安定さをかなり解消した「ロード寄り」の乗り味は、今回の210km走破でも身体への負担が少なく、「ブルベ向き」と言っても過言ではないと思った。
CARACLE-Sは小径車、中でも折りたたみ自転車ではトップクラスの走行性能を備えていると思う。もちろん、トータルでのスピードや安定性では、高額なコンフォート系ロードバイクにさすがに敵わないだろう。特に下りの安定性では、車輪径の大きなロードバイクに置いて行かれる。また、「長距離でも疲れにくい快適な乗り心地」とは裏返せば剛性がやや低いということで、パワーでガンガン踏むタイプの方には物足りなさを感じさせるだろう。
とは言え、突き上げ感のない、かと言ってフニャフニャでもない絶妙の乗り味が、 「踏む」より「回す」乗り方で、豪脚でも無い私にとっては実にありがたかった。特に最終盤に体調不良になってしまった際に、ガチガチのフレームだったら先に進めなくなっていたかもしれない。
また、上りではロードに比べて不利はなく、他の参加者を抜くことはあっても抜かれることは無かった。平地で純粋に性能を比較すれば小径車は不利なのだろうが、追走の多用など工夫次第で小径車の不利を補うこともできた。「全て自力」というブルベ精神に反する、コズルイ話だが(^_^;)。
万一、DNF(リタイヤ)となっても、CARACLE-Sなら折りたたんで、バスやタクシーにも気軽に持ち込んで撤退できる。その意味でもブルベ向き(笑)。今回も携行していた輪行袋を使用する機会はなかったが、いざというときの安心感があるからパンク2連発の後も先に進むことができたと言える。
結論を言えば、人により向き不向きはあるが、CARACLE-Sは工夫すれば充分ロードバイクとブルベで張り合えるという、ということだ。
これは、ゴール後に購入したブルベの国際組織であるAudax Club Parisien(ACP)の200km完走認定メダルと、主催のオダックス近畿独自の認定バッジ。この自転車の販売に関わる者として、CARACLE-Sで公式に200km完走の認定を得られたことは、ひとまず満足のいく結果だ。
とは言え、パンクは仕方ないとしてもそのリカバリーや、終盤の体調不良は反省材料。次は300km、400kmと距離を伸ばしていきたいところだが、もう少し200km参加を重ねて経験を積んだほうが良いかもしれない。次ももちろんCARACLEで。
■コースマップ
160130 CARACLE-Sでブルベ200km完走 [BRM130 泉佐野200km] – ルートラボ – LatLongLab
■本日の走行記録(自転車)
CyclemeterGPSの記録
スタート: 2016/01/30 6:49:38
自転車完了: 2016/01/30 19:47:25
バイクタイム: 10:00:07
停止時間: 2:57:35
距離: 213.46 km
平均スピード: 時速 21.34 km/h
登り: 1189 m
カロリー: 7934 kcal
平均心拍数: 142 bpm
最大心拍数: 177 bpm
平均ペダルペース: 78 rpm
最高ペダルペース: 142 rpm
今月の走行距離: 913 km
今年の走行距離: 913 km
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