春告げる 声に呼ばれて 山登り [富田林寺内町-弘川寺-水越峠]
新しい職場に移って約1ヶ月半。環境にまだ慣れていないのと、台北サイクルショーへの出張などが続いて、なかなか週末に自転車に乗れずにいた。そこに下った「出勤日の土曜は自社商品で走れ」との社命。もちろん「仕事として走るとなれば自分勝手にはいかない(←はい、ここ憶えておいて下さい)」が、走る機会に飢えている自転車乗りには充分にありがたいことだ。
そんな訳で、今日は自社の折りたたみ自転車の活用事例づくり。富田林寺内町に輪行でお出かけ、というシチュエーション。8時前に勤務先を出発し、9時過ぎには近鉄河内松原駅に到着。
今回、同行いただいたのは同僚のFさん。所属は自転車部門ではないが、自社商品を愛用してフィールドテストなど色々ご協力いただいている
私の手を借りなくても、ささっと折りたたみ。世界最小の折りたたみサイズを誇るCARACLE-Sですが、部品を取り外し「分解」は一切なく、「完全折りたたみ」なので、手順さえ憶えれば初心者でも短時間で折りたためる。
初めての輪行袋にもかかわらず、Fさんは5分もかからずに輪行作業完了。むしろ撮影していた私の方が手間取ってしまう(汗)。
キャスター付き輪行袋を転がして、駅構内に入ったものの、忘れもの。「そうだ、コインロッカーに入った写真撮らなきゃ」。
実際に預けるのではなく、使用例の写真が欲しいということだが、輪行袋に入ったままではなんだかわからないので、結局また輪行袋から出してコインロッカーに収めて、撮影。CARACLE-Sは、20インチ車としては唯一コインロッカーに入る自転車だ。
改札を通るとタイミングよく河内長野行き準急が到着。これで乗り換えなしに富田林に行ける。CARACLE-Sは輪行袋に収納すると中型スーツケース程度のサイズなので、車内でも迷惑になりにくい。
富田林駅には9:48到着。ところが、切符が見当たらない(汗)。服やバッグを探しまわって改札を出るのに手間取ってしまった。コインロッカーの二度手間といい、さっきからポカが多い。
駅前の邪魔にならない場所に移動して組み立て作業。撮影しながらでも数分で出走準備完了。
まずは、駅前にある観光案内所で案内マップ「富田林じないまち絵図」をいただいた。スマホでも見られるが、やはり紙の方が気軽に扱える。
観光案内所のすぐ脇が富田林寺内町の入り口になっており、マップに従って中に入るとすぐに趣きのある建物が現れる。早速、写真撮影。
富田林寺内町は観光協会のウェブページによると「1558年(永禄元年)、興正寺門跡証秀上人によって創建された興正寺別院を中心とした寺内町として誕生し、商売の盛んな在郷街として発展しました。現在も創建当時の六筋七町の町割りや、重要文化財旧杉山家住宅、仲村家住宅など往時の繁栄を偲ぶ重厚な町家が数多く残されています。また、大阪府内で唯一の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。」とのこと。
寺内町の北側には「じないまち交流館」があり、富田林駅から辿ると、すぐ。無料休憩所や寺内町の解説、雛飾り(3月いっぱいとのこと)が展示されている。
交流館の向かいには、パン工房 泰さんがあり、走り始めたばかりだが早速入店。
私は十勝小倉あんぱん、Fさんはクリームチーズサンドにパクつく。これは美味い。
小腹を埋めて自転車散策再開。
江戸期から明治期の風情のある建物が立ち並ぶ町並みがながら、まだまだ知る人ぞ知るというところで、観光客の姿は少ない。
塀越しに庭の桜をうかがうと、まだちらほら。もう少し後には、一層風情のある街並みを味わえるだろう。
実際に民家として使われている家が多く、生きた街であることも良い雰囲気。孫(?)を遊ばせているおばあちゃんが、「今日はどこまで行くの」と話しかけてくれてしばらく立ち話。オススメを教えてくれたりするのが、楽しい。
古い建物や、 風情のある雑貨屋さんをひやかしながら、寺内町をジグザク。ふと遠くに見えたのが、もうひとつの富田林名物。よくそばを通る「PLの塔」だが、寺内町の街並みには合わないなあ。
ここが寺内町の中心である興正寺別院。京都興正寺の第14世証秀上人が創建した寺院とのこと。古寺に桜の風景はもう少し後に来たかったところ。
寺内町の東端には、寺内町展望広場がある。こちらも無料休憩施設。
ちょっとした高台に過ぎないが、絶好の晴天で二上山から大和葛城山、大阪府最高峰の金剛山までを見渡せる。山々の風景はなかなかのものだが、右側のマンションが遮って町の下を流れる石川があまり見えないのが残念。
すぐ脇には山中田坂。往時は4つしか町の入口がなく、ここがそのひとつとのこと。攻めこまれにくい城塞都市であったことがわかる。
またウロウロと西に向かい、町の西端付近にあるのが寺内町センター。自転車で回れば苦もなく回れる小さな町ながら、公的な無料休憩施設が3つもあるのだから充実している。特に徒歩で回る方にはありがたいだろう。
周辺では自転車乗りの姿を何組も見かけ、お話もした。寺内町観光が目的の方だけでなく、遠出の途中で休憩がてら立ち寄る方もあるようだ。
写真の方は家族連れのよう。車も少ないので、子供連れでも安心して自転車散歩できる町だろう。
寺内町センターの向かいにあるのが旧杉山家住宅。寺内町には何度か訪れているが、遠出の途中だったので今まで入場したことがなかった。今回は仕事なので(?)、メインスポットを抑えておかなければ、と初入場。
寺内町運営の筆頭年寄であり、明治の明星派歌人・石上露子(いそのかみつゆこ)の生家でもあった杉山家は、外観も見事なものだが、中も手の込んだ作り。よく手入れされて、昔の風情を伝えている。
母屋の調度や庭も見事だが、都会の喧騒から離れた静かな日本家屋の雰囲気はとても落ち着く。今日のポカポカ陽気もあって、「ここで昼寝をしたいなあ」と2人の意見が一致。もちろん、そんな訳にもいかず、2階のイスでちょっとくつろいだだけ。
母屋だけでなく蔵も公開されており、昔の道具類や富田林に逗留したこともある織田作之助関連の展示がされていた。
風情もへったくれもないが、お腹が空いてきたので杉山家を出て食事処を探した。
ところが、町内の良さそうなお店は予約で満員だったり休業だったりで、4件回っても店に入れないという昼食難民状態。昼食を寺内町で摂るつもりなら予約しておいた方が良さそうだ。
諦めて町を離れようとしたところで、ごはんやさんを発見。空腹でフラフラになってきたところで、ようやく昼ごはんにありつけた。
大衆食堂的な入り口に、あまり期待はしていませんでしたが、メニューの種類はかなり多く意外なほど充実。
私はミンチカツ定食、Fさんはしらす丼を頼んだが、定食は小鉢もたくさん付く。オシャレ度は低いが、味も量もグッド。近隣を通る際には、また立ち寄りたいお店だ。
お腹も膨れて、これにて富田林寺内町めぐりポタリング終了。後はまた輪行して帰社する・・・のでは、ちょっと走り足りない。
そんな訳で、少し山手の方に行ってみることに。ヒルクライム未経験のFさんに、坂の魅力を伝える事ができればという目論見もあったが、私の方も昨年11月に股関節の痛みが出てからずっと峠通いをお休みしていたので久々。そこで、昨秋訪れた弘川寺が桜の名所ということを聞いていたので、まずはそちらに向かい、元気があればワールド牧場のある丘を上ってみようという軽め(?)のプランにした。
金剛大橋を渡って石川対岸に。東進して府道200号線に入り、ワールド牧場やさくら坂のある丘の北側を回りこむと、本格的な上り坂。
ところが、平地でとはいえ普段から鍛えているFさんは、平然と坂を上ってくる。久々で股関節が不安な私は、恐る恐る上っていたが、うかうかしていると追いぬかれそう。
富田林から7kmほどで、弘川寺に到着。最後は分岐を曲がってから短い急傾斜。
それでもMAX30Tのローギアで、乗車したままクリアできた。気温も上がり、汗だくになって弘川寺に到着。
ウグイスの声が響き、ここでも春の風情。予想はしていたが、山に入った弘川寺の桜は平地よりさらに開花が遅れている。一部の品種は咲いているものもあったが、メインのソメイヨシノはまだほとんどつぼみだった。
弘川寺は西行法師終焉の地ということで知られ、寺の上の方には西行の墓所や桜が多数植えられた桜山がある。
満開になると辺りがピンクに染まる絶景とのことで、来週辺りに来たいところだが、来週は京都の高瀬川桜まつりで展示イベントがある。まあ、仕事がてらだが、京都で桜を楽しもう。
境内の散策と休憩をしながら、ヒルクライムについてFさんと話をする。Fさんも意外と余裕がある様子だし、私の股関節も調子がいい。いっその事、近くの水越峠まで上りますか、ということに・・・。
まあ、さすがにヒルクライム初体験で上るのは無茶かと思ったが、ダメなら途中で引き返せばいいのが峠の良いとこと。
水越峠に向かって引き続き府道200号線を上っていくと、ところどころ急坂が現れる。久々だし、ビンディングペダルもなく、前傾姿勢も取りづらい自転車では私でもかなり厳しい。にも関わらずFさんは、ちょっとした休憩を入れながらも、押すこともなく上っていく。初挑戦でこれはすごいことだ。
上りながらあらためて驚いたのは、CARACLE-Sの登坂性能。途中で私がコースを間違え、県道をショートカットする激坂に入ってしまい、さしものFさんも押し上げ。とは言え、この坂は画像の通りコンクリート舗装の規格外の傾斜。登れなくて当然。
それでも私は何とか乗車してクリア。あらためてCARACLE-Sの登坂性能に驚かされた。ワイドなギア比はもちろんだが、長いホイールベースのお陰で、急傾斜でも前後のバランスが取りやすい。
府道200号線から国道309号線に入る。交通量の多い道をキープレフトを守りながら上っていくのはなかなかツラい。それでもFさんはまだ頑張る。
国道309号線の旧道に入り、上り続ける。もうひと踏ん張りというところで、小休止。
さすがにFさんもキツそうだが、ここまでくればもう峠は見えている。あと少し頑張りましょうと声を掛けて再出発。
14:45頃、無事に水越峠に到着。まさかFさんがヒルクライム初挑戦でここまでたどり着けるとは思わなかった。
Fさんも私も汗だく。湧き水で顔を洗うのが気持ちいい。季節が一気に進んだ感じだ。
登山者の車が多く止まり、人も結構通る峠だが登山者の方に声を掛けられた。見慣れない自転車が目を引いたようで、色々質問された。こちらも仕事中(?)なので、大いに宣伝。峠の上で折りたたみ作業を実演(^_^;)。
峠からは展望が開けないので、少し奈良側に下る。平地が見下ろす風景に、Fさんに達成感を感じていただけた様子だった。
その後のダウンヒルは、非常に気持ちが良かった。小径車での下りは怖いと思っていたが、CARACLE-Sは意外に安定している。これも長いホイールベースと、低い重心、エアサスペンションなどのおかげなのだろう。
平地まで下り、帰路は結局全部自走。石川~大和川沿いの南大阪サイクルラインを通って会社の近くまで帰ってきたが、向かい風に非常に苦しめられた。こんな日は吹きさらしの土手の上は走るべきではない。Fさんの提案通り、ショートカットしておけば良かった。
16:45頃、Fさん共々無事に勤務先に帰着。距離約45kmで獲得標高500m以上という数字は、折りたたみ自転車としてはやり過ぎ?
Fさんは非常に疲れただろうし、ヒルクライムについては辛さと達成感の両方を口にしておられた。さて、これからもお付き合いいただけるでしょうか?
私の方も慣れない自転車で久々のヒルクライム、加えて終盤の向かい風でクタクタに疲れたが、私の股関節の具合も最後まで悪化せず、水越峠まで登れたことは嬉しい事だった。この調子で改善していって欲しいものだ。
CARACLE-Sは、小径車なのに意外なほど山を上れる(し、下れる)というのが今日の感想。ペダルをビンディングにしてタイヤを細くするだけでも、もっと戦闘力は上がるだろう。あとは折りたたみ機能を損なわずに前傾姿勢を取れる方法がないか、というところ。
少なくとも今年のノリクラは今までの猛虎四號で出場するつもりだったが、ちょっとマズい体験をしてしまった。さて、どうするか?
■コースマップ
・ルートラボ http://yahoo.jp/0NWXFz
■走行記録(自転車)
Cyclemeterの記録
スタート: 2015/03/28 10:05:33
完了 : 2015/03/28 16:59:15
バイクタイム: 2:04:23
停止時間: 4:36:12
距離: 44.93 km
平均スピード: 時速 21.67 km
登り: 522 メートル
カロリー: 917
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