実りたる 稲穂と遊ぶ 赤とんぼ [明日香ツーリング]
facebook友達の添田さんが明日香に行った書き込みを見て、秋の明日香を見たくなった。今日は午後まで時間を取って、6:30過ぎに出走し、秋祭りの飾り付けや運動会へ向かう子どもたちを見ながら、一路東へ。
走り出しの体調はもうひとつで、ペースが上がらない。数日前から歩く時に右ヒザが痛いことも気にかかったが、自転車をこぐ分には痛むこともなく、府県境の竹内峠でも問題なし。身体にも少しずつエンジンがかかってきた。
奈良盆地へ下り、走りやすいところは旧道を通りつつ、竹内街道をさらに東進。ここは長尾街道との分岐で、古い道標が残っている。
分岐のすぐ裏手には長尾神社。この神社の参道も旧街道の一部と思われるが、細かいルートがわからず、近鉄の踏切付近で国道166線に戻る。竹内街道はこの辺りから、横大路と呼ばれる奈良盆地を東西に貫く古代からの道に接続する。
国道166線やその延長線上にずっと続くこの道は古い史跡も多く、自転車通行不可の高架もない。鉄道をほとんど踏切で越えるのでアップダウンが少なく、体力の消耗を抑えつつ奈良盆地を横断するには使いやすいルートだ。
大和八木の手前で飛鳥川に到達。ここから川沿いに南下していく。川沿いは自転車道になっていたが、自転車道自体はすぐ川を離れ、橿原神宮方向に向かう。
その分岐辺りにあったのが、重要伝統的建造物群保存地区の今井町。かつて栄えた商業地で、古い町並みが残っているらしい。
興味をひかれたが、今日は取り敢えず明日香に向かう。又の機会に立ち寄ってみよう。
飛鳥川沿いはやや走りにくい箇所もあり、途中から現れた自転車道も通行止めになっている箇所がいくつかあり、左岸へ右岸へウロウロ。
ともあれ、9時過ぎには明日香村に入った。早速、コスモスとその向こうに彼岸花(曼珠沙華)、さらに遠景に大和三山の畝傍山、という秋の風景が出迎えてくれた。
手始めに甘樫丘展望台に上ろうと思ったが、残念ながら自転車進入禁止。展望台まで430mという距離はSPDシューズだと微妙。歩きで山道だとヒザが心配だし、初っ端から時間がかかることは止めておくことにした。
次の目的地は明日香坐神社。奈良に入ってから薄雲が広がっていたが、この頃から次第に晴れ間が多くなってきた。青空と白雲の下の社殿が美しい。
家内安全、夫婦和合のご利益ありとのことで、なかなかユニークな奇祭が行われることでも有名らしい。お参りの後、参道の「力石」を持ち上げる。男は左手でとのことで、撮影しながらではなかなかハードでした。
続いては伝飛鳥板蓋宮跡。いくつも造営された宮のひとつと思われるが、大王の住まう古代の政治の中心地だった場所も、今は茫漠とした草原に石が並んでいるだけ。
宮跡にはキジバトも歩いていた。そう言えば、甘樫丘のそばの飛鳥川でカワセミらしき鳥を見た。こんな人里にいるのか半信半疑だが、写真などでみる鮮やかな色調のままだった。写真を撮り損なったのが残念。飛鳥とはよく言ったものだ。
次は石舞台古墳に向かったが、こちらも有料なので入場するつもりはない。以前見つけた石舞台古墳を見下ろす展望所に向けて、裏道を上がっていく。黄金色の稲穂にたくさんのアカトンボが戯れるかのように飛びつ止まりつしていた。で、表題の一句。
展望所にたどり着くと石舞台を見下ろしながらひと息。10時過ぎだったが明け方の肌寒さを考えると意外なほど日差しは強く、日なたは暑い。とは言え、夏のべたつく暑さではなく、さらっとして快適。
次は今日の主目的、案山子ロードを見るために稲渕の棚田に向かう。
途中にあったのがマラ石。おおらかな古代の名残りなのか、明日香はこの手の史跡や風習がたくさん残っている。
稲渕には遥か彼方まで一面の棚田が、青空の下で黄金色に輝く絶景。恐らくは近いうちに稲刈りが始まると思われ、貴重な瞬間に立ち会えた。
もっとも同じことを考える人は多いのか、周囲は徒歩、自転車、車が次々通行している。中でも秋の明日香を写真に収めようとする、カメラを持った集団が目立った。
稲渕の集落の入口には、これまたおおらかな時代の名残り、「雄綱」が飛鳥川をまたいで吊るされている。少し上流には「雌綱」もかけられているそうだ。
雌綱までは遡らなかったが、飛鳥川を渡ってひと回り。夏とはまた違う美しさで水がキラキラ輝いている。
水だけでなく、稲穂も木々も何かキラキラと輝いて見えるのはなぜだろう。秋の澄んだ空気のせいだろうか?
案山子ロードは雄綱の吊るされた付近から棚田の中を通る細道沿いに、多数のかかしが立ち並んでいるもの。毎年秋から冬にかけて展示されているが、だんだん傷んでくるので早いに越したことはない。
今年のテーマは「田んぼの神様・田んぼの生きもの」とのこと。たくさんのユニークなかかしが、朝風峠までずっと並んでおり、沢山の見物人がやって来ている。
今日は青空に白い雲、黄金色の稲穂に赤い彼岸花と、かかしを引き立てる背景に事欠かない。彼岸花はさすがに盛りを過ぎつつあるので、先週あたりはもっと素晴らしかったかも。
すぐ上が朝風峠なのだが、ほとんどの人はかかしを見て引き返していくので、ここは静か。棚田の向こうに稲渕の集落を見下ろす。
朝風峠の反対側はたまにハイカーが歩いている程度の静かな細道。
ひと下りすると二車線道路に出てくる。明日香中心部に引き返す方向へ下って行くと、途中で奈良盆地を見下ろす絶景。手前の畝傍山の向こうには、府県境の二上山もクッキリ。
明日香小学校向かいの「健康福祉センターたちばな」にレストランの表示を発見。温泉を備えた村営施設のようだがどちらかと言えば村民向けの施設なのか、観光客は少なめで落ち着いた雰囲気。
11時過ぎだったが、お腹がすいてきたので早めの昼食を摂った。悪くない味だったが、今日の天気ならお弁当でも買って外で食べればよかった。
昼食後はもうひと巡り。まずは彼岸花が寄り添う亀石。修学旅行の小学生が班ごとにレンタサイクルで回っており、亀石をスケッチをしていた。
どちらかと言うと、亀というよりカエルの顔に見えるのは私だけ?
少し西方に移動した木立の中にある、鬼の俎(まないた)。階段を担ぎあげて、自転車と一緒に撮影。
この近辺には鬼が住み、通行人を霧で迷わせて捉え、俎で料理して、雪隠で用を足したという伝説があるそうな。クワバラクワバラ。
高松塚古墳のある飛鳥歴史公園を横目に見つつ南下していると、何やら見晴らしの良さそうな丘が見えた。
好奇心が抑えられずに上ってみると整備中の公園らしく、残念ながら進入はできなかった。
引き返すのも癪なので、南方向に向かう脇道に入ってみた。すぐに於美阿志神社があったので、ついでと言っては失礼だが、参拝。
元々ここには渡来人東漢氏の氏寺である檜隈寺があり、この石塔婆もその遺構で平安時代の作だそうだ。
さらに南に向かう細道を辿ると、見晴らしのいい休耕田に一面の彼岸花(曼珠沙華)。盛りを過ぎているのが残念だが、しばし見惚れる。
この見晴らしの良さに、デジカメの機能を思い出した。そこで、初めてのパノラマ撮影。
実は今日は新しいデジカメのデビューライド。前のデジカメが壊れ、しばらくiPhoneで撮影していたが、やっぱり不便。ナビやログと兼用しているので撮影態勢に持っていくのに時間が掛かるし、万一落として壊すと被害が大きい。
そこで、消耗品として気軽に撮影できる低価格品を物色していたが、友人がほとんど使わないからと、SONY DSC-TX55を安く譲ってくれた。とは言え、1600万画素、光学5倍ズーム、スマホより小さい超小型とくれば、もったいないほどの高スペック品で、自転車ライドに持ち出すのは気が引けるほどだ。そんな訳で、今日は撮りまくっている。
とは言え、間近で見ると傾斜地に真新しい建物が立っているだけで、古代へロマンを馳せることも難しい(^_^;)。まあ、仕方ないんですが。
明日香村巡りはこれで終了だが、ついでに隣接する高取町の土佐街道を通ってみる。
風情のある町並みの入り口には・・・町家のかかし巡りの案内看板。今日はかかしに縁がある。
明日香の有名史跡の賑わいと一転して、こちらは昼時とはいえ人影もまばらでとても静か。心配になるほど。
はい、かかしの登場です。稲渕のかかしが、鳥追いの目的をわずかながらでも残していたのに対して、こちは完全に人間の鑑賞用。
街角や商店の店先、民家の前に数々のかかしが展示されている。
こちらはタイガース応援団・・・かと思ったら、祭りの風景ですか。
牧場風景。牛やヤギ(?)はもちろん、ベンチに座って見守る人もかかし。
そばに立っていた看板に、なぜこの地に「土佐(高知)」の名前がついているのか記されていた。6世紀に都の造営のための労役を課せられた土佐出身者が、帰るに帰れず住み着き、故郷の名を付けたとのことだ。思ったより古い話だ。
これはもはや「かかし」ではないが、アルミ缶3万5千本以上を積み上げて作った高取城は、ギネス認定記録とのこと。今日はここで帰路についたが、いずれ高取城址まで上る機会ももちたいものだ。
近鉄吉野線に沿って西進し、古い集落や田園風景のなかを抜けていく。ゆるいアップダウンはあるが、交通量は少なく、概ね走りやすいルート。
写真は市尾-葛駅間にて、追い付いてきた近鉄電車と。
大口峠を越えると、正面に金剛山と(大和)葛城山が並んでいて、間の凹みが水越峠。
いつもは上り途中で止まることはないが、今日はのんびりツーリングモード。ちょっと調子の悪いリアメカの調整がてら、景色が良いところでひと休止。こうやって見ると水越峠の奈良側はうねうねと蛇行しており、急峻なことがわかる。
水越峠には14時前に到着。ハイカーや自転車乗りが次々と上がってくる。
峠の清水で顔を洗ってさっぱりした後は大阪側に下り始める。上りはそれなりに汗をかいたが、下りでは寒いほど。途中で止まってウィンドブレークベストを着込んだ。日差しは強いが、やっぱり秋だ。
大阪狭山市まで戻ってくると、西高野街道で、だんじりに行き会った。本番が二週間先のようなので、今日は試験曳きだろう。だんじり運行もいろんなタイプがあるが、池之原地区のだんじりは豪快に後部を跳ね上げて回転させていた。自転車に例えれば、ジャックナイフターンの様な?
さらに先に進むと山伏地区のだんじりを見かけ、西高野街道を外れてしばらく着いて行った。
こちらはスピーカーを搭載し、マイクで囃子唄を歌いながら賑やかに運行。だんじりといえば岸和田が有名だが、実は地域によっていろいろ特徴があるのだ。
自宅には15時過ぎに帰宅。秋の日を堪能した1日でした。
デジカメが新しくなったこととは直接関係ないが、今回はルートログデータを活かして撮影画像にジオタグ(経緯度情報)を埋め込み、Picasaでマップ表示にしてみた。撮影場所がわかるので、なかなか面白い。手間がかかるし、Picasaには容量制限があるようなので、毎回は難しいかもしれないが、今後の研究材料。
■コースマップ
・ルートラボ http://yahoo.jp/4ByqX5
・Googleマップ http://goo.gl/maps/WnFuk
■本日の走行記録(自転車)
Cyclemeterの記録 http://p.tl/ZPAH
スタート: 2013/09/29 6:49:53
完了: 2013/09/29 15:11:55
バイクタイム: 4:16:02
停止時間: 4:05:553
距離: 94.15 km
平均スピード: 時速 22.06 km
登り: 1113 メートル (より正確と思われるルートラボは1598mを記録)
カロリー: 2041
今月の累計走行距離: 771.00 km
今年の累計走行距離:4881.01 km
POLAR CS200CADの記録
走行距離: 105.2 km
消費カロリー:777.0cal
計測時間:8:21:44
平均心拍数:118
最大心拍数:155
平均速度:19.9km/h
平均ケイデンス:75
最大ケイデンス:122
心拍数ターゲットゾーン:130-152
ターゲットゾーン以下時間:7:53:46
ターゲットゾーン内時間:0:22:25
ターゲットゾーン以上時間:0:05:32
走行時間:5:18:02
累計走行距離:7442.3 km(2010年12月10日より)
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