佗しさも 手仕事に向く 秋時雨 [新フレーム乗せ換え作業その7]
【仕上がらぬ 我が手仕事は 月を超え [新フレーム乗せ換え作業その6]】からの続き
本日は雨。息子の野球が中止になって車が空いたので、今まで乗っていた猛虎参號を載せて、午前中から自転車工房エコーに行ってきた。猛虎参號は通勤用に再活用するつもりだが、20年の年月を経てあっちこっち塗料が剥がれ、サビが浮いているので、再塗装をお願いしてきたのだ。ついでに傷みや歪みのチェックや修正、それとバカ穴のエンドダボをネジ切りに変更する加工も依頼してきた。
店長の唯さんと話し込んでしまい、思わぬ長居(毎回だが)をして帰宅したのは14時ごろ。あまり時間はないが、新フレーム猛虎四號の組み立て作業の続き。雨に振り込まれると憂鬱だが、晴れた日に自転車をいじっていると走れないことが残念に思えてくるので、まだまし。
未装着のマッドガードに関しては、難題がいくつかある。猛虎四號は、スモールサイズのサイドプル(キャリパー)ブレーキのクリアランスを目一杯活かす(ブレーキシューを調整幅の一番下になる)ように製作してもらっている。それでもシュパーブプロのブレーキアーチではクリアランスが狭く、マッドガードにつぶしを入れないと装着が難しい。リターンスプリングを内蔵しているため、シャフト付近が太くなっているようだ。
ところが、上部につぶしを入れるとせっかく入手したアルプス製の輪行用プレートが装着できないという大問題が発生する。このフレームはシュパーブプロをもう一度使いたいがためにサイドプル用にしたようなものだが、ストッピングパワーに不安もあるし、色々と頭が痛い。
一番手っ取り早い解決法は、ブレーキアーチを交換してしまうこと。まだシュパーブプロに未練はあるが、とりあえず手持ちのアーチで比較検証をすることにした。
まずはセンタープルブレーキを当てがってみる。クリアランスはやはり広く、これならマッドガードを潰す必要はなさそう。
心配していたアーチワイヤーとキャリアステーとの干渉もないようだ。この吉貝グランコンペDC510はもう1ペア持っているし、センタープルは他にも最高級のニューグランコンペ450も2ペアストックがある。この機会に活用するのも手だが、この時代のセンタープルブレーキは装着ボルトが埋め込みではないので、そのままでは装着できない。フレームの装着穴にスペーサーを埋めるか、ブレーキシャフトをカットして埋め込みナット式に改造する等の加工が必要だ。
また、センタープル化にはブレーキワイヤーを吊るためのカップを装着する必要があるのだが、シートラグの割りの幅が狭く、既存の吊り金具が装着できそうにない。
いずれにしてもちょっと大変な作業になるし、大昔のセンタープルブレーキは、何より制動力が心配。シュパーブプロより制動力が落ちては何にもならないので、他のブレーキを先に検証することにした。
続いて娘のロードバイクに付いていた、シマノRSXのアーチを装着。SORAの前身となった約15年前の入門クラスモデルではあるが、すでにデュアルピボット機構が採用されている。
形状と機構から、シングルピボットのブレーキよりマッドガードとの干渉が起きにくいのではないかと予想していたが、少なくともシュパーブプロよりはクリアランスが大きいようだ。
マッドガードを仮留めしてみたら、スペーサーを挟んで少しオフセットすれば、何とかつぶしなしで装着できそう。
そこで、本格的に仮装着してみることにした。ワイヤーをセットしてみたが、SLR(シマノ・リニア・レスポンス)設定のままではリターンスプリングが弱くてブレーキレバーが戻り切らない。ブレーキアーチのスプリングにSLRと非SLRを切り替えられるパーツがあるので、非SLR設定にしようとしたが、スプリングのテンションが強くてラジオペンチではなかなか上手くセットできない。
諦めて、レバー側に一度は外したリターンスプリングをセットすることにした。サンツアーではBRS(ブレーキ・レスポンス・システム)と呼ばれるが原理的には同じもの。
スプリングをセットしたらレバーの戻りも良くなり、シュパーブプロより引きも軽くなった。
取りあえず分割加工は後回しにしてリアのマッドガードも装着してみる。このドーナツ状の薄板はアルミ製で、マッドガードの装着部分を強化するイトーサイクルさんのオリジナルパーツ。これをマッドガードの内側にセットして、マッドガードを付けてみるとギリギリのクリアランスながら、シートステイブリッジ部分はつぶし加工なしで装着できた。
続いてマッドガードの先端部分にダルマネジを装着してステーを装着。
さらに、エンドダボに前回4mmステー用に加工した環付ダルマを装着するが、当初はダルマネジの使用を想定せずネジ切り加工を施してあるためそのままではダルマネジの装着が困難。ドリルでさらってバカ穴に加工する方法もあるが、今後のことを思うとせっかくネジ切りをなくしてしまうのでもリスキー。
そこで、ダルマネジのそばにある黒いプラスチックスペーサーを利用する。
これは、柔らかめのプラスチックなので、ステーの角度に合わせて調整をしながら、ガタも無くせる。往年のミヤタのル・マンなどで採用していたパーツをストックしておいたものだ。ただでさえ突き出しの大きい環付ダルマの幅がさらに広がるというデメリットもあるが、ナットを使用しないのでチェーンやギアと干渉しにくいメリットもある。
これで何とかリアのマッドガードが装着できた。質感がチープなRSXをこのまま使用するつもりはないが、少なくともデュアルピボットブレーキはマッドガードのクリアランスの面ではシュパーブプロより有利なことはわかった。
ひとますはリアにRSXを装着したままにして、来週末にでも制動力を試してみよう。
最終的な選択肢はシュパーブプロを活用する方法を考えるか、デュアルピボットのブレーキアーチを入手するか、さもなくばセンタープルブレーキを装着するかだろう。
ブレーキアーチが決定しないと分割加工もできないし、今日はフロントマッドガードまで作業する時間がなかったので、こちらの検証も必要だ。まだ先は長い。
■本日のフォトアルバム