月例トレーニングと事故 [鍋谷峠-四郷-鍋谷峠]
本日はチームCARACLEの月例トレーニングだったが、今年最後になると思われ、忘年ランでもあった。残念ながら途中で事故が起きてしまったため、無事終了とはならなかったが、反省を込めて記録とする。
7:30に堺市の荒山公園に集合だったが、私は7時過ぎに自宅を出走。ごく弱い雨がぱらついていたが、次第に止んできた。今回走る私とF永さん、T田さんの3人は時間までに揃って、出走準備。天気予報では暖かめの予報だったが、予想以上に寒さを感じる。
健脚のT田さんは最近56Tギアを装着した。これで今回の激坂コースに挑戦するとは恐れ入る。
集合写真を撮って、7:45頃には出走。まずは鍋谷峠を目指す。
泉北丘陵を南下するうちに徐々に陽射しが回復してきたが、路面にはまだ湿った箇所も多い。
途中から先頭を引いてくれたTさんはいきなりハイペース。着いて行くのが大変で、アプローチから心拍数が170を越える。
国道170号線旧道に入って槇尾中学校横のコンビニでひと息。昼過ぎまで山中をうろつくことを想定した食料も調達し、さらに和泉山脈に近づいていく。
国道480号線に入って父鬼集落の製材所前にある鍋谷橋に到着し、ここからは鍋谷峠へ上る本格的な山道になる。
健脚のT田さんは56Tギアをものともせずに猛スピードで消えていき、F永さんも一つ先のカーブ辺りに姿が見えるが、なかなか追いつけない。
とは言え、鍋谷峠を越えても先には激坂が待っている。体調も今ひとつだし、捨て身の全力アタックまではやらずに自重し、心拍数170前後に保って上り続ける。
杉を中心とした落ち葉が路上に散乱し、昨日までの雨も乾いておらず、路面は滑りやすい。ダンシングをすると後輪が滑ってしまうので、シッティング中心となり、私としてはとても苦しい展開。
ようやくF永さんが近付いてきたかと思ったら、このところ頻発しているiPhoneのトラブルが発生。バッテリー残量が30~40%あるのにあるのに電源が突然落ちたのだ。
停車してモバイルバッテリーを繋いで再起動し、再び走りだすとタイムロスをしたのにすぐにF永さんに追いついた。聞くと、胸に痛みが出てペースを上げられないとのこと。
ハイペースで上り続けたせいで起きた一時的な不調だろうが、私もいい加減疲れていたので念のため一緒に上る。負荷を下げれば痛みも和らぐようだし、再び徐々にペースを上げはじめた。
私は峠が数百メートルに近づいた地点でスパート開始。この後の激坂を忘れ、最後は心拍数を192まで上げ、息も絶え絶えでゴールした。
私のタイムは停車時間を除くと29′27′′とそれほど悪いわけではなく、T田さんは3分ほど前に到着したとのこと。私の調子が悪いからではなく、同行2人の成長に追いつけなくなっているようだ。
峠付近は見事なまでの落ち葉の絨毯。ヒルクライムアタックを終えて暑いほどだが、峠の温度計の表示は5度で、次第に身体が冷えてくる。
いきなりこれまで以上の激坂が現れるが、T田さんはグイグイと上っていく。
F永さんも後を追い、私も追いかけるが、このルートは枝打ちした後の杉の小枝が散乱して道を覆っており、なおかつ濡れているので滑りやすく、非常に走りづらい。
かと言ってシッティングで上るにはキツすぎる傾斜で、私も何度も後輪を空転させながらようやく三国山方面と堀越観音方面に向かう分岐に到達。
堀越観音方面に向かう標識に従って行くと、林間をこれまでの上り以上の急傾斜のコンクリート舗装路の下り道になる。
ここも杉の落ち葉が多く滑りやすいので、慎重に下るように伝えて突入。逆コースでなくて良かったと思えるコンディションだった。
鬱蒼とした杉林を抜けて、大久保集落の上部に出ると、ぱっと風景が開ける。
紀の川方面まで見下ろす絶景は、これまでの苦労のご褒美だ。
ほっとひと息ついて、絶景を楽しむ。日向に出ると、暖かく感じたが、気温自体は低いので少し日が陰るととたんに寒々しくなる。
大久保集落は串柿が最も多い集落。半分は期待していたが、吊り棚のほとんどは、空っぽだった。
正月飾り用の縁起物なので、すでに大半が出荷されてしまったのだろう。やはり、先日主催した串柿ライドでここに立ち寄るべきだったのかもしれない。
定福寺でトイレに寄ったりと、少し身体を動かすことをやめていると、あっという間に冷えてくる。暖かい天気予報に油断していたが、もっと防寒装備をちゃんとしてくるべきだった。
大久保の集落を抜けていくと、出荷のための箱詰め作業中の串柿を発見。
同行の2人に串柿が吊るされた風景を見せられなかったのは残念だが、また来年のチャンスを伺おう。
大久保集落から文蔵の滝方面に下るルートは、平均勾配20%を越える超激坂。杉落ち葉が少ないだけ良かったが、上るなんてとんでもない坂。堀越観音方面への分岐にたどり着いた時には、すっかり身体が冷えきってしまった。
当初のプランでは、ここから堀越観音を経て蔵王峠を通り、短野から北辰妙見を経て広口で国道480線に入るという大回りを睨んでいたが、身体が冷えると意欲も落ちてくる。半ばは予想通りだが、昼過ぎにスタート地点に戻るには時間的にも厳しくなっていきた。そこで堀越観音方面にもう一本上るのは取りやめ、国道480号線に直行して、鍋谷峠を上り返すことにした。
とは言え、冷えきった身体で調子も上がらず、平の集落で茶屋「木の国や柿えもん」に立ち寄って、暖を取った。
ストーブに当たり、ホットコーヒーを飲んでひと息つき、裏鍋谷峠の上りを再開。
今回はアタック合戦もなく、三人で話しながら上っていくが、ダラダラ走行でも高度はどんどん上がっていく。
山肌をダイナミックに巻きながら上っていくこのルートは景観がよく、先程までいた柿えもんのある平集落や、大久保集落も見える。落葉で見通しの良い冬ならではだと思うが、この2つの集落を最短距離で結ぶ超々激坂ルートもよく分かる。今回は通らなかったが機会があれば、なんて話をしながらもヒルクライムは続く。
最後はT田さんがペースを上げて先行し、今日2回目の鍋谷峠にはほぼ12時に到着。
ここまで戻っれば後は大物は終了。後は大阪側に下って低いアップダウンのみ。
汗をダラダラ流すほどではないが、ほどほどに暖まった身体が冷えないうちにと、下り始めた。
「最後まで油断しないで、カーブでは充分にスピードを落として安全に下ってください」と、声を掛けようかとも思ったが、ここまでにもっと注意の必要な必要な区間を充分に配慮して走っている2人の姿を見ていたので「往きに通ってわかってるだろう」と、結局声を掛けなかった。後でこれを悔やむことになった。
私が先頭で下り始めてほんの2~3分。鍋谷峠から約300mほど下った地点の右カーブで、後ろでズザッという音と、叫び声が聞こえた。
慌てて停車して、振り返ると2番めに走っていたT田さんの自転車が路上に転がり、本人は道路脇の溝に入り込んでいた、
3番めの最後尾を走っていたF永さんが駆け寄り、声を掛けていたので、私の方はまず自転車を道路の端に寄せて、他の通行車の二次事故を防ぐ処置。
続いて、通行車両のまず記録を取ることにした。自分が起こした事故の際に、記録がなくて保険請求などに苦労した経験からだ。まず時間をチェックすると12:11。続いてGPS記録機能のついたiPhoneで、事故の様子を撮影した。これで正確な位置も記録できる。
一連の処置を終えてT田さんに近づいたが、口の周りやこめかみなど、顔に何ヶ所も外傷を負っていた。まずは動かさずに、F永さんが声を掛けて様子を聞いているが、動けないほどどこかが強く痛むわけではないようなので、ゆっくりと助け起こして溝から出した。顔以外は肩やももに打撲傷があるが、ひどい出血箇所はなかった。
私の携行した救急セットを取り出し、傷を拭こうと水場を探して少し上り下りしてみたが清水が湧いている場所がなく、仕方なしに数分で現場に戻った。ところがその間に付き添っていたF永さんによると、記憶が飛んでいるとのこと。なぜ事故を起こしたか憶えておらず、今どこにいるのかも曖昧とのこと。これは脳震盪を起こしている可能性が高いと思い、頭痛や吐き気がないか聞いたが、それは感じていない様子。
ヘルメットを見ても変形するほどの衝撃が加わった跡がなく、前面付近に擦り傷があるだけだったが、顔を叩きつけたことで衝撃が加わったのかもしれない。
会話ははっきりしており、立ち上がって自分の体の様子を確かめるなど、一見すると元気だったが、どうも様子がおかしい。同じ質問を何度も繰り返すのだ。
本人の記憶が無いこともあって確かな原因はわからないが、後ろから見ていたF永さんによると、T田さんはカーブ手前のブレーキングで後輪がロックして滑り、顔から地面に叩きつけられたようだったとのこと。スリップダウンなら自転車が路上に残って本人がその先の溝に落ち込んだことが、不思議だ。途中でハイサイドを起こしたのだろうか? 路面はやや湿っていたが、落ち葉はなく、今日走ってきたルートの中では特に滑りやすい場所だった訳ではない。
そうした意味では、どうしてここで転倒したのか不思議だ。T田さんはかなりの体力があるので、他の2人に比べて疲れていた訳でもない。逆に路面状況が良かったので、スピードが出てしまったのかもしれない。
やがてT田さんが寒さを訴えだした。いくら身体に大きな問題がないようであっても、頭部に衝撃が加わった後だけに自転車に乗せるのはためらいを感じる。とは言え、このまま止まっていても冷えていく一方。助けを呼ぶにしても携帯電話は圏外。そこで、T田さんはF永さんと一緒に歩いて下ってもらい、私は自転車で荒山公園に戻って車を取ってくることにした。
下りながら考えていたが、父鬼集落に入って携帯電話が使えるようになったので、ヨメさんに電話を掛けて一足先に車で2人を迎えに行ってもらった。
私の方はできるだけ急いで荒山公園に戻り、自転車を残してF永さんの車で現地に引き返し始めた。が、すぐにヨメさんが2人を無事に回収してくれた。2人は歩いて父鬼集落近くまで下っていたのだ。そこで私はまた方向を変え、自宅に引き返した。着替えて、T田さんをお住まい近くの病院まで連れて行こうと思ったのだ。
ところが、自宅で着替えをしているとヨメさんから電話が入り、荒山公園に着いたが様子がかなりおかしいので救急車を呼んだ、とのこと。救急車で搬送されると最寄りの病院に運ばれるので、入院となった時にはご家族が大変。私としては、頭痛や吐き気が無いのでできるだけお住まいに近い病院にお連れしようと思ったが、ヨメさんは急いだ方が良いと判断したのだ。
意見が食い違ったが、現場にいた当事者は事故で冷静さを失っているかもしれないので、第三者のヨメさんの判断が一番客観的だろうと思い直した。私は再び荒山公園に引き返したが、T田さんはすでに近くの救急病院に搬送され、F永さんもT田さんの車で後を追った後だった。
荒山公園でF永さんの自転車をF永さんの車に、私の自転車は我が家の車に載せ、私は病院に向かった。
病院に着くと、すでにCT検査を終えた後で、F永さんによると幸いな事に脳内出血などの緊急事態は生じていないとのこと。脳震盪で事故の前後の記憶が混乱することはよくある症状と医師に言われたとのこと。奥さんにも連絡し、こちらに向かうとのことだった。
T田さんはというと、骨折などの大きな傷害はなく、身体は普通に動ける。ところが、記憶が定着しないようで、「今日はどこに走りに行ってたんですか?」「どこでですか?」「3人で走ってたんですか?」といった質問を数分おきに何度も繰り返す。結果としては急がなくても良かったのかもしれないが、これは確かに心配な症状。ネット情報でも同様の症状があった場合は、速やかに診察を受けることが望ましいと記載があった。
T田さんの根っからの優しさが出たのが、「(事故で)誰かを巻き込んでいませんか?」という質問を繰り返したこと。単独事故だったことを伝えると、心底ほっとしたように「良かったあ」と返す。このやり取りが何度も繰り返されたのだが、自分より周りのことを考える彼の優しさに、好感を感じたやり取りだった。
その後もF永さんと一緒にT田さんに付き添ったり、奥さんを病院近くの駅まで迎えに行ったりといった手伝いをしていたが、T田さんご夫妻のご両親も駆けつけたので、後をお任せして辞去した。
今回のことは、コースプランニングをした同行の年長者としては責任を感じる一件だ。下る前にもう一声掛けていれば、ひょっとしたら結果が変わったかもしれない。事故発生後は自分自身の事故の経験を活かして、できるだけ適切な判断に務めたが、結果としては無駄に行ったり来たりを繰り返し、すぐに救急車を呼ぶでもなく、お住まい近くの病院に送り届けるでもない中途半端な措置になった。
この一件を、自戒の念を込めて記録しておく。
■コースマップ
・ルートラボ http://yahoo.jp/1xfJSP
■本日の走行記録(自転車)
CyclemeterGPSの記録
スタート: 2015/12/12 7:04:50
自転車完了: 2015/12/12 13:49:58
バイクタイム: 3:18:45
停止時間: 3:26:19
距離: 62.02 km
平均スピード: 時速 18.72 km/h
登り: 1198 m
カロリー: 2411 kcal
平均心拍数: 135 bpm
最大心拍数: 192 bpm
平均ペダルペース: 57 rpm
最高ペダルペース: 137 rpm
今月の走行距離: 351 km
今年の走行距離: 7011 km