インターバイク視察

【mixi日記 及び 旧ブログ から転載したものです】

 世界有数の自転車ショー「インターバイク」を久々に訪問しました(仕事です)。先行して9/21~22に試乗会「アウトドアデモ」が行われていましたが、私は米ラスベガスで9/23~25に行なわれた展示会のみ視察してきました。

 出展者リストを数えると約1170社で、この規模はやはりすごいものです。ちなみに前回のサイクルモード東京会場の出展が145社、台北ショーが約760社ですので、これらを大きく上回るスケールです。

 ちなみに今年の独ユーロバイクの出展者数が1028社でしたので、これも上回り、出展者数では(恐らく)世界最大の自転車ショー。ただし、入場者数はユーロバイクが、かなり多いようです。

※参考:2009年ユーロバイク入場者39500人、2009年インターバイクの入場者数はまだ不明ですが、2008年は23000人とのこと

 しかしながら、昨年訪問した同僚や、知り合いの業者さんによると、以前はもっと展示スペースが大きかったそうで、今年は試乗用スペースとして使用されていた場所や、下層階のホールも展示に使われていたそうです。恐らく、出展者数は増加しても、一社当りのブース面積は縮小していると考えられます。

 また、直前に出展を取り止めた業者も結構いるようで、ところどころ空きブースが目につきました。昨秋以来の金融危機は、自転車業界にも影響を与えているのでしょう。

 ここ数年の傾向として、次第にグローバルさを失い、アメリカ国内市場向けに片寄りつつあるとの指摘も聞かれました。台北ショーやユーロバイクには行くが、インターバイクには行かないという業者も増えているようです。

 とは言え、世界最大級の自転車ショーであることは間違いなく、完成車メーカーや有力卸業者が巨大なブースを構えているのも例年通りです。会場の隅々まで人が流れ、閑散とした場所がないのも入場者の多さを物語っていました。

 完成車の車種を見ていると、台北ショーや日本のサイクルモードに比べると、北米らしくMTB系車種の比率が高いように感じられました。また、以前より縮小しているようですが、BMX業者が一定のエリアを占拠しているのは、これもさすがUSAというところでしょうか。

 ですが、これも「他ショーと比較すれば」ということで、やはりオンロード系車種を最も目立つ場所に展示しているメーカーがほとんど。USAブランドであっても、MTBは二番手、三番手の扱いでした。オンロード系では、ピスト系のシングルスピード車や、クラシックなスチールバイクがかなりの比率になっており、アメリカでの懐古系車種の人気を伺わせました。

 日本や台湾と違うのは、全体的に小径車の比率が低いこと。日本では小径車が得意と思われているK社が、添え物程度にしか小径車を展示していないのは、象徴的です。モールトンやDAHONはそこそこ目を惹きましたが、他のヨーロッパ系小径車メーカーは非常に小さい展示でした。

 カラーリングなど、デザインの主流はそう変化がないようで、カーボンの黒色と、対極の白系が最も目立ちました。それと、懐古系ブームで胴抜きデザインやメッキ処理も多く見受けられました。また、これも懐古系の「線引き」の派生かもしれませんが、シックな単色の上に細い線で複雑な模様を描くデザインをあちこちで見かけました。

 懐古系ブームのお陰で、トゥクリップ、トゥストラップ、本革使用のサドル、バッグ、バーテープ、シューズ等々があちこちで復活。日東、スギノ、MKSといった日本の老舗ブランドのパーツを採用した自転車も各所で展示されていました。

 また、シクロクロス車、クロスバイク、ツーリング車など、Vブレーキが使いづらいドロップハンドルの車種が増えているので、カンチブレーキが復活しています。関連パーツであるアウター受けなども見かけました。

 その他に印象に残ったのは、三洋電機が電動アシスト自転車を引っ下げて大々的に出展していたこと。自動的にバランスを取る一輪車(楽に乗れる)や、ジャイロを仕込んで倒れないホイール(子供の自転車練習用)など、マスコミ受けしそうな展示もありました。

 少し意外に思ったのは、黒人の姿が増えていること。一昔前はアメリカの自転車業界はほとんど白人が占めており、わずかにアジア系が混じっているくらい。黒人の姿はほとんど見かけなかったんですが、今回は会場でちらほら黒人の業者を見かけました。

 アメリカらしいと思ったのは、マーケティングや経営コンサルティング、メーカーと小売店を繋ぐ情報サービスなど、「ソフトウェア」サービスの業者が何社も出展していたこと。日本では自転車専門のソフトウェア業者は、恐らく存在しないでしょう。

 もちろん、実戦的なロードバイクも多数展示されており、シマノ、カンパ、スラムの三大コンポーネントメーカーも大きく展示していました。ただ、日本や台湾のショーと比べて、それほどの驚きはありませんでした。

 2日目の15時過ぎともなれば、あちこちのブースでビールの無料配布が行われ、奇声が飛び交う会場は、もうビジネスの雰囲気ではありません。私は2日目を終えて帰国しましたが、恐らく3日目はもっとスゴいことになっていたことでしょう。日本や台北のショーでは、少なくとも開催時間中はビジネスに徹するものですが、アメリカはいち早くパーティーが始まります。

 余談ですが、前回インターバイクに訪れた際には帰路にひどい目に遭いました。航空会社の不手際が重なって、帰国が2日間遅れたのです。

 まさか今回はそんなことになるまいと思っていましたが、乗り継ぎ便が遅れて、今回もかなりヤバい状態でした。幸い、出国検査を省略する(パスポートの出国スタンプ無し)という航空会社の荒業のおかげで、何とか帰国できました。

 日本に到着してホッとしていたら、最後にもう一波乱。空港からのJR線が車両故障で不通に・・・。他の鉄道で遠回りして帰宅することになりました。どうも、私とアメリカは、とことん相性が悪いようです。

 最後にフォトギャラリーです。

01ラスベガスの夜景です。

02食事に出て偶然出会った噴水ショー。名物らしく人だかりでした。


03MTBに乗った警官。信号が青になったら、ものすごいスピードで走って行きました。

04ホテルの窓から見えた日の出。ラスベガスは砂漠の真ん中なので、ほぼ毎日こんな景色。


05インターバイク会場に隣接するベネチアンホテルの運河

06入場口で開場を待つ人並み。


07周囲にオンロードバイク、内側にMTB系を展示したマリンブース

08コナも一番目立つところにロード、ピスト系を展示


09珍しくMTBを表に出しているロッキーマウンテン

10BMXのデモンストレーション


11ビアンキの懐古風シングルスピード

12カンチ用アウター受けの新製品?


13ヘッドパーツの上ワン一体型アウター受け

14日本企業コーナー


15パールさんは漢字で60周年をアピール

16エディ・メルクス来場


17ビール待ちの行列。まだ16時前ですよ。


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