エミコ一時帰国祝い、何度でもやったるねん壮行会
昨年行われた、エミコ&スティーブ(シール夫妻)の壮行会。日本では治療法の見つからないエミコさんの癌の治療のためにオーストラリアに旅立ったお二人でしたが、壮行会からちょうど一年経った本日、お二人の「一時帰国祝い、何度でもやったるねん壮行会」が大阪難波の居酒屋「奴」で開かれました。
自転車で世界一周旅行を続けてきたシール夫妻。エミコさんのガン発病、そして再発で度々の中断を強いられていますが、お二人は諦めることなく癌に立ち向かいました。オーストラリアでもいくつもの病院でさじを投げられながら、遂に手術を引き受けてくれる医師と出会い、二度の手術を乗り越えて、この度一時帰国されました。
今回も多くの友人や応援者たちが集まりました。私は一ファンに過ぎませんが、自転車業界でのご縁もあり、前回に続いて今回も参加させて頂きました。
会場の「奴」に到着すると店の前には旧知の自転車ライターにしてツーリング自転車専門店オオマエジムショの店主、大前仁さんが。台北ショーの話などをしているうちに、雑誌サイクルスポーツ誌の元編集長にして、現在チクリッシモ編集長宮内忍さんも登場。
店に入ってしばらくすると、夫のスティーブ、そしてエミコさんが登場。エミコさんはかなり痩せ、車イスに乗っていたが、ツエをつけば少しは歩ける様子。でも、あの周囲に力を与える「エミコスマイル」はそのままだ。
店内に集まったのは40人ほどだろうか、皆がシール夫妻を歓声で迎えた。お二人も再開した友人や支援者と声を交わしている。
私の両隣は大前さんと、元ロード選手にしてタクリーノ店主、上阪卓郎さんで、私越しに話をしている。そして目の前に宮内編集長という有名人に囲まれた夢の様な席。
エミコさんも席につき、宮内編集長が乾杯の音頭。
昨年に続き、エミコさんの旅行記がサイクルスポーツに連載されていた頃のエピソードを紹介してくれた。
エミコさんもアルコールが解禁されたとのことで、ワインを片手に各テーブルを回られていた。
冒険家(アドベンチャー・ランナー)高繁勝彦さんと、エミコさんが並んだ。共に自転車で世界を回ったアドベンチャーサイクリストの豪華なツーショット。
私のテーブルにも来てくれ、宮内編集長と歓談。私もご挨拶。
やがて、日大の先輩でもあり、今回の幹事、現在モトクロスインターナショナルにお勤めの松坂佳彦氏(各写真の右側)の司会で、縁のある方々のスピーチが始まった。
私の知っている方では、高繁さんに続いて、上阪さんが登場。軽妙な語り口と、大前店長のツッコミもあって店内大爆笑。
その後も次々とスピーチが続き、オートバイ時代のエピソードも語られながら、店内は常に笑いに包まれている。
ここで語られたエピソードはfacebookで経過を追っていた私にとっても、初めて聞く話が多かった。
費用が充分でなく、治療を諦めようとしたところで、元F1レーサーの片山右京さんが、支援を呼びかけてくれたこと。行く先々の病院で治療法が見つからず、余命1ヶ月の宣告を受けた後で奇跡的に届いた紹介状。大腸や膀胱といった骨盤内の内蔵をすべて取り去り、尾てい骨も切除し、骨盤も穴だらけ。ガンは取り去ったものの、腸管に穴が開き、再び手術。
壮絶で本当に苦しい戦いだったのだ。そして再発の可能性も高い。それでも彼女は夫スティーブと一緒にあと50年は生きたい、と語る。自転車世界一周も決して諦めていないようだ。ここはぜひ、録画した動画を見て欲しい。こんな戦いの報告を聞いていると、私が悩んでいるようなことは本当に小さなことだと恥ずかしくなった。前向きに、一生懸命生きなければ、という気持ちにさせられる。。
やや真剣な雰囲気になった店内だったが、報告が一段落した所でスティーブへの質問コーナー。スティーブの暖かくとぼけた受け答えで、また店内が盛り上がる。
その後もスピーチなどが続き、今回の会場を提供してくれた「奴」オーナー山本コウジさんがスピーチする間に、両親が加計呂麻島出身のシンガー、シーガン山下さんの準備が整い、演奏開始。
一曲目こそ手拍子で済んでいたが、安里屋ユンタが始まると店内では皆の手踊りが始まった。
今回は本当にみんな明るい。一年前にはみんな明るくしようとしながらも、どこかに緊張感が漂っていたように感じた。何度も奇跡を起こしてきたエミコさんではあるが、やはり多くの方は不安もあったのだろう。
ところが、エミコさんは今度も奇跡を起こした。諦めずに努力し続ければ、必ず願いは叶うということを、身を持って証明し続けてくれている。
そして、エミコさんに贈られた歌、クオリティ・ラブが始まった。「たとえ1%の 可能性があるなら 前へ進んで行く わき目もふらずに あなたはそんなやり方」という出だしで始まるこの詩は、まさにエミコさんの生き方を歌い上げている 。昨年はシーンとした店内で、皆が祈るような気持ちを重ねていたが、今回は心なしかシーガン山下さんの声も明るく、皆も賑やか。まるで違う。そして、それがとても嬉しい。
宴はまだまだ続き、その中で、ペダリングが困難なエミコさんのために新たな世界一周用自転車を用意しなくては、という話で盛り上がった。
タンデムやハンドバイクというアイディアが挙げられたが、ここに集まった自転車業界関係者が力を合わせれば、実現は難しくないだろう。私も業界に棲まう人間の一人として、協力できることがないか考えてみたい。
商売上はライバルになる方同士も多いが、こんな時には一致団結する。「自転車って、ホントにいいなあ」と思った。
サイクルスポーツやチクリッシモの発売元、八重洲出版大阪支社の迫田支社長、松村さんが漫才で盛り上げ、昨年の壮行会で知り合った寺瀬さんもスピーチ。
今回の参加費の多くが、エミコさんへの支援金として、山本オーナーから手渡された。
宮内編集長からはエミコさんを通じた縁で、八重洲出版がツール・ド・フランスの日本公式報道者として認められた事を感謝する言葉が語られ、宴席はお開きとなりました。
長丁場で恐らくはお疲れであろうエミコさんは最後まで笑顔で出席者一人ひとりとお別れ。
私のような縁の薄い者は早々に退出しなければ、とは思ったが、1枚だけツーショットの写真を撮らせていただいた。これを日々の励みにして行きたい。エミコさんは周囲の応援に感謝していたが、お二人の頑張りが私に力を与えてくれている。感謝したいのは私の方だ。
何度も何度も奇跡を起こし続けるエミコさんと、それを支えるスティーブ。これからも、治療には多額の費用が必要になるだろうし、世界一周の再開のためには、より一層の支援が必要になるだろう。お二人を支援するお気持ちのある方にはぜひ、モンベルさんの実施しているシール・エミコ支援基金にご協力をお願いします。
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