暗峠チャレンジ [チームCARACLE]

空来友蔵(Caracle Tomozou)として活動している同僚I井さんが企画するライドイベントが、6月のビワイチ、7月のアワイチと続き、次は8月に激坂「暗峠」に上ろうという話になっていた。残念ながら、皆の予定が合わずに8月開催は見送り、本日の開催となった。

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国道308号線の大阪府と奈良県の境、暗峠は標高こそ455mと大したことはないが、特に大阪側の勾配は近鉄奈良線との交差地点からわずか2.5kmで標高差400m以上を駆け上がり、平均勾配17.5%。終盤の緩勾配を除いた1.5kmは、平均勾配20%という規格外の激坂。

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さらに、最も勾配の厳しい中盤のヘアピンカーブにはイン側37%という「壁」が待ち構え、国土交通省により国道で日本一の勾配と認定されているとのこと。勾配だけではなく、狭い道幅と、意外に多い通行車両、道を横切る水抜き溝に、木々に覆われ湿りがちの(滑りやすい)路面もあって、なまじの自転車乗りの挑戦をはね退ける、近くて遠い峠だ。

私自身は、2012年に1度だけ大阪側から足つき無しで上っている。それ以前も以降も奈良側からは何度か上っているが、大阪側はあまりの厳しさに気軽に上る気が起きず、もしCARACLEで上れなかったら営業として格好がつかないというためらいもあって、10年以上ご無沙汰していた。例外的に、チャリロゲいこまでポイントになった「暗峠最大勾配地点」に奈良側から下って到達し、上って引き返したことがあるが、最大勾配地点から上だけなら難易度はずいぶん下がる。

今回はI井さんの発起で11年ぶりに挑戦することになったが、超軽量かつ超低ギア比のTORACLE-COZ2なら、50代の私でも無着陸登頂を果たせるだろうか?

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6:13にTORACLE-COZ2(CARACLE-COZ DB)で自宅を出走し、今日もカラクリング(CARACLE+サイクリング)。通勤ルートから府道12号線(ヤマタカ)を東進し、南河内サイクルラインが大和川を渡る新大和橋に7:10到着。対岸に一次集合地のリビエールホールが見える。

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集合時間の7:30には早すぎたかな、と思いながら新大和橋を渡る。安堂交差点前のリビエールホールの向かいに来ると、ちょうどCARACLE-COZ RBを押して横断歩道を押していく二人連れが見えた。テック・ワンの金属加工部門のライアンとその友人のマーコさんだ。

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続いてS間君がCARACLE-Sで登場。早く着きすぎてその辺を走り回っていたそうだ。

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続いて主催のI井さんがCARACLE-COZ DBで登場。すでに近くのぶどう坂を上って、ウォーミングアップを済ませてきたそうだ。

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そしてO村くんがやって来て、一次集合メンバーが揃った。

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柏原市は自転車に好意的で、市民文化会館であるリビエールホールに自転車ラックや伝言ボードを設置してくれている。今日はまだ開館していないが、トイレや飲料補給に自転車乗りが多く立ち寄り、我々のように集合地にする例も多い。我々CARACLE事業部は来週9/15にここで展示イベントを行う予定だ。I井さんは伝言ボードに「暗峠チャレンジ」と記入し……

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出走写真をパチリ。

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7:45頃に出走して、国道170号線旧道を北上し、暗峠の大阪側上り口を目指す。

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と、言いながら出走1kmも走らずに、ぶどう坂の入口の大県南交差点でコンビニに立ち寄って、トイレと補給。I井さんは最近ハチに刺されたこともあってか、虫除けの効果があると話題のオニヤンマの模型をサドルバッグに装着していた。万能ではないがそれなりに効果はあるそうだ。虫は黄色と黒の模様でオニヤンマと認識して寄ってこないので、トラロープでも効果アリとの話もある。それなら私のTORACLE-COZ2は虫が寄ってこないはずなのだが……。

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O村君は、今週組み上げたばかりのCARACLE-COZ DBの限定キャンディブルーで参加。難有り品で売り物に出来ないので、これまでCARACLE-Sに乗っていたO村君が使うことになった。

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ルートが分かる私が先頭を引いた。それなりに信号が多いので停車が多いが、そこそこ飛ばし気味の30km/h超でも脱落することなく皆着いてくる。

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急ぎ足で走ったら、8:20頃には瓢箪山駅の手前まで来た。渋滞してなかなか進まなくなったのと、駅の前後の商店街は自転車通行禁止なので、手前で山側に入って、瓢箪山稲荷神社の境内を押し歩きで通過。

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近鉄奈良線に沿って進むとだんだん勾配がきつくなってくる。生駒山を貫通するトンネルを少しでも短くするために、できるだけ高度を上げておくためだろうが、かなりの急勾配とカーブで横を過ぎる近鉄電車はレールをキーキー言わせながら必死で上っている。

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枚岡神社の前を通過して国道308号線の上り口に8:32到着。ここまでにもかなりの急坂を上ってきているが、これからの道を思えば可愛いものだ。

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ここで9:00に東淀川区から南下してくるT田さんと落ち合う予定だったので、早すぎたかと思ったが、ちょうどChalet-COZのT田さんが現れた。迷っていたら我々の姿が見えたとのことで、無事に本日の挑戦メンバーが揃った。

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スタート地点からドーナツ型が穿たれたコンクリート舗装で見るからに急勾配だが、ここはまだ可愛いものだ。

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皆、様子見という感じでなかなかスタートしなかったが、私が「撮影するので誰かスタートしてくれ」と言ったら、「じゃあ」とS間君がフラットバーのCARACLE-Sで勢いよく飛び出していった。

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続いてチームCARACLEのエースT田さんがChalet-COZでスタート。O村君が続く。

私も8:42に4番手にスタートしたが、以降は足を着かない限り撮影する余裕はなさそうなので、車体にデジカメを固定して動画撮影してみた。

残念ながら5分で勝手に撮影が停止してしまったし、アクションカメラではないので映像がブレブレ。ソフトで補正は掛けてみたが、それでも見にくくて申し訳ない。

序盤の住宅街から勾配は規格外だが、まだ体重の落とし込みで立ちこぎができる。これからのさらなる急勾配に備えてできるだけゆっくりと腕の力を使わないように上っていく。映像に写っている通り、後からスタートしたライアンとマーコさんが私を抜いていき、住宅が途切れてさらに勾配が増す地点でO村君が停車していた。ライアンとマーコさんも「ヤバい」と言いながら足を着いてしまい、上り始めから500mで3人脱落。3人共脚力はかなりのものだが、この坂は脚力だけでは上りきれない。

先行するS間君とT田さんの姿は見えないので頑張っているのだろう。枚岡梅林の中を直登する区間は勾配が増して、やたらと踏み込むと前輪が浮くか、後輪がスリップする。前後のバランスを取り、道を横切る水切り溝にハマらないようにハンドルをしっかりコントロールする必要があるので、体幹と腕力も必要。しかも路面は荒れ気味で、道幅が狭いので対向車が来るとかなり厳しい。幸い、スクーターや散歩(トレラン?)の歩行者くらいで、行き違いに大きな苦労をすることなく上り続けられた。

期待はしていたが、CARACLE-COZは以前の挑戦より激坂で楽にコントロールできる。軽い車体と、長いホイールベース、小径で軽いステアリング、低いギア比といった要素がプラスに働いていると感じる。太めの28mm幅タイヤで気圧を少し下げてきたというセッティングも役立っているかも知れない。

そうは言っても下半身も上半身も、全身の力を振り絞ってして必死で上り続けていくので、筋肉も心肺もむちゃくちゃ苦しい。心拍数は今年最高の189bpmに達したので、今年一番頑張ったと言えるだろう。汗がポタポタと流れ落ちるが手を離せず、拭うこともできない。もう限界というところで駐車場があったので、そこに入ってぐるぐる回って呼吸を整える。ずるい手だが、ここは経験者の年の功で、足はついていない。梅林区間を過ぎ、ここからは最も勾配が厳しい区間。とは言え、道が直登から連続するカーブに変わるので、コーナーのアウト側をなぞると実は直登区間より楽なことが経験からわかっている。

必死で上り続け、最大勾配地点のヘアピンカーブを通過。苦しいがその少し上に駐車場があったので、またここで呼吸を整える。弘法の水の祠までくれば勾配は少し落ち着くが、その手前でT田さんがChalet-COZを押しているのに追いついた。こちらも余裕がないのでその場でゆっくり話はできなかったが、あとで聞くと最大勾配地点のヘアピンカーブの手前で落ち葉で滑ってバランスを崩し、転倒してしまったとのこと。テック・ワンスタッフで一番脚力のあるT田さんをも跳ね返す暗峠恐るべし。

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峠近くになると勾配がかなり落ち着き、撮影する余裕も出てくる。ホッとしたが、何箇所か短い激坂があり、そこで対向車が現れた時にはここまで来て足を着くことになるかと焦った。少し道幅の広いところですれ違うために速度を止まる寸前まで落とし、手招きして車を通過させた。最後まで油断大敵だ。

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峠の手前数百メートルは郡山藩が参勤交代のために敷いた石畳が現役で使われている。日本で唯一の国道の石畳だそうだ。小径車には過酷な凹凸だが、ここまで来れば峠は目前。S間君のCARACLE-Sが峠の茶屋すえひろさんの前に置いてあるのが見え、峠に9:11到着。本当に苦しい上りだったが、今回も何とか無着陸登頂を果たすことが出来た。

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わずか2.5kmに29分かかった訳で、もうフラフラで汗だくだが、まずは暗峠の石碑の前で記念撮影。このCOZで奈良側から上った事はあるが、塗り替えてからは初めてだ。「お疲れ様です」と労ってくれたS間くんは「もうかき氷頼みました」とのこと。すえひろさんは9:30開店のはずだが、フライングの客を受け入れてくれるようだ。

T田さんからすでに聞いていたが、フロントシングルとフラットペダルのS間くんは最初から乗車登頂は諦めており、早々に押しに入ったとのこと。T田さんの「(S間くんは)押しがムチャ速かった」とのセリフに笑ったが、さすがシクロクロスで昇格を果たしただけのことはある。

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1分ほどでT田さんゴール。新品のクリートカバーがボロボロになったと苦笑い。

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さらに2分後、I井3ゴール。残念ながらバランスを崩して2回足を着いたそうだが、60代で押すことなく上りきった。

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さらに10分後にライアン、マーコさん、O村君が続々ゴール。ライアンは現場でも「キツいよ!」を連発していたが、よほど辛かったようで、自分で上げた動画には「My 1st and Last ride in Kuragari Touge route308」とタイトルを付けていた。「最初で最後」=「二度と上らない」の決意を込めたタイトルに笑ってしまった。

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峠の茶屋すえひろさんは開店時間前から「できる範囲でよければ」と温かく対応してもらい、私はわらびコーヒーを注文。小さなわらび餅が沈んだアイスウィンナーコーヒーにきな粉がかかっており、太いストローでタピオカのようにわらび餅を頂くことができる。コーヒーとの相性も抜群だが、わらび紅茶もあるので今度はこちらも体験してみたい。さらにタピオカティーに近い風情になりそうだ。

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開店前からすえひろさんをCARACLEで占領して、暗峠の凄まじさを振り返りつつ大休止。ロードバイクはたくさん上がってくるが、小径車がまとまって上がってくるのは珍しいとのことで、お店の方ともお話がはずんだ。

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I井さんが大阪の自転車メーカーであることをお伝えして、CARACLE-COZのステッカーを貼る許可をいただいた。暗峠に上った自転車乗りの方はすえひろさんのガラス戸をご覧ください。

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I井さんが皆にあべ川をごちそうしてくれたので、美味しく頂いた。厳しい登坂の後にありがたい。フィリピンでは馴染みのない餅も、ライアンはきれいに平らげていた。テック・ワンでは年末に有志で餅つきをしているので、すっかりおなじみのようだ。

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方向の違うT田さんとはここで別れ、残る5人が奈良側に下ろうとしたら、ライアンが峠を訪れた女性たち(トレラン? ハイキング?)に声を掛けて、記念撮影を請け負っていた。コラコラ、ここでナンパしてるんじゃない。

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信貴生駒スカイラインをくぐって奈良側に下り始めると、谷間から奈良盆地が見下ろぜる。大阪側ほどでは無いが、奈良側も充分に激坂のコンクリート舗装。

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峠から400mほど下ったところに2024年4月にオープンしたのが、KURAGARI Village。子どもから大人まで楽しめる、憩いの場となることを目指し、カフェ・農園・動物たちとの触れ合い空間・キャンプ場・BBQ場などの施設が設けられている。せっかくなので、立ち寄ってみる。

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新しい「KURAGARI」のモニュメントで記念撮影。園内は乗馬体験できる馬場があり、ヤギや鶏などがいて動物と触れ合えるようになっていた。EGG CAFEなども人気なようだ。

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国道沿いには卵の無人販売所があり、平飼い鶏肉の案内板もあった。

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一気に坂道を下っていくが、勾配がきつくてダウンヒルや景色楽しめるレベルではない。勾配が緩んだところで後続を待つ。

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国道168号線に出て南下していく。今日は交通量が多く、リラックスして走れるルートではなかった。

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菊美台に上るバイパスを避けて、旧道に入ると交通量は激減。ところが、後続が着いてこない。I井さんがパンクとのことでしばらく待機していると、地元の方に声を掛けられた。その方も身体を痛めるまではロードバイクに乗っていたそうで、小径車のCARACLE-COZが珍しいようだった。15分ほど待っていると、修理を終えてI井さんたちが追いついてきた。

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しばらく気持ちの良い下り道だったが、道の駅 大和路へぐり付近でバイパスに合流すると再び暑さの中で渋滞の中を走ることになり、しばらくの我慢。

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国道の道なりに続く県道194号線から離れて、県道195号線に入ると交通量が減って走りやすくなった。三郷駅前でコンビニに立ち寄り小休止。皆、日かげに張り付くように休憩している。

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国道25号線で亀の瀬を下って大阪府に戻り、青谷を通る府道183号線に入れば交通量が減る。残りわずかとなり、ペースがだんだん上がって行く。

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最後は全力疾走で12:04にリビエールホールに帰ってきた。平地では皆元気だ。

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本日の暗峠アタックはこれにて無事に解散となった。結局、7人中若手5人が途中で押してしまい、乗車して上り切ったのは私とI井さんの年寄り2人だけだった。これは、脚力というより状況に適した対応ができる「経験」が物を言う坂だということだろう。全く足をつかなかったのは今回私だけという結果だったが、私も2回めの挑戦で無着陸登頂を果たした。恐らく、I井さんや他の若手ももう一度挑戦すれば、足をつかずに上りきれる者が多いだろう。

以前、暗峠に上るイベントを開催した際もそうだったが、ほとんどの挑戦者が「想像を超えていた」という感想を漏らす。今回も事前に「ロードシューズはやめた方がいい」「ギア比を下げた方がいい」といった助言をしていたが、MTBシューズの私と、最初から押す気満々でスニーカーのS間君を除いて、全員ロードシューズだった。舐めていたというより、想像のできる範囲を越えていて、実際に体験しないとこの坂の凄まじさは理解できないのだろう。自転車乗りの皆さんには、一度でいいのでこの坂に挑戦してみて欲しい。きっと想像を超える体験ができるだろう。

■STRAVA


暗峠チャレンジ [チームCARACLE] | ライド | Strava

■Ride with GPS

暗峠チャレンジ [チームCARACLE]・Ride with GPS

■CyclemeterGPS

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CyclemeterGPSの記録
スタート: 2024/09/07 6:13:02
自転車完了: 2024/09/07 13:42:51
バイクタイム: 3:18:18
停止時間: 4:11:31
距離: 82.72 km
平均スピード: 25.03 km/h
登り: 427 m
カロリー: 2459 kcal
平均心拍数: 134 bpm
最大心拍数: 189 bpm
平均ペダルペース:  63 rpm
最高ペダルペース: 150 rpm
今月の走行距離:  205 km
今年の走行距離: 5393 km
先月の走行距離:  726 km
昨年の走行距離: 7747 km

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