「TRACLE-S 2」組立て その1 [CARACLE-S]
「TRACLE-Sの代替り [CARACLE-S]」からの続き
残念ながら引退することになった初代TORACLE-SをGW前に徐々に分解していき、再使用するパーツをクリーニングしていった。走れないので事故後は勤務先に置いたままになっていたが、自宅に持ち帰るためにもGW中に自走できるようにしようと、出社して組立てを開始。
BBタップ&フェイシング等の下準備をしていた新フレーム(rev.3)の付属ボルトを、チタンやアルミ製に交換していく。CARACLE-Sのフレーム付属ボルトは元々ほとんどがステンレスかチタン製なので錆びる心配はないが、少しでも軽量化したいので初代TORACLE-Sで使用していたボルト類を再活用して装着していく。ただ、画像下側の後輪位置調整ボルトは2016モデル(rev.1)でM6アルミボルトを装着していたが、規格がM5に変更されているので、新たにチタンボルトを装着した。ナットもひとまずステンレス製だが、いずれアルミ製に交換しよう。
20インチWO(ETRTO451)ホイールとキャリパーブレーキを装着するので、カンチ(Vブレーキ)台座のシャフトを外す。
シャフトを外した台座の左側には、アルミ製の専用キャップを移植して目隠し。右側にはチタンシャフトを加工したリフレクター台座を移植。
BBやチェーンホイール類も初代TORACLE-Sから移植して装着。シングルギアだからという事情はあるが、わざわざ骨董品のデュラエースFC-7410を調達して、ナローワイドチェーンリングとチタンシャフトBBを組み合わせ、700gを切る超軽量仕様だ。
ダメージを受けた可能性の高いフォークは新調。今回調達したのは、軽量化を最優先してディスクブレーキ台座が無いキャリパーブレーキ専用のカーボン製フォーク。CARACLE-Sに合わせてコラムをカット。
コラムをカットした状態で実測263g。
これまで使用していたフォークの重量を測ってみたら282g。わずか20g程度しか変わらず、ちょっとがっかり。
丈夫な造りなのでダメージはなさそうだったが、フォークの上に装着するハンドルポストも現行のテレスコピック型第2世代(のショート型試作品)に交換した。鍛造一体成型で溶接箇所が減って精度や剛性が向上し、40g程度ながら軽量になる。
別に今までのハンドルポストでもできたことだが、この機会に試してみたいことがあった。これまでドロップハンドル化の際にハンドルポストのインナーパイプ最上部のハンドルクランプを切り落とし、代わりにオーバーサイズ(1-1/8インチ)アヘッドステムをクランプしていた。これによりバルジ径31.8mmのハンドルバーを装着可能にすると共に、ポジションを最適化している。
基本的にこの仕組を踏襲するが、今回はアルミ製のインナーパイプの代わりに先ほどカットしたカーボン製のコラム(ステアリング管)の一部(画像下側のパイプ)を装着してみた。外径は28.6mmで同じだが、ハンドルポスト付属のインナーパイプには凹み(旧型)や、切り欠き(現行型)が設けられており、クランプバンドに設けてある凸部とかみ合って、方向が一定に決められる仕組み。旧型クランプの凸部はボルトなのでこれを除去して廻り止め機構を無効化し、ひとまず固定できた。もちろん、廻り止め機構が無効化されているので、QRレバーを緩めればハンドルが左右に動いてしまう。毎回方向を調整する必要があるが、カーボンコラムを凹ましたり、一部を削るのは現実的でない。
カーボン製コラムスペーサーと併用するので強度的には問題無いと思うが、プレッシャーをかけて固定する訳ではないので、剛性が不足してたわんだり、異音が生じる可能性がある。ダメ元で試してみて、問題がなければ本来の現行型用クランプバンドを加工して装着するつもり。問題があれば本来のアルミ製インナーパイプを使用すれば良い。
これまではスターファングルナットを打ち込んでいたが、一般的にカーボンパイプには使用しない。かといってヘッドパーツを固定するわけではないので、固定力の強い(重い)プレッシャープラグ(アンカー)でなく、20gもない超軽量プレッシャーアンカーを使用した。トップキャップを固定するだけならこれで充分だろう。
一方でヘッドパーツを固定する本物のフォークコラム(ステアリング管)はヘッドチューブが短いだけに強い固定力が必要。ひとまずは従来と同じくHIRAME製のプレッシャーアンカーを装着したが、初代TORACLE-Sでも何度か緩みが生じた。恐らくは今回も緩みが生じるので、より強力な固定方法を模索している。ヘッドパーツはワンなどを新調した(というかフレームにすでに装着されていた)が、ダストキャップはあえてCARACLEロゴ入りの初期型を装着した。ハンドルポストが被さってほとんど見えないので、現行仕様のロゴは省略されている。
ブレーキ、変速系などのコンポーネントを再装着していき、(前輪は歪んだままだが)ホイールもZ-TOUGH2を仮装着、ハンドル周り、シート周辺なども装着して、自転車の形になってきた。
今回導入した新仕様のひとつが、ワイヤーのアウター。インナーチューブに通したアルミ製ビーズをアウターケーシングとする仕組みは、NOKON製品が一時期有名になったが最近は見かけない。一方で、特許が切れたのか類似品をちらほら見かけるようになったので、入手してみた。
通常のアウターのケーシングはコイル状のスチールやステンレス製だが、このタイプはアルミなので重量は半分以下。コイルが縮む「たわみ」が無いのでロスがなくカッチリしたブレーキタッチになることも特徴だ。もっとも、CARACLE-Sの標準添付のブレーキワイヤーが(構造は異なるが)元々アルミ製アウターケーシングの超軽量品なので、重量面で採用するメリットはほぼ無い。それでも今回採用したのは、シフトワイヤーもアルミ化が可能なことが、1つ目の理由。シフトワイヤーはCARACLE-Sもステンレス製ケーシングなのだ(変速性能の維持が難しい)。
そして、それより重要な理由は黒と黄色(正確には金色)のタイガースカラーがあったから(笑)。前回、[もういい歳だし、派手派手は止めて、落ち着いたカラーリングにしようか?」なんて書いた舌の根も乾かぬうちにこれだ。
これまでのアウターを参考に長さを決めようとして問題発生。インナーとアウターの長さを見誤っていて、3本分(ブレーキ前後+後変速)には長さが不足。本家NOKON製ほどでは無いにしろ、それなりに高価な製品なので予備を購入するのはためらっていたが、ケチったツケが回ってきた。
止む無く、今回はブレーキ前後のみ装着することにした。慣れない作業で多少手間取ったが、大きな問題はなく仮装着できた。折りたたみ時に問題が生じないか、バーテープの下に巻き込んで急なカーブになっても大丈夫か、という懸念はあったが、雨雲が近づいてきたので今日の作業がここまで。
残念ながら自走可能なところまで作業を進められなかったので、別の自転車(TORACLE-COZ 2)で慌てて家路についた。何とか本降りになる前に帰宅できてホッとした。検証と続きの作業はまた後日。
ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。
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