せち焼きライド [新風吹トンネル-貴志-海南-有田-湯浅-水越トンネル-御坊]
風下に向かって走り、帰路は輪行して午前中に帰宅する追い風午前ライドを、この冬場は5回ほどやってみた。三重県の名張や和歌山県の海南まで走って午前中に帰ってくるというのは、なかなか達成感があるし、逆風と戦うための体力を残さなくて良いので全力を出し切れる。とは言え、午前帰宅という条件だと、乗り換えの多い路線は時間のロスが多くて、あまり遠くに行けない。路線が限られてしまうので、走る方向も限定されてしまう。
そろそろ同じようなパターンが出ていたところで、服部産業のH本さんから「(御坊の)せち焼きを食べに行こう」とお誘いを受けた。帰路は輪行で帰ってくるライドを考えてくれたのだが、帰路は午後まで時間を確保することで、より遠くまで走ろうということだ。
いつもより早い5:35に自宅を出走し、集合場所の近所のコンビニに向かった。TORACLE-COZ(CARACLE-COZ試作フレーム)で乗り付けたコンビニで東の空を見ると、すでにかなり明るくなっている。ずいぶん日の出が早くなったし、気温も先週までのことを思うとかなり暖かい。かなりの強風なのに、少し薄手のレーサージャージでもさほど寒くない。
H本さんもすぐにやってきたので、コーヒーだけ飲んで5:53に再出走。何せ先が長いし、せち焼きを食べるのが目的なので、昼ごろまでに目的地に着かなければ意味がない。しかも今日はかなりの強い西風の予報で、追い風ライドとは言い難い。のんびりしている場合ではない。
まずは国道26号線バイパスを南西に進んでいく。天気はよく晴れているが、最初のうちは真横よりやや前よりからの強風でなかなかペースが上がらず25km/h未満で我慢のペダリング。再出走から約1時間経過して走行距離19kmの貝塚市と泉佐野市の市境付近。無理せず抑えめのペースとは言え、これから5倍以上も風との戦いが続くと思うと御坊までたどり着けるか心配になる。
7:20頃、約24.5km地点のコンビニで小休止。私のTORACLE-COZもH本さんのWllier GTRも軽量なカーボン製フレームのため、風で倒れないようにかなり斜めにして壁に立て掛けている。風は相変わらず横から強く吹いているが、それでもこの辺りからやや追い風気味になるタイミングが増えた。お陰で巡航速度が少し上がり、30km/hを越えることが増えた。
和歌山県には風吹峠を越えるルートを取るので、大苗代西交差点で国道26号を離れ、府道64号線(熊野街道)を経て、府道63号線に入って和泉山脈に向かって南東に進路を取ると追い風になるが、次第に上り坂になってくる。7:43に府道30号線と交差する佐田交差点に到達。
それでも真後ろからの強力な追い風に、随分楽に上れる。不県境を越えて和歌山県に入り、8:02に約37km地点の風吹峠(新風吹トンネル)に到達。
旧根来街道に沿ったルートは標高約180mと手頃な高さだが、採石場がある峠付近は晴れると埃っぽく、雨が降るとドロドロで、交通量が多いこともあってあまり気持ちの良いルートではない。トンネルは自転車通行可の広い歩道があり、安心して通行できる。
和歌山側を岩出駅付近まで一気に下り、8:20に44km地点の紀の川を渡る。風が強いことで空気が澄み、風景が美しい。
逆光の東側の写真だとわかりにくいが、西側の写真を見れば空の青さと山並みの美しさがわかるだろう。
県道10号線に入り東に向かい、貴志川に沿って南向きに進路を変えていく。桃山大橋への分岐で停車。実は出走前のエアー補充時に、前輪の空気圧低下がいつもより著しいことに気付いていた。一週間経過しても走行可能な程度だったので半日くらいは保つかと用心していたが、やはりスローパンクのようで気圧が少しずつ下がっている。ここまで46km走れているので、途中で2回補充すれば充分完走できるという計算もできる。ロスタイムが惜しいので迷ったが、念のためチューブを交換した。10分ほど停車して再出走。
たま駅長で知られる貴志駅前を通過し、国道424号線に合流。やや南西に進路を変え、また向かい風気味になってくる。道がちょくちょく蛇行しているし、交通量も結構あるので、突風にふらつかないよう気を使う。強風で花粉の飛散も多いのか、鼻水がダラダラ流れて息も苦しい。余り景色も楽しめず、必死でペダリングとハンドリングに努めつつ先に進み続ける。
沖野々で左折して国道370号線に入り、真西に進み始めると真正面から強力な向かい風。速度が上げられず、下ハンでジリジリ進む。国道424号線を進み続ければ黒沢ハイランドに通じる峠越えで距離を短縮できるが、H本さんによると鍋谷峠クラスの峠で、かえって時間が掛かるだろうとのこと。
約6kmの苦闘で9:25頃JR紀勢本線の高架をくぐり、海南市の中心部に到達。海南市の東西を繋ぐ国道370号線はほとんど4車線の大通りで、H本さんによるとかつては国道沿いに鉄道が通っていたとのこと。調べてみると、野上電気鉄道が海南駅近くから生石高原の麓までを繋いで、1994年まで運行されていたとのこと。軌道跡は遊歩道自転車道の海南市健康ロードとして整備されているとのこと。今回はよく知らなかったし、時間的余裕もなかったが、それをたどってみるのも面白そうだ。
国道42号線に入り、海沿いに南下を開始。といっても、道はジグザグと東西に行ったり来たりしながら少しずつ南に進む。まずは海南市中心部から下津駅方向へ西に進むので、引き続き強い向かい風との戦いが続く上に、岬を乗り越える上り坂。しかも交通量が多く、崖に張り付くような路肩の狭い2車線道路が続いて、工事中の箇所も多い。海からの高度も稼いでおり景色も良いのだろうが、走行中は目を向ける余裕も無く、落ち着いて停車できる場所すらなかなか無い。
海沿いを反時計回りに進むということは、海は常に道路の反対側。交通量が多いので道路を渡るのも簡単ではないし、先はまだまだ長いのでとにかく必死で進み続ける。ピークに到達するとさらに路肩が狭くなるトンネルで、これまた気を使う。路面が荒れているので、下りでも自転車をコントロールするのに必死。
ほうほうの体で旧下津町の中心部に降りてきて、約73km地点のコンビニに飛び込み小休止。おにぎりを1個ほお張り、ほっと一息ついて再出走したのは10時過ぎ。
低い丘を乗り越えて下ると有田市中心部。有田川を渡ると国道42号は真東に方向を転じ、しばらく有田川南岸を進んでいく。さっきまでの地獄が嘘のような、追い風の快速走行。この区間は路面もきれいで真っ直ぐな道に、35km/hペースで進んでいく。周辺の山肌はすべて果樹園で、さすが有田みかんで知られる地だけのことはある。
有田川町に入ると国道42号は南方向を転じ、有田川から離れていく。風は横風になるが、山陰に入るせいか先程までに比べればまだマシだ。比較的道幅が狭く、起伏もさほどではないので悪くないペースで進んでいき、湯浅町に入る。日本の醤油発祥の地と言われる湯浅は、国道沿いにも醤油関連の施設や販売所などがいくつか現れた。寄ってみたい気持ちもあるが、御坊までまだ20km以上あるし、本日メインの峠越えが待っている。時刻は既に10:45で身体はすでにかなり消耗している。のんびりできる状況ではないので、ここは寄り道せずに先を急ぐ。
湯浅で海に近づいたが、広川町に入ってまた内陸に入っていく。広川ICを過ぎると国道42号は西寄りに方向を転じて、今日一番の上りが始まる。傾斜は緩めで道幅もそこそこあるので、走行距離90kmを超えて疲れた身体でも、それほどペースダウンせずに上っていける。向かい風だが、山陰でそれほど強くない。
軽く汗ばんで、11:10に水越トンネルに到達。標高は180m程度と新風吹トンネルと同じくらいだが、こちらは歩道もない2車線道路。ここから由良町だ。
幸い大型車に煽られることもなくトンネルを抜けると、反対側も道幅が広く、ゆるい傾斜とカーブの走りやすい道だった。気持ちよく下っていくと稜線の上に風力発電所が並んでいる。気持ちのいい空の下の印象的な風景に、一時停車して撮影。
下る途中で走行距離100kmを越え、一気に由良町中心部へ。その勢いで最後の峠を一気に越えるつもりだったが、標高100mほどの峠はトンネルが2つ続き、そこそこ大変だった。上る途中で大きなザックを背負ってMTBにまたがった自転車乗りがいて、H本さんが声をかけると「今日は白浜まで行く」とのことだった。三連休で紀伊半島一周でもするのだろうか? さほどグレードが高い自転車でもなく、荷物も背負うのは大変だが、昔は自分もこんなのだったなあ、と懐かしくなる挑戦者の姿だった。
最後のトンネルを越えれば日高町に入り、ひと下りすると強烈な追い風で平野のまっすぐな道。時速35km/hでラストスパートして御坊市に入り、一気に目的地元祖せち焼き山下に到着。時刻は11:45。強風に苦しめられたが、寄り道せずに頑張ったお陰か、ちょうど昼時に到着することができた。
さすがに有名店で、すでに満席。今日の走りを振り返りながら30分ほど待って席につき、ミックスせちとご飯を注文。今さらだが、「せち焼き」とは御坊市のご当地グルメで、肉や野菜等の具と、焼きそばを卵で焼き固めたもの。見た目はお好み焼きに似ているが、小麦粉は使用していないので「粉モン」ではない(?)。
私達の頼んだミックスせちは、イカ、豚、牛、エビが入ったもので、これらと野菜(主に千切りキャベツ)を炒めてそばを加え、まず焼きそばを作る。
そして焼きそばで作った壁の中に卵(一人前につき2個)を入れ、それも軽く混ぜながら固めていく。店員さんの手さばきは、見事なものだった。
後はお好み焼きとよく似た仕上げで、ソース、カツオ節、青のり、お好みでマヨネーズをトッピングして出来上がり。食欲をそそるソースの香りは素晴らしいが、さてお味は?
ウン、これは美味い。小麦粉を一切使用していないので、食感がもっと濃厚で、卵の味も強い。お好み焼きより御飯のおかずになりやすい味わいなので、ご飯を一緒に頼んで正解。せち焼きを食べるために、わざわざ大阪から112km走ってきて良かった。
食べながら帰りの相談。運行本数の少ないきのくに線(紀勢本線)は、特急を除くとこの時間帯、30分に1本のペースでしか運行されていない。御坊駅13:09発を逃すと痛いが、私の食べるペースがゆっくりで間に合いそうになかったので、次の便にしてもらった。
そうなると、食後ちょっと手持ち無沙汰。ふと思い出してWAKAYAMA800のチェックポイントが近くにないかと思ったが、最寄りの日高港新エネルギーパークは5.5km離れているので、遠すぎる。ぱっと思い当たる見どころも知らなかったので、いったん御坊駅に行ってみることにした。観光案内所があるかもというつもりだったが、駅に着いてみると13:01。
「5分で輪行したら、13:09に間に合うけど?」というH本さんの言葉に、「できんことないと思いますよ」と返し、「やりますか!」と、急遽輪行作業開始。
ここは折りたたみ自転車CARACLE-COZの得意分野と、大急ぎで折りたたんで3分で輪行完了(さすがに途中で撮影する余裕はなかった)。
H本さんも5分ほどで輪行を終えて、入場。改札を抜けた目の前のホームから13:07発の新大阪行き特急くろしおが発車していったので、そこから乗れるのかと思ったら、13:09発の普通は連絡橋を上り下りした向こうのホーム。慌てて階段を駆け上がり、発車ベルの鳴る中を電車に乗り込んだ。
我々が乗車した途端に電車は発車。まさにギリギリのタイミングだった。既に走り出した車内で輪行袋を固定し、席についてホッとした。
ここから和歌山駅まで約1時間、乗り換えて自宅最寄りの鳳駅までもう1時間かかるので、30分早く乗れたことはありがたい。自転車で6時間かかった距離を2時間で帰れるのだから速いと言えば速いが、遠くまで走ってきたものだと感慨深い。ちなみに先ほど目の前で発車していった特急くろしおに乗車した場合は、1時間32分で鳳駅に着く。鳳駅に特急は止まらないので、途中で快速に乗り換える必要があり、驚くほどの短縮にはならない。30分短縮するために、自由席特急券990円を負担する気にはなれない。
車内で、また昼食を食べに行く帰路輪行ライドをやろうという話になった。H本さん曰く、「次は伊勢かなあ」。鈴鹿山脈を越えて昼までに到着するのは、無理な気がする(^_^;)。
15:09に鳳駅に到着し、輪行を解いた。まだそこそこ風が強いが、ポカポカ陽気ですっかり春の陽射し。今日のライド中、ソメイヨシノはまだ開花の気配がなかったが、来週は桜も咲くだろう。イベントが軒並み中止になっても結構仕事が忙しいが、何とか桜は見に行きたいものだ。今度は強風で無いことを祈る。
途中でH本さんとお別れして、15:34自宅帰着。頻繁に時間を確保するのは難しいが、たまには今日のような午後までのイベントも行いたいものだ。自走なら宿泊ライドでないとたどり着けないところに行けるのが、輪行の良いところ。もちろん慣れや工夫は必要だが、CARACLE-COZは車体以外のウェアや装備品含めても3分で輪行体制が整えられる。加えて片手で持ち運べる6kg台の重量のお陰で、階段の上り下りもラクラクだ。これだけ気軽に輪行できると、色んな活用法が浮かんでくる。時間と費用の制約はあるが、その一部でも実践していきたい。
■STRAVA
せち焼きライド [新風吹トンネル-貴志-海南-有田-湯浅-水越トンネル-御坊]
■本日の走行記録(自転車)
CyclemeterGPSの記録
スタート: 2020/03/20 5:35:38
自転車完了: 2020/03/20 13:01:37
バイクタイム: 4:16:27
停止時間: 3:09:29
距離: 113.04 km
平均スピード: 時速 26.45 km/h
登り: 525 m
カロリー: 3300 kcal
平均心拍数: 138 bpm
最大心拍数: 166 bpm
平均ペダルペース: 80 rpm
最高ペダルペース: 134 rpm
今月の走行距離: 635 km
今年の走行距離: 2001 km
先月の走行距離: 669 km
昨年の走行距離: 9346 km
[…] ところが、準備をしているとTORACLE-COZ(CARACLE-COZ試作車)の前輪の気圧がかなり下がっている。先週チューブを交換したばかりなのに、またスローパンクなのか? とにかくチューブを交換しておこうと、20分遅れることを友人に連絡。チューブを交換してから、先週の交換時にCO2カートリッジで注入したことを思い出した。CO2(炭酸ガス)は分子が小さいのでチューブを通過しやすく、気圧がすぐに低下するのだ。 […]
[…] やっぱり、服部産業のH本師匠でした。コロナ禍を受けて3月のせち焼きライド以来ご無沙汰していたが、偶然にも同じ峠を同じタイミングで上っていた。H本師匠と続いて上ってきた連れ […]
[…] コロナ禍で自粛していたので、輪行は3/20のせち焼きライド以来。なかもず駅はホームまで距離があるが、ディスクブレーキモデルながら7kg台のCARACLE-COZなら、苦にならない。5:55発の車両に乗り込んで手すりに固定する。 […]