息子の通学用車完成?[THUNDER再生]
先々週、先週と組み立ての準備を進めていた息子の通学用自転車となる「THUNDER(稲妻)」のベース車。ゴールデンウィークに入って、いよいよ本格的に組み立てを行う。
課題となっていた前ギアをどうするか未決定だが、インナー側のチェーンガードが干渉することがわかったスギノ製46Tチェーンホイールのカシメ(アルミリベット)を、昨日出社した際にボール盤で除去した。
これでチェーンホイールとチェーンガードがバラバラになった。アウター側だけチェーンガードを組み直せば、干渉を逃れられるだろう。
これを使うか? それとも先週勤務先から強奪してきたクランクに手持ちの42Tギアを組み合わせたチェーンホイールを使用するか? ひとまず、せっかく加工したのでスギノ製チェーンホイールを検証してみる。
シャフト長122.5mmのVP製BBに、チェーンガードを外したクランクを仮組みしてみる。46Tチェーンリングでもチェーンステイまで充分にクリアランスがある状態で、チェーンラインは約47.8mm。ちょっと内寄りだが、チェーンリングが46Tならカセットスプロケットのロー側で使用するケースが多いと思われるので、このシャフト長のままでも良いかもしれない。
もう一方のクランクはというと、課題となっていたチェーンの脱落防止のためにチェーンガード(バッシュガード)を調達した。こちらは42Tだが、PCD130の5アーム式クランクなので、チェーンリングの交換も可能。アルミ製クランクに、スチール製ギア板をカシメてあるスギノ製に比べれば、でこちらの方が軽量だし高級感もある。
どちらも使用できそうだが、さてどうする? しばし考えたが、ひとまずスギノ製クランクを組み付けて様子を見ることにした。ここだけ軽量化しても仕方ないし、雑な息子にはスチールギアの方が減らずに長持ちするだろう。
ローグレードの鉄歯のクランクに、不似合いなほどくっきりした高級感のある刻印。王冠に「S」のマークはスギノ(杉野鉄工所~スギノテクノ~スギノエンジニアリング)のものだろうが、型番らしきF-12というモデルの情報は再生後のスギノエンジニアリングを含め、ネットでは見当たらない。
ではと、1990年台のスギノのカタログを引っ張り出してみたが、やっぱりこのモデルの情報はない。ローグレード商品は注目されないことも多いが、このモデルの詳細は不明。
まあ詳細がわからなくても、どうせ現物合わせなので大きな支障はない。後は46Tが重すぎないかが気になるところだが、最終的には組み付けて走ってみないとわからないことだ。
リベットのカシメ穴は6mmだったので、適当なM6ボルトとナットでアウター側のチェーンガードのみ装着する。
一応はBB共々汚れを拭き取って、きれいにしてやる。六角ボルトは安っぽく見えるので、そのうちボタンキャップボルトにでも交換したいところだ。
BBの回転がスムーズ過ぎてグリス切れが疑われたので、シールを外して確認してみたが、まだグリスはかなり残っていた。当面はこのまま使えそうだし、ベアリングの打ち替えをするほどのグレードでもない。調子が悪くなったらBBごと交換しよう。
グリスを塗布してBBを組み付け。緩まないように柄の長いヘッドスパナでしっかり締め込む。
チェーンホイールも装着。フィキシングボルトは8mmアーレンキーで締めるタイプの手持ちがあったので、それを活用した。
ギアが付いたので、次はチェーンを装着する。THUNDERは8速システムだが、今回はKMC製の9速用アンチラストチェーンが社内にあったので装着する。厳密に言えば、変速性能の低下などを招くかもしれないが、8速と9速はチェーン内幅が変わらないので、フロントシングルなら大きな支障なく使用できるだろう。
チェーン長は、前後ともに最大ギアに入れてプラス2コマというのがシマノ推奨。今回はフロントシングルだし、チェーンリングが大きめなので、ロー側でチェーンが張った状態で使用するケースが多いと思われる。わずかな変速性能の向上より、負荷を減らして耐久性を高める方が得策と判断し、気持ち長めになるようチェーンを切断した。
チェーンを繋ぐ前にリアディレイラーのハイロー位置を調整。チェーンがない方がわかりやすい。
ミッシングリンクを用意していたが、せっかくチェーンにピンが付いていたので、それを活かして装着した。OEM用のガイドピンがないタイプなので、ピンが斜めに入らないよう慎重に作業する。
シフトワイヤーに注油してから、インナーワイヤーをRDに仮付け。ワイヤーを引っ張って初期伸びをできるだけ取って再固定。
ワイヤーテンション調整ボルトを操作してインデックス調整。問題なく変速するが、シフトアップがややもたつくように感じられるのは、高グレード品ばかり見ているせいか?
チェーンガードを外したインナー側の脱落防止策は、チェーンセイバーを装着すればよい。と思っていたのだが、長さが短く効果的なクリアランスに調整できない。フロントダブル以上のシステムを前提に設計されているのかもしれないが、チェーンラインがやや内寄りにも関わらずフロントシングルで機能を発揮できないのは困った。実際にどの程度チェーン脱落が発生するかは使ってみないとわからないが、長いチェーンセイバーが無いか、その他の方法がないか、対策を考えていこう。
クランクが付いたのでペダルも装着。これも勤務先で強奪してきたもの。完成車外しの新古品と思われるが、発電機が付いてLEDが点滅する。不精な息子がライトのバッテリー切れを招いても、ここが勝手に光るので最低限の安全性を確保できるだろう。
変速系以外のパーツの調整は先週ほぼ終えていたので、これで走行可能な状態になった。
結果は約15.5kg。前後サスペンション(リアはシートサス)付きで、折りたたみ機能もある自転車としては、こんなものだろうか?
10kgを切る自転車にばかり乗っている身としては、前後ともリジットにしたら軽くなる、という思いもよぎる。とは言え、ディスクブレーキ対応フロントフォークと、26.0mmというマイナーサイズのシートポストだけでも、かなりの出費になるし、屋外保管の通学用自転車にそこまでする必然性はないだろう。
最小限の構成での重量計測を終えて作業続行。とりあえず走れるようにしたが、通学用に必要な装備はまだたくさんある。まずは荷物をどう運ぶか? フロントサスペンションのダイヤモンド型フレームに荷物を積むという命題は、それなりに難題だった。
クラブ活動も含めて荷物が多いことが予想されるので、半端な積載システムはすぐに壊れる。ハンドルバーだけで固定するシステムや、シートポストキャリアは重量物の積載には向かない。この辺りは学生時代のキャンプツーリングで色々試した経験が活きるが、軽さや簡便さと、強度は基本的に反比例する。その中で、できるだけバランスの良い方法を取ることだ。
リアエンドへステーが伸びるリアキャリアを装着し、その上やサイドに固定する方法が強度が高く、スポーツ車でも干渉が少ない。
とは言え、THUNDERはディスクブレーキが邪魔をして一般的なキャリアをそのまま装着できない。加工したり対応キャリアを入手する方法もあるが、いずれにしても天板上にいちいちゴムバンドで固定するのは面倒だし、天板上にカゴを装着すると、ダイヤモンドフレームでは乗り降りする際に後から足を回すのが大変になる。キャリアサイドにカゴやバッグを装着する方法もあるが、横幅が増えてぶつけたりする恐れがあるし、変化する荷物の量に対応するのも難しい。荷物を落としても気が付かないという難点もある。
かといって、前に荷物を装着するとしても、サスペンションがあるので、ママチャリと同じようにフロントエンドとフォークコラムから伸ばしたステーで固定する方法は使えない。
色々悩んだ上で、入手したのがGIZA PRODUCTS製YFA-23GA フロントキャリアー。フロントエンドとフォークセンターで固定するため、サスペンションにも装着が可能だ。THUNDERのフロントサスペンションにはカンチ(Vブレーキ)台座も設けられているので、これを利用するキャリアも考えたが、販売店から強度的には弱いと助言を頂いた。やはりフロントエンドから支柱を伸ばすママチャリ式が一番丈夫なのだ。学生時代に溶接外れで泣かされたアルミ製であることに不安が残るが、素材や溶接方法も進歩しているだろうし、30年ぶりに試してみよう。
フォークセンター側の支柱になるプレートを、最初はサスペンションのブリッジ後側にマッドガードのL字ステーと共締めしてみた。ブリッジのセンター穴にはM6のネジ山が切られているので、ナットは不要。前側にボルトやナットが飛び出さないので美観上もスッキリする。しかしながら、L字ステーがプラスチック製なのであまりトルクを上げられない。
少し不安が残るので固定方法を変更。まず、前から長めのボルトでキャリアステーをしっかり固定。その上で、後に飛び出したボルトにL字ステーをナットで装着した。これならそれぞれに適したトルクで固定できる。
エンド側はフェンダーダボだけのフォークにも装着できるスペーサーが付属していたが、このサスにはキャリアダボがあるので、使用せずに装着できた。強度的にはこの方が安心だ。
このキャリアを使ったもうひとつの理由が、ママチャリ用の前カゴを装着できること。
荷物の多いクラブに入ることを想定して、超大型の前カゴを調達していた。
ところが、このカゴは強度アップのために下部の台座が2つ並んで設けられていた。ママチャリで使用するステーなら問題なく装着できるだろうが、YFA-23GAには装着用のスリットが中心一箇所にだけ設けられている。そのままでは装着できない。どうする?
しばし悩んだ末、カゴとキャリアの間にアルミプレートを挟むことにした。適当なプレートに3つ穴を開け、カットしたものを2組作製。
出来上がったプレートを、カゴの下の台座にボルトとナットで装着してやる
プレートの中心に開けた穴と同じ位置にある網目を、広げてボルトが通る穴を作る。
とは言え、ちょっとでかすぎたか? ママチャリと違ってフォークコラムからかなり前に飛び出した位置に装着せざるを得ないこともあって、フロントヘビーで停車時も安定が悪い。今さらながら、ママチャリの前カゴはよくできたシステムだ。息子は結局ハンドボール部に入部したので、それほど用具類がかさばるわけでもないし、ひと回り小さいカゴに交換することも考えよう。
通学用に有った方が良いものとして、ロングパンツのすそを傷めないようにサニーホイル製SW-CX111 ユニバーサルチェーンガードを入手していた。このタイプの半露出ガードは完璧ではなく 、重量が増えるので私自身は裾バンドを使用する。とは言え、息子にそれを強いるのも難しいのでチェーンガードを装着することにした。
ところが、チェーンガードが長すぎで、一番短い位置に調整してもうまく取り付けできない。ちょうどマッドガードダボがあるので、バンドと干渉するのも問題。
逆に言えばちょうどよいところにダボがあるとも言えるので、バンドを使わないでこのダボに直付けすることを考えた。そのままではアルミ製の装着用プレートの上部がシートステイに干渉するので、そこを金ノコで切断。
ヤスリで整えて被膜が剥げたところを自動車の補修用塗料でタッチアップ。
想定通り、長さ調整を兼ねた取付プレートはきれいに装着できたが、それでもガード本体が長すぎて前側をベストの位置に持ってこれない。
カーブ部分はポリカーボネイト製で、中の芯の入れ替えでチェーンリングの歯数に併せてカーブを変化させることができる。
一旦装着してみたがやや高い位置にしか装着できず、チェーンホイールとガードの間に隙間が空いてしまう。見栄えだけでなく、パンツを巻き込む可能性も高くなるだろう。
仕方ないので後端をさらにカットして装着し直した。これでようやくチェーンリング密着する位置に装着できた。
そのまま取り付けできずに加工が必要なパーツが続き、時間がかかったがだいぶ形になってきた。
この状態で試乗してみたが、変速やブレーキに支障はなく、思ったより軽快に走行できる。懸念していたギア比も重すぎるというほどでもなく、少々の坂なら十分上れるだろう。
前後のサスは思ったよりよく動くので、リジッドバイクに乗り慣れた身には、ソフトすぎるように感じる。タイヤの空気圧は上限まで上げておこう。
前カゴに荷物を満載した時にどうなるかは気がかりだが、慣れの要素も大きいのでしばらく息子の乗らせて様子を見てみよう。
後はライトと鍵だ。フロント側はカゴに荷物を入れることを考えると、ハンドルバーには装着できない。ひとまず、サスペンションにバンド止めできるAKSLENコブラを装着しておいた。
できればダイナモ式にしたいのだが、ハブダイナモは高価だし、通常のブロックダイナモはサスペンションフォークに装着が難しい。以前、カンチ台を利用してブロックダイナモを装着できるアダプターがブリヂストンから発売されていたが、すでに廃盤のようだ。
キャリアステーがライトの前を通っていることも機能的に問題がある。何かリーズナブルで良い方法が無いか、探してみよう。
ペダルにLEDライトが仕込まれてはいるが、シートポストにもセーフティライト(Bikeguy製R-3)を装着。
鍵はひとまずワイヤーロックをシートクランプに装着したが、そのうち簡単に開閉できる馬蹄錠の装着を試みるつもりだ。
これにて「THUNDER(稲妻)」のベース車を通学に使用できる状態に仕上げることができた。
・・・のだが、肝心の息子に乗らせたら前傾した乗車姿勢に馴染めず、「腰が痛い。無理!」とひと言(^_^;)。慣れの問題だとは思うが、近いうちにポジション合わせと、乗り方の指導をやってみよう。
ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。
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うろついてて偶然辿り着きました。 スギノMEクランクです、これは某社からの要望で入門用クロスバイクで安くてカッコいいやつ作ってって以来依頼で私が設計したクランクでした、元はトリプルギヤでアンカーのクロスバイク用だったんですがアンカーが終了した後もシティー用で使ってましたね。2000年ごろだったと思うんですがこれはF-12ロットなので2006年12月精算 生産だと思います
コメントと情報ありがとうございました。お陰で謎のクランクがスギノの正規品であることがわかりました。造形も仕上げもシティー車用クランクと思えない高級感があったので、不思議に思っていましたが謎が溶けました。トリプルのMEは、今でもネット上に情報がありますね。息子のクロスバイクのMEは外してしまいましたが、私のクロモリ車の5ピンのPXは現役ですし、MTB用のXPも最近まで現役で保管中。スギノさんには昔から色々お世話になっています。