第7回スズカ8時間エンデューロ春SP対策 その1 [CARACLE-S]

忙しさにかまけて来週末の第7回スズカ8時間エンデューロ春SPの準備がさっぱりできていなかったが、前週になってようやくCARACLE-Sをイジる時間を確保した。

160521_141952本当は2016モデルを投入という話もあったのだが、組み上げる時間がなくて今回は日頃使用している2015モデルの試作車のままで決戦仕様に組み換え。本格的には昨日午後から作業を開始したが、午前中の最終チーム練習の前に、リクセンカウルのアタッチメントや前マッドガードの台座などは外しておいた。

160521_142432今回の作業の大きな目玉は、チェーンホイールの交換。前回のスズカエンデューロでもチェンリングを48Tから52Tへ交換したが、今回はクランクやBBも交換する

最新のカーボン製クランクに交換すれば手っ取り早く軽量化を果たせるのだが、CARACLE-Sはフロントシングルだという特殊事情があり、何より資金力が限られる(^_^;)。

そこで、新旧パーツを織り交ぜて少ない費用で最大の効果を上げるべく頭をひねった。フロントをシングルギアで使用する場合、まずチェーンの脱落防止が課題となる。そう滅多に外れるものではないが、競技使用となれば万一の脱落も起こしたくない。ところが、チェーンデバイスやチェーンガードによる脱落防止策は重量増に繋がりやすい。WolftoothやSRAMの脱落防止ギアは重量増がなく、脱落防止効果も高いそうだが、消耗品でありながらあまりに高価過ぎる。

また、何の工夫も無しにロード用チェーンホイールをシングル化すると、チェーンラインがインナーかアウターのどちらかに偏ってしまう。それでもツーリング程度なら充分に使えるのだが、チェーンがひねられた状態で使用するとやはり効率が悪くなると思われる。競技で使用するとなれば、できるだけ負荷の少ないセッティングにしておきたい。

160521_142850そこで白羽の矢を立てたのがMicrOHEROのチェーンリング。価格がほどほどでありながら、チェーンガード一体型で削り出しているので、今までのように別のチェーンガードを重ねて組み付けるよりも軽量だろう。

160521_142902そして何より、ギア位置に注目。通常よりインナーよりの位置にギアがオフセットしているのだ。

これなら脱落防止とチェーンラインの問題を一気に解決できそうだと考えた。

160521_143204ちなみに、実測重量は53Tで110g。

ところが、このチェーンリングはPCD110が見当たらず、PCD130のクランクが必要になる。ホローテックIIなどの現行規格品でも良いのだが、軽量化を果たすためにはかなり高価なクランクセットが必要。

160521_151542手持ちのクランクに手頃なものがなく、できるだけ安くて軽いクランクを探すうちに、デュラエースFC-7410の情報が目に入った。

スクエアテーパー時代の骨董品だが、クランク単体の重量はかなりの軽量級らしい。トッププロから剛性不足を指摘されていたとの話もあるが、腐ってもデュラエースの名前を背負ったレース機材。貧脚の私はツーリング用の5ピンクランクで特に不自由を感じていなかったので、問題はないだろうと判断。中古品をかなり安く入手した。

160521_151554剛性不足を指摘されるだけあって、かなりの細身。個人的にはストロングライト、TA、スギノなどの往年のツーリングクランクを思い起こさせて、好きなデザインだ。

160521_143324シマノの高級クランクはこの後中空構造(ホローテック)になったため、最近のクランクはかなり太く、どうも無骨に見えてしまう。

単体重量はロード用クランクでありながら、415gと驚きの軽さ。

スクエアテーパー式は構造的にBBが重くなりがちで、FC-7410用の純正BB(BB-7410)も約210gとのこと。103mmと最短クラスのシャフト長のお陰で、これでもスクエアテーパー式BBとしてはかなり軽いと思うが、ここでもうひとつ裏ワザをかませる。

160521_143702チタンシャフトのTOKEN TK868CTがシマノテーパー、シャフト長103mmの現行商品として販売されており、これなら大幅に軽量化が可能。実測重量はフィキシングボルト無しで155gとカタログスペック通り。もう4000円ほど追加すればティラミックベアリングでさらに5gほど軽量なTK868TBTもあったが、さすがにそこまでは張り込めなかった。

160521_144402いよいよ、換装開始。まずは、チェーンラインを比較するため、現状を記録しておく。

正確なチェーンラインの計測は困難なので、測りやすいシートポスト外端からギア内側までの距離は25.7mm。マエストロはチェーンラインをある程度動かせるので、調整を繰り返して問題なく全ギアの変速ができている。

160521_144520続いて現状のチェーンホイールセットをすべて外していく。BB(タンゲ マエストロ)をバラしてびっくり。中が結構サビている。前回のスズカエンデューロでは雨中走行だったし、それ以外でも雨中走行や洗車もなんどか行っていたので、水が侵入していたようだ。

160521_145922もちろん、チタンシャフトや軽合金製のワンはサビないので、シールド(カートリッジ)ベアリングがサビの発生源。シールド構造のベアリングの回転はスムーズだったが、再使用する際にはベアリングを交換した方が良いかもしれない。

160521_150950現状のチェーンホイールセットはBB込みで785g。800gをわずかに切るくらいだと思っていたが、アルミ製フィキシングボルトを装着した状態で改めて計測すると、元々結構軽い(^_^;)。


160521_152404続いて換装するチェーンホイールの準備。アルミ製ボルトで、チェーンリングをクランクに固定していく。

160521_153318アルミ製フィキシングボルトは従来のものを流用し、重量を計測。結果は、BB込みで715g。70gの軽量化と、思ったより効果が少なかったが、まあ前進は前進だ。


160521_161032この機会にBB周辺をクリーニングしてから、BBの組付けを開始。カートリッジ式なので、基本的に締めこむだけ。調整が不要なのは楽。

160521_162610クランクを装着する際には、まずBB付属のスチール製フィキシングボルトで締め上げる。その上でアルミ製フィキシングボルトに交換する。


160521_162200そして換装後のチェーンラインを同条件で計測すると、25.9mmと、わずか0.2mmの差。純正品でないBBとの相性が気になっていたが、ほぼピタリとチェーンラインが同じになった。

160521_163300歯数が変わったので、内側へのチェーン脱落を防ぐフォールプロテクターの高さも調整。ギアと一体化したチェーンガードと合わせ、内外への脱落をほぼ完璧に防げる。

若干の重量増はあるが、費用と効果のバランスを考えるとこの辺りが落とし所だろう。

チェーンホイールの換装自体は、ほぼ目論見通りに順調に終了。

160521_164050続いてリアカセットスプロケットCS-6700の交換。常用の11-28Tから、11-25Tに交換し、フロントチェーンリングの大径化と共に、リアのクロスレシオ化も実施して、スズカエンデューロに特化したハイ&クロスレシオ仕様に仕上げていく。

160521_170200無事に前後ギアを交換したまでは良かったが、25Tの最ローギアにチェンジするとチェーンが張り切って、ガラガラと異音がする。フロントチェーンリングが前回の52Tから53Tに大きくなったせいで、チェーン長の限界を越えたようだ。

これも想定の範囲だが、対処は4つ考えられる。

  1. ローギアを使用しない
  2. 11-23Tのスプロケットを入手する
  3. 現在のチェーンを延長
  4. 新チェーンに交換

1.は最も安上がりで、作業も最小限。スズカで25Tの出番は恐らくないだろうが、10速の意味がない。
2.は貴重な絶版品、デュラエースCN-7901チェーンを切らずに済むが、費用負担が大きいし、時間的に余裕が無い。
3.は貴重なCN-7901チェーンにコネクティングピンが増えてしまうが、費用負担はない。
4.すでにKMCの10速チェーンを用意しており、ミッシングリンクを使用してヒルクライム用と平地用で使い分けることを考えている。

160521_171546いずれも一長一短で即決できず、ひとまず他の作業を進めた。バックミラーBIKE’N ROLL バーエンドミラーを外して、右側にもタイガースマーク入りエンドキャップ(清酒タイガースの栓)を挿入

160521_172614サスペンション後部のロングボルトを延長して後マッドガードの台座を固定しているが、これを外してチタン製の短いものに交換。


160521_173928ペダルをSPD+フラットのPD-A530から片面SPDのPD-A600に交換。

160521_175650サドルをVELO製からシマノPROのTURNIXカーボンレール(まあこれもVELO製だが)に、シートポストごと交換。

シートポストが26.8mmから27.2mm径に変わるためシムも交換。わる人にはわかるだろうが、2つのシートポストはブランドこそ違うが、ほぼ同一の商品。ロゴと長さだけが異なるだけなのだが、カットして使用しているので違いはロゴと直径だけ。

160521_180440外したり交換した諸々のパーツ類。スズカエンデューロでは2周交代を予定しており、1回の走行時間は20分程度になる。前回もボトルにほぼ手を付けなかったので、今回はボトルケージも取り外した。

ここには写っていないが、後でリフレクターも取り外した。

160521_201002最終的にチェーンは現在のチェーンCN-7901を延長することにした。ただし、KMCのチェーンからミッシングリンクを借用して、コネクティングピンは1箇所のみに抑えることにした。後でシルバーのミッシングリンクを入手しよう。ミッシングリンクなどのチェーン着脱プレートは過去のTAYA製の経験からどうも信用しきれなかったが、シマノも復活させるとのこと。一定の実用性は備えているだろうと、今回再挑戦することにした。長さの違うチェーンを用意してギアに応じて交換するには便利だろう。

160521_170906KMCのチェーンはゴールドカラーであり、肉抜きからするとより軽量と思われる。ノリクラに向け、2016モデルでヒルクライム決戦仕様を作る際に、KMCを使用することにした。

160521_204832概ね作業を終了し、重量計測。車両総重量は9.96kgとのこと。昨年のノリクラ決戦仕様よりもわずか20gながら軽くなったことになる。乗鞍で使用した超軽量シートポストを装着していないので、もう少し軽量化も可能だが、ほぼシッティングのスズカでは剛性の高い標準ポストの方がよいだろう。

夜も遅くなったので昨日はこれで作業終了とした。

今朝は、試走からスタート。サドル位置や、SPD固定強度、シフトの微調整などを行ったが、大きな変更は必要なさそう。軽くなったCARACLE-Sは非常に快調で、当然クランクの剛性不足などは体感できなかった。これで、気持よく本番に臨めそうだ。

160522_102720そして最後にひと加工。ハンドル高調整QRをボルト・ナット化した。

160522_103556ここはクランプの両端が平らだったので、単純にボルト・ナットと交換できた。軽量化効果はわずかだが、より強固に固定することができただろう。


160522_103858まだいくつかQRが残っており、特にシートポスト周辺には3つもQRがある。できれば、ここもボルト・ナット化したいところだが、クランプの片方が曲面になった構造のため、簡単にはいかない。今回は時間がないので、難しいかな。

160522_104610ひとまず、不安のない決戦車ができ上がった。本番までにできることは限られるが、タイヤは新品に交換する予定だ。

トレーニングも機材の準備も充分には取り組めなかったが、何とか結果に結びつけて行きたいものだ。


 

第7回スズカ8時間エンデューロ春SP対策 その2」に続く。


ご注意:本記事は、久行の個人的趣味とテック・ワンの技術検証を兼ねて行っているもので、同様のカスタマイズに対して安全性や耐久性を保証するものではありません(自動車会社のF1やワークスマシンみたいなものと思って下さい)。安全性に問題がなく、ご要望の多いものは純正品に取り入れる可能性もあります。興味のあるパーツや加工については、ご意見をお寄せください。


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これまでのコメント

  1. […] カートリッジベアリングがガタついているので、シールを外してみるとリテーナーが破断して変形している。このTOKEN製TK868CT(103mm)は2016年5月に、CARACLE-S2015モデル試作車に装着したもの。その後、TORACLE-Sに移植して使い続けていた。TORACLE-Sだけでも10,000km以上走行していることにはなるが、もう片方のベアリングはスムーズな回転でガタもないので、たまたまハズレだったのかもしれない。 […]

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